1/26/2014

野毛で子どもと2夜、そしてアメリカン・ライド

金曜日に森山威男さんが年末に続いて横浜ドルフィーに来てくれた。今回は田中信正、加藤真一とのピアノトリオ。以前森山を生で観たことがある妻も行きたがり、子どもを連れて3人で鑑賞に出かけることになった。

お店の人に訊いてみると子どもの入場は構わないとのこと。ノーチャージだがパフォーマンスや他のお客様に迷惑が及ぶような場合は退場するという条件だった。当日チャージは5000円と高めだったし、子どもが持たないだろうからファーストセットで帰るつもりだったので、かなりの贅沢である。まあ貴重な機会だからいいか。

お店の入口の階段下で待っていた妻と子どもに入っていいよと合図。ちょうど入口の前でくつろいでいたメンバーの皆さんにご挨拶。森山さんは子どもを見ると「ボクは大丈夫かなあ...でもまあうちの娘ももっと小さい時から聴いていたから大丈夫か、いらっしゃい!」と一応歓迎してくれた。

予想通り店内は先のクィンテットの時よりも明らかに空いている。後方のテーブル席の角を使って3人座らせてもらった。子どもは最初は緊張してたが、ピザやチーズ盛り合わせなど食べものが出てくると少し寛いだようでいつものようにパクパク食べていた。

少し遅れて始まったセットは、約1時間で"My Favorite Things","Softly as in a morning sunrise"や"Impressions"などコルトレーン縁の曲