9/30/2018

バール・フィリップス「エンド トゥ エンド」

ベーシストのバール・フィリップスが自身で「最後のベースソロアルバム」として収録した作品「エンド トゥ エンド」が届いた。

アルバムのライナーによると、彼がこれを決断したのは81歳だった一昨年のことだそうだ。

告白されたECMの創設者でありプロデューサのマンフレッド・アイヒャーはすぐに準備に取り掛かり、ECM作品としては早めの段取りの2年越しで発表された。

彼のソロ作品は、持っているもので多重録音の作品を含めて6枚だったと思うけど、実際には全部で何枚あるのか僕は知らない。

最初のECMレーベル作品は意外にも45年前のデイヴ・ホランドとのベースデュオである"Music of Two Basses"だ。

聴いてすぐにぶったまげる様な音楽ではないけど、若い2人のベーシストが熱く通い合いベースという楽器の雄弁さが楽しめる作品である。



今回のソロ作品の予告編に相当するECM製作の映像がこれだ。



実際の演奏とその周辺の経緯を交えて作品の世界観がとてもよく表されている映像だと思う。

アルバムは多重なしで収録したソロ演奏を"Quest", "Inner Door", "Outer Window"という3つの組曲にまとめてある。

彼がこれらの演奏を事前にどの程度まで構想していたのかはわからない。

即興であるには違いないのだけど、「最後のソロアルバム」と決意したことがアルバム全体にただならぬ雰囲気を醸し出していることは明らかだ。

そのことを(しないという選択肢もあったはずだろうが)わざわざリスナーに伝えたことに商業上の意図はおそらくないだろう。

部屋でこのろぐを書きながら、台風の影響が及んで来て外で風が吹き荒れているのをいいことに、いつもより大きめの音でスピーカーでこれを聴いている。

限りなく静寂な環境で聴けることが理想だけど、自然の音だけはかろうじて作品に重なることを許される。

この豊かな音色とフレーズをいつまでも聴かせてもらいたいものだが、その時計を自ら永遠に封じるが如くアルバムの幕切れはとりわけ深い。


9/24/2018

ガーナの伝統音楽と舞踊を楽しむ

先週に続いて3連休です。お天気もまずまずで家なかのちょっとした整理や庭の掃除などが捗りました。

土曜日に妻が何を見て知ったのか、近くの久良岐公園にある久良岐能舞台でガーナの音楽舞踊のコンサートがあるというので、家族で観に行って来ました。

久良岐公園は以前にも何度か行ったことはあったのですが、こんなところにそんな施設があるとは知りませんでした。こじんまりとしてますが立派な能の舞台に、5,60人ほどが座れるスペースがあります。

出演したのは、パーカッションのニ・テテ・ボーイさん、ヴォーカルのロビ・エボウ・チプアさん、そしてダンスのジョー・メンサーさんの3人です。皆さんガーナ政府の文化芸術に関わるお仕事をされているという本物のプロです。

2部構成で約2時間の楽しいステージでした。ニ・テテとロビは日本語がペラペラで、興味深いお話と楽しいおとぼけ?を交えながら、代表的なガーナの音楽とダンスを楽しませてくれました。

こういう即興性の大きい音楽はいいですね。僕にとっては退屈しません。皆さん素晴らしい芸をお持ちですが、僕が一番すごいと思ったのはジョーさんのダンスでした。やはりアフリカ舞踊の即興性は、ヒップホップやブレイクダンスなど現代のダンスに大きな影響を与えてるのですね。

話の中でニ・テテさんが、日本の人と話しているとアフリカにとても関心や好意を持ってくれているのは嬉しいけど、ひとつ残念なのは十把一絡げに「アフリカ」と捉えている人がほとんどだということ。

「アフリカで戦争があったね」とか言われても、彼らは全然ピンとこない。せめてどこの国のことなのかもっと認識して欲しいと言ってました。それは「アジアで大きな地震があったね」というのと同じようなことなのでしょう。

