7/31/2011

高柳昌行「ソロ」

先週、新宿での飲み会の際に幼なじみに待ち合わせ場所として指定されたのが、新宿タワーレードのあるビルの2階だった。

最近、ほとんどそういうお店に入ったことがない僕は、ちょっとした懐かしさのようなものもあり、待ち合わせの時間まであと10分ほどしかないのに、ビルの最上階にあるお店に足を運んでみた。

ちょうど気になっていた高柳昌行の作品「ソロ」が試聴機に入っていた。まあこういうお店の数少ない魅力はこういうところかなとか思いながら、僕はヘッドフォンを付けて流れてくる演奏に耳を傾けた。

相変わらずCDの帯には仰々しい宣伝コピーが付けられていた。どこまで深く考えられているのか、あるいは業界ノウハウのようなものの蓄積がなせる技なのか(おそらくそうなのだろう)、少なくとも興味を持って手に取った人をもう少し引き止めるような、何かうさん臭くもドロドロした印象を与える効果はあるようだ。

この時点ではこの作品と、Three Blind Miceレーベルから発売されていたソロ作品"Lonely Woman"との関係がよくわかっていなかったのだが、聴こえてきた音は紛れもないあの高柳だった。よく見ると収録されている曲も似ている。

演奏以外の何かがそうさせたのかもよくわからないのだが、僕は久しぶりにこういう大きなお店で国内盤の、それも新品のCDを、定価で購入した。ケチ臭いと思われるのは仕方ないが、僕の金銭感覚はそういうものだ。

この作品にいたる経緯は、CDのライナーとして文字にされている、収録されたライヴ演奏の前に、高柳自身が店内(横浜のエアジンである)の観客に向けて語った短い前置きで十分に説明されている。

もともとソロ演奏による作品についてかなり構えて考えていた高柳が、大病を患った後に、レコード会社からの勧めに応じてみる気になって作ったのが"Lonely Woman"だった。そしてその後、そのフォーマットによるライブ演奏を3回やるわけだが、その3回目にしてやっぱりこれで打ち止めにしておこうと決めて行ったのが、この「ソロ」に収録されている内容というわけだ。

そのことをCDの帯には「"Lonely Woman"の完成型」とか書いているわけだが、これは単に時系列のことを言っているだけであり、内容的な点ではもちろん、当の高柳本人も全くそのようなことを言っている訳ではないことは注意すべきである(まあどうでもいいことなのだが)。

内容は非常にユニークで完成度の高いギターソロパフォーマンスである。阿部薫と並んで日本の即興演奏を代表する偉大な人である。しかし、ここに収められている演奏は別に"Lonely Woman"の完成型ではなく、まあライヴバージョンという別テイク程度に捉えたほうがいい。

特に1曲目の"Lonely Woman"については、スタジオ盤との優劣をつけるのは難しいものの、僕としてはこのエアジンでの演奏の方は若干集中力を欠いているように聴こえる。

それ以降の演奏曲目については、パフォーマンスとしての一貫性という意味で、こちらの演奏にはスタジオ盤にはない魅力にあふれている。特にこのフォーマットでの高柳が出す独特のリズム感はやはりライヴパフォーマンスならではのものではないだろうか。

僕自身は、この一連のギターソロプロジェクトは、Action Directの様な無限の音世界の追求に際して、ギタリストとしての自分の原点をこのフォーマットで確認しておきたかったのではないかと勝手に感じている。

そして高柳自身も、Action Directの活動に本腰を入れるために、このプロジェクトには早々に見切りを付けたという訳である。それは悪くない選択だったのだろう。

おかげさまですっかり高柳ブームになってしまった。やっぱりこういう音楽は落ち着くものだ。

7/24/2011

千鳥足とプール、ブギーカフェにかき氷

金曜日に翻訳会社に勤める幼馴染みと新宿で一杯やることに。「魚真」というお店で夕方も早い時間からやり始める。新鮮で肉厚なお刺身やら、そうした魚の骨を揚げた正真正銘の骨せんべいなど、美味しいお肴がいろいろあった。

焼酎をロックで注文したら結構な量(200ccはあった)を注いでくれ、なりゆきからそれを3杯もやってしまった。いつもの話の流れで、途中和歌山にいる共通の友人に電話をかけてみたり(まだお仕事中のところすいませんでした)で、いい感じに出来上がってしまったのが午後8時。

さてどうすると言うか言わぬかの展開で、僕がはじめてホッピーをやってひっくり返りそうになった「大衆酒場トラノコ」へ。そこでまた彼が預けた焼酎ボトルの残りをホッピー割でやった。今回も足に来た。湘南新宿ラインで帰ったのだがあまり記憶がない。携帯の記録を見ると、彼にちゃんとまとまった内容のありがとうメールを出していた。

土曜日は今週から始まった子どものベビースイミングへ。もう5日目だったのだが、いつもと違う要領に前半はギャン泣き。最近、お風呂でアタマを洗ってあげるときにいつも泣かせているからかなあ。それでも後半は持ち直した。台風一過でカラッと涼しいというめずらしい気候の週末だった。

日曜日は子どもを散歩させたついでに(かなりの遠出になったのだが)、以前からずっと気になっていた本牧の「ブギーカフェ」に立ち寄る。考えてみれば子どもと2人だけでお店に入るの初めてだった。テリヤキバーガーのコンボセットを仲良く分けて食べる。量はそれほどでもないが、いい味付けの照り焼きハンバーグだった。ビールが飲みたかったがさすがにガマンした。

店先にソフトクリームのオブジェがあり、その間近のテーブルに座ったことから、子どもから「アイスコール」がまき起こってしまい、追加でソフトクリームも。まあここまでの疲れはこれで吹き飛んだだろう。

妻に連絡を入れて、1時間後に山手駅前の「やまて食堂」で落ちあうことに。お目当てはこのお店の夏の名物かき氷。僕らは本牧公園でしばらく遊んでから、バスに乗って山手駅方面に戻った。予想通りバスを降りる直前に子どもがこくりこくりとなり始めたので、「もう降りるよ」と声をかけて何とか無事に下車。

食堂のおばさんはたいそう嬉しそうだった。妻と子どもはもう1年以上も来ていない、僕ばかりがお世話になっていた。

宇治金時とあずきミルクを注文、合計で800円である。おばさんが奥の部屋の入ったと思ったら、あずき缶を抱えて戻ってきた。して、出てきたかき氷は、上にたっぷりあずきがのっていて、スプーンを入れてみると底にもどっさりだった。大満足。

子どもがお腹をこわさないかハラハラしながらも、言われるままにお皿に2人のかき氷を分けてあげた。それはまあいい食べっぷりでした。おばさんは何も言わずにニコニコしながら子どもの食べっぷりを眺めていてくれた。

とまあこんな週末でありました。変な進路をたどった台風のおかげで、からっとしたいい陽気が続いたここ数日間だった。土日には横浜スタジアムで「いきものがかり」のコンサートがあり、土曜の夕方から夜にかけて風向きの関係もあって、歌詞までよーく聞けました。

7/18/2011

ブランとジョーイのデュオ

いよいよ暑さがやってきた。夏本番、ビールがウマイ。

いろいろなことがあった1週間だったのだが、まああんまり振り返りたくもならない内容だった。汗と一緒にさあっと流れてくれたらいいのだが、じっとりとまとわりついて厄介でもある。週末が待ち遠しかった。

このご時世に逆らうかの様なことだが、1階の寝室に使っている部屋にエアコンを取り付けてもらった。最近の小型のものは、値段が安くて性能がいいのにはビックリした。6万円台で冷房時の消費電力が500ワット以下だ。

これで寝苦しさで寝相の悪くなっていた子どもも、少しはおとなしくなってくれそうだ。妻も僕も顔を蹴られる危険に怯えなくてすむ。エアコン設置を祝って?夕食は久しぶりに山手の「ほうちゃん」に家族3人で行った。今回は子どももホルモンデビューで、「おにくう〜、おにくう〜」と言いながら、いろいろな味を少しずつ噛みしめておりました。

そして、コニッツ、メルドウ等のライヴに続いて、またまた素晴らしいビールのお供が入りました。ブランフォードとジョーイによる新作"Songs of Mirth and Melancholy"(訳しにくいタイトルだ)。いい作品ですよ〜。

ブランフォードの音楽は(マルサリスのというべきか)、結構事前にしっかりとした曲想が練られている印象がするが、このデュオ演奏でもそこのところは変わらない。

そのことを「仰々しくて肩が凝る」と感じる人がいるのは仕方ないが、だからといって「本来のジャズとは違う異質な音楽」とかいうのは、ちょっとええ加減にせえよと思う。訳がわからん。。。

比較的ゆっくりした曲が中心だが、緊張感は全編にみなぎっているので、そこをわざとやり過ごして、思いっきり贅沢なBGMとするのもよし、トコトン付き合って脳が酸素不足に陥るのもよしである。

まあ、どちらの場合もビールは着実に減ってゆく。やっぱり窓を閉めてエアコンを効かせた部屋で、少し大きめの音量(楽器の息づかい指づかいがわかる位の)で楽しみたい。

このデュオでライヴやるのかなあ。行かねばならんだろうなあ。

7/10/2011

ヨーロッパビールで梅雨明け

ややなし崩し的に梅雨が開けた。さすがにこの気候ではまだ梅雨だと頑張るのは無理な青空と日差しと暑さ。本格的な夏に入った。やっぱり嬉しいものである。

直前の金曜日は、以前から参加している社外交流会の同窓会の様な飲み会があった。今回は僕が幹事役だったので、田町の行きつけの飲み屋「カドー」で開かせてもらった。

この飲み会、実は震災の数日後に予定されていたのだが、そういう事情もあって、ほぼ4カ月遅れてようやく開催にこぎつけた。

お店には特別に5000円で2時間の飲み放題コースを作ってもらった。いつもは2〜3人でゆっくり飲むことが多いので、舶来の樽生ビールを値段相応にじっくり味わうものだが、この日はいつもとは違う普通の飲み会のペースで、お気に入りのビールを存分に味わうことができた。

最初の30分でフラーズ、ヒューガルデンなど4杯を軽く飲み干してしまい、その後もビールやハイボールを次々にやって、7杯目までは記憶にあるのだが、その先は席を移動してしまったりでもはや夢の宴である。

久しぶりまとまった人数の幹事役をやったが、やっぱり馴染みのお店でやるに限るなと思った次第。お店の人に甘えられるので、幹事であることをさほど意識せずに呑めるから。

ともかくお集まりいただいた皆様、どうもありがとうございました。

気持ちよく梅雨明けの週末を迎え、暑いながらも子どもとは楽しい時間も過ごせた。久しぶりに大さん橋へのウォーキングもできた。朝5時に起きてももう陽が昇っているので、ある程度暑いのは仕方ないが、さすがにこの時期は昼間だとペットボトルなしには危険だ。それは煩わしい。朝日に輝く港はいい。

相変わらず仕事のことを考えるのは鬱だが、まだ当面は仕方ないと思うしかなさそうだ。今夜もビールをやって寝るとします。

7/03/2011

コニッツ・メルドゥ・ヘイデン・モチアン

う〜ん、やっぱりこいつあいい!期待通りの素晴らしさ!

このメンバーで最近収録されたライヴアルバムがリリースと聞いたとき、もうその雰囲気が聴く前から頭の中で勝手に期待として出来上がってしまっていた。

そしてさらに公開されたジャケット写真を見て・・・もう、たまりませんわ、これ。ゴダールの映画だって。

迷わずCDを購入することに決めたけど、やはり買値には慎重にということで、結果、リリースから遅れること1ヶ月近くを経ての入手となった。

手にして以来今日までの7日間というもの、iPodには入れずひたすら毎晩CDを聴き続けた。これを書いているいまももちろん流れてますよ。

多くは書きませぬ。とりあえずECMのサイトで視聴はできるのでまずは少しでもこの空気に触れてみましょう。「はうっ!」となったら、即、下のアイコンをポチッてください。

このセッションの時点でコニッツが御年81歳、モチアンは79歳、ヘイデンは73歳。そこに加わるメルドゥは39歳にしてこの大役、やはりこの人はただ者ではない。

オーディオセットがしばし空気清浄機に変わるこのひととき、しあわせだ。ビール、ビール!