もつ料理に意識が傾いた状態が続いている。今週も仕事関係でこじんまりと呑みに行く機会が2度あって、いずれも僕の希望もつ系のお店を会場に据えて開催してもらうことにした。
1回目は水曜日の夜、会社近くのオフィスビル地下に入っている「もつ兵衛」というお店。少し期待していったのだが、実体はモツ料理をおいている居酒屋だった。先週行った恵比寿のお店よりは値段はリーズナブルだが、雰囲気は「ダイニングなんとか」を意識した最近の居酒屋そのもので、興ざめだった。確かにもつ系のお刺身など味は悪くなかったけど、また行きたいかといわれれば答えはノーである。
金曜日の夜、以前同じ職場だった先輩と呑みに行くことになり、また僕の希望を聞いていただいて、今度は東京一円にチェーンで展開するもつ飲み屋の「加賀屋」に行くことにした。今回行ったのは目黒店。佇まいからして「え、ここ?」というじ。お店の中も小汚い(失礼)感じでいい雰囲気である。
別に雰囲気で味覚が研ぎすまされるということはないと思うのだが、このお店は僕の望んでいたものに近いところでとても満足だった。お店のお勧めホルモン串焼き(3本300円)に始まりもつ煮込みやハツなどの焼き物など、どれを食べてもとても旨い。こういうお店につきもののホッピーは飲まなかったがビールが進んだ。
先輩がもう一軒というので、雨の目黒を歩いて目黒駅北側にある有名店「丸冨水産」へ。いつも混んでいてなかなかお店に入れないらしいのだが、今回は雨だったことと行った時間が遅かったのとで、なんとか座ることができた。お刺身をお任せにしてあとはビールやらサワーやら熱燗やらを頼んで、いろいろなお話をした。
営業スタッフとしていろいろな経験をしている先輩で、話題も豊富で愚痴っぽさもなく一緒にいさせてもらって楽しい人である。これまでもそれほど呑みに行くこともなかったのだけど、こういう人と呑みにいける機会があるのは幸せなことだと思った。今回はっきりしたのはやはり愚痴はほどほどにということ。愚痴の原因はよくよく考えれば、その半分はそれを言っている本人にあるのだから。
この1週間はずっと同じ作品を聴き続けた。若手ジャズギタリスト、カート=ローゼンウィンケルの新作"The Remedy-Live at the Village Vanguard"がそれ。カートは1970年生まれでバークリー音楽院出身。パット=メセニーやジョン=スコフィールドといった、最近のトレンドを受継ぐアーチストとして注目されているらしい。
僕が彼のことを知ったのは最近のこと。ディスクユニオンのサイトでそのアルバムが紹介されていた。これを入手するのにちょっとひと騒動あった。本来なら紹介してくれたユニオンで買うべきなのだが、そこはネット時代の合理性も忘れてはならない要素である。いろいろと調べた挙句に僕は発売元のウェブサイトからダウンロードで購入することにした。値段が安く、出かけたり送料を払ったり品物が届くのに1、2週間首を長くして待つということもない。
発売元のArtistShareはその名の通りアーチストに様々な与えてインターネットによる音楽ビジネスのあり方を追求するユニークなレーベル。CD販売の一方でダウンロードや映像配信などいろいろな試みに取り組んでいる。今回も購入特典としてカートや競演ミュージシャンのインタビューや解説、ライブなどの映像配信プログラムがついてくる。そうした体系をプロジェクトと称してアーチストと聴き手の共同作業と位置づけている。
"The Remedy"は2006年のライヴパフォーマンスを2枚組CDにまとめた作品。といってもダウンロードではそういう言い方はあまり意味がなく、正味2時間分の全8曲の音楽が楽しめる内容になっている。初めて耳にする彼の音楽は、表面的には奇抜な特徴があるわけではないのだが、何度か聴き込んでいるうちにじわじわとその魅力が伝わってくる。これは素晴らしいものである。
カートのギターワークは、パット=メセニーやジョン=スコフィールドを感じさせるものはあるが、早弾きなどのテクニックが凄まじいというわけでは決してない。それでもそこに彼自身の独自のスタイルが存在するのは明白である。他のアルバムを聴いてみたいと思うだけでなく、是非とも一度生の演奏に接してみたいと思った。久しぶりにジャズギターの新しい展開を感じることができたと同時に、音楽を買って聴くというスタイルについても、その方法は確実に変りつつあることを改めて実感することができた。
The Remedy-Live at the Village Vanguard
こちらはArtistshareのサイトからの直販か、ディスクユニオンの通販で購入可能です
Deep Song
こちらはアマゾンで購入できます
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