本当は54の国があり、大陸の中にも数百の部族がいるとても多様性に満ちた国。彼らの国ガーナでも、大きく分けて4つの言語族がいて、それらの間ではほとんど言葉による意思疎通はできないのだそう。だから「公用語」は英語になってしまっているけど、それは母国語ではないと教えてくれました。

目の前で繰り広げられるガーナの音楽舞踊の迫力に、やっぱりパフォーマンスというものは素晴らしいなと実感した1日でした。

久良岐公園の能楽舞台に通じる道。根岸森林公園よりも大きな高低差がある森林にはカブトムシなんかもたくさんいるのだそうです。



先週、自転車を久しぶりに掃除しました。日曜日に10km離れたシンボルタワーまでひとっ走り。空気が澄んでいて気持ちよかったです。


音楽聴きながらのウォーキングが楽しくて、この夏はほとんど乗らなかったなあ。さすがにヘッドフォンで自転車には乗れない。たまに見かけますがダメですよ!

(おまけ)
秋分の日の振替休日の月曜日、散歩に出かけようとしたら近所の家の壁にこの子がいました。白い壁に色鮮やかですね。(虫が苦手な方ごめんなさい)


9/16/2018

自動飯で納豆丼

オフィスに出勤する日は毎朝職場に着いてから朝ごはんを食べています。6時30分を少し過ぎた頃なので人はほとんどいません。

ずっとコンビニのパンを食べていたんだけど、食べ飽きた(どのコンビニでも結局は同じようなものです)のと、もう少し身体にいいものを食べなきゃという想いから、家でサーモスにコメや豆類で簡単なものを用意したりもしてました。

でも、それも最近はあまりやらなくなってしまって、ここ半年ほどはシリアルと豆乳の組み合わせが中心です。クェーカーのグラノーラかカルビーのフルグラを食べていたのですが、フルグラも成分をよく見ると結構添加物が入ってるんですよね。うーん。

シリアル買うようになってから、アマゾンの関連商品でクェーカーのオートミールがおすすめでこちらに合図を送っていたのを、ずっと無視してました。どうしてもチープなイメージが先行していたので。

その理由は大学の時に教養の語学授業でグレアム・グリーンの小説"Doctor Fischer of Geneva or the bomb party"を購読したことが関係しています。

グレアム・グリーンっていまどういう評価なんでしょうね。「第三の男」「情事の終わり」などなど、やっぱりいま読む人は少ないんでしょうか。

そういえばフレデリック・フォーサイスとかアーサー・ヘイリーとかも、やっぱり長い目で見れば時局に基づくある種の流行だったのかなあ。いまでも時折、作品のなかのシーンが脳裏を過ぎることがあります。

この小説の中に"porrige"という料理が出てくるのですが、僕は初めて見る単語で、それが「お粥」のことだと学びました。先生が、この"porrige"をインスタント食品にしたのが「オートミール」ですね、と言ったのをよく覚えています。

「オートミール」と聞いて僕が即座に思い浮かべた綴りが"auto-meal"つまり「自動飯」でした。なんかよくわかんないけどインスタントな感じなんだろうなあと(笑)。もちろん本当は"oatmeal"でオーツという麦を加工した食品という意味なのですが。

小説で"porrige"が登場する場面は、言ってみれば「見すぼらしい料理の代表格」みたいな扱いで、非常に印象に残るものでした。詳しくは書きませんので、気になる方は小説読んでみてください。ハヤカワ文庫にありましたがまだ買えるのかな?英文でもKindle等デジタル化はされていないようです。

なので、オートミールは「貧素で惨めな食べ物」というイメージが勝手にできてしまって、なんとなく避けて来たというわけです。最近フルグラにも飽きたし、いろいろな情報をみてようやく誤解も解けたので(笑)クェーカーのオートミールを試し始めたところです。

しかし...フルグラとかはまだ見た目はそれなりに食べ物の感じはありますが(この感覚が実は曲者なんでしょうね)、初めてオートミールの袋を開けた時は、やっぱり「マジでこりゃ鳥の餌だ」とまた一瞬小説の世界に引き戻されそうになりました。


この金曜日は在宅で仕事。お昼ごはんはケーキ屋さんのアルバイトに出かけた妻が、帰りに何か買って来てくれると言ってたのですが、少々帰りが遅いので少し小腹を満たそうと、以前ウェブで見かけて気になっていたオートミールの納豆丼を作ってみることにしました。

オートミール1袋(28グラム)をお茶碗に。やっぱり鳥の餌ですかね(笑)。


お水を100cc加えてレンジで1分半チンするとこうなります。少しかさが増えて美味しそうな色になりました。


冷蔵庫にあった「おかめ納豆」をよーくかき混ぜて、タレと辛子を加えてオートミールのうえに乗せ、万能ネギがなかったので冷蔵庫にあった水菜を少し料理ハサミで刻んであしらって出来上がりー。


スプーンで混ぜていただきました。オートミールは牛乳と合わせる洋風でお菓子的なイメージがありますが、それ自体はただの麦なのでお米のご飯感覚で捉えると、塩味やダシを効かせた和風などいろいろと使えますよ。お手軽です、自動ではありませんが(笑)。

結構腹持ちはしますがこれだけを食べても小腹が満たされる程度なので、結局、妻の買って帰ったケーキを早いおやつに食べてしまいました。


さて、この週末でまた一つ歳をとってしまいました。いよいよ無理無理にアラフィフとか言えるのも最後です。家族で僕が好きなアメリカンダイニング「L.A.S.T」さんでお祝いしてもらいました。


まだまだ呑みますよ〜。頑張らなきゃ。


9/09/2018

ジョン・アバークロンビー初期の2作

先週は大型台風の西日本上陸に続いて、北海道では大地震があった。自然災害がこれほど続いた夏は歴史的にもなかったのではないだろうか。

地震が人間社会の営みと何らかの因果関係があるのかはわからないけど、酷暑やゲリラ豪雨、大型台風の頻発は、やはり温暖化と何らかの関係はあるのだろう。

被害に遭われた方々にお見舞い申し上げつつ、災害への覚悟と備えについての認識をあらためる機会にしたいと思う。


昨年亡くなったギタリスト、ジョン・アバークロンビーの初期の作品をいくつか聴き込んでみた。

ルー・タバキンのプロデュースで日本での企画による1979年のギタートリオ作品"Straight Flight"と、ジョン・スコフィールドとのギターデュオに、ジョージ・ムラーツとピーター・ドナルドのリズムセクションを迎えた、1984年の作品"Solar"。

いずれもスタンダード中心の作品だが、後のECMでの一連のプログレッシブな作品にはない、彼のストレートな素晴らしさが味わえる。本当にウマい人だなぁとの認識を新たにした。

"Straight Flight"はCD含めてデジタル化はされていないようで、僕はYouTubeにあったもので初めて聴くことができた。なかなかの名盤でありデジタル化が切望される。

一方の"Solar"はデジタル化されているものの、なぜかあの印象的なジャケットは別の無味なものに差し替えられており、音楽そのもののことではないのだけどちょっと残念な気分である。

しかし最近はこんなふうに盤を所有している人しか楽しめないということがすっかり過去のことになりつつある。

著作権のことはもちろん大切だけど、素晴らしい作品は多くの人に楽しまれるべきであることもまた然りだろう。法律とは異なる次元で新しい仕組みが定着するのは、必ずしも悪いことではないと思う。


水曜日の会社帰りに桜木町のHubでいただく一杯のジントニック。とうとう会員になってしまった。少しずつポイント貯めます。


暑さはまだまだだけど、朝夕の気候には確実に秋の気配を感じる。横浜の港はありがたいことにいつも通りである。


9/02/2018

岩手・ピタゴラ・南極しらせ

先週末はある理由で日曜日の夜中までバタバタしてしまい、ろぐはお休みしてしまいました。ごめんなさい。。。

いったい何をバタバタしていたのかというと...これです。


子どもの夏休みの宿題を手伝っていたのであります。いわゆる「ピタゴラ装置」ですね。相当大変でした、これ。

えーと、これは3つの装置からできてまして、向かって左側にある木でできた装置がスタート。細長いお箸入れみたいな箱の中をビー玉が転がると、それがガタンゴトンとシーソーのような動きをしながら、箱ごと落ちていきます。

箱が一番下まで落ちるとそれが右の方にズレていき、その先に待機して固定してある別のビー玉を転がします。一番下のスロープを下ったビー玉が終点に釘とストローで固定されたスプーンを押すと、テコの原理でその上のスロープに待機しているビー玉がスタート。

同じことを繰り返して4つ目のスロープを下ったビー玉が、最後に真ん中にあるレールを急降下。そのままペットボトルの口を逆さまにした最後の装置に飛び込むと、ブラックホールのような回転を続けながら徐々に出口に吸い込まれます。

回転が最高速に達した最後に口から下に落ちて、終了の合図のベルを「チーン」と鳴らして、楽しい夏休みの思い出が散りばめられた現実の世界に戻って夏休みが終わります(笑)。

子どもが「夏休みの工作はピタゴラ装置」と言い出した時から、パパは完全に腹をくくりました(笑)。これ物理と論理と大工仕事の世界ですから、申し訳ないけど今回はママの手には余るだろうなと直感しました。

まあ子どもにとっては、事実上初めてノコギリ、カナヅチ、クギを使って木材に本格的に取り組むいい機会になったと思います。最初のガタゴトの装置が、僕も予想できなかった簡単な物理の法則によりゼロから採寸して作り直しとなった時は、本当に夏休み中にできるのかと焦りました。

最終日に工作の追い込みに入ると、ママも参戦して木材の切り出しや意外に時間のロスになるボンド付け作業を手伝ってくれました。ママの秘密兵器グルーガンも大活躍。

最後の細かいところの調整(実はこれが一番大変!)は僕の出番。それから装置を並べて台に固定するところは、もう夜遅くなっていてクギを打つ作業ができなかったのと、さすがにこれを学校に持っていくことを考えると、ボンドだけではちょっと厳しいかなと判断して、深夜にパパの秘密兵器電動ドライバーが出動してしまいました。

でも子どもはよく頑張りました。まるで僕も長い夏休みも終わったような気分になりました、もうとっくに終わってるんだけど。


このバタバタの前に、仕事で会社のお偉いさんと一緒に岩手県盛岡に出張して来ました。実はこの出張のおかげで工作の作業計画が予想通りの(笑)行き詰まりモードになったのでありました。

岩手のことをいろいろ調べたりしているうちにとても興味が湧いて来て、出張は盛岡駅とイベント会場のホテルの往復だけで終わってしまったのですが、次は絶対に家族も連れて旅行で訪れてみたいと思いました。

25年前にバイクで東北を訪れた時も、夕暮れで高速を降りて盛岡で一泊して翌朝すぐに出かけてしまったのですが、その時に観た岩木山の姿はしっかり自分の脳裏に焼きついていたことを実感しました。

あの頃はまだ東北新幹線も開通しておらず、盛岡駅の周辺ももっとこじんまりしていた記憶だったけど、行き帰りの送迎車から眺める街は魅力的に映りました。旅行で訪れたら遠野と大船渡にぜひとも行ってみたいです。

この日もバタバタでまともなお土産も買えませんでしたが、子どもの工作で徹夜になりかけた翌朝、出張でお世話になった岩手の支店長さんがたまたま来京していて、お礼にと大船渡の銘菓「かもめの玉子」をくださいました。ありがとうございました!



この週末は先週とは打って変わって横浜でのんびりと過ごしました。日曜日は午前中に予定されていた子どもの野球練習が明け方の雨で中止になり、家の片付けを終えたあと、お昼を食べがてら家族で大さん橋まで出かけ、寄港して公開中の南極観測船しらせを見学して来ました。


独特のまあるい大きな船首が印象的な船です。見ての通り横幅がとっても広〜い艦橋からは大さん橋と山下公園の見慣れた景色がいつもとは異なるアングルで楽しめました。貴重な機会であります。


と、まとまりはありませんがこの2週間のできごとを簡単に記しておきます。

とうとうまた9月が巡ってきちゃったなあ。この時期になると自分のやりたいことなかなか進んでないなあと身につまされますです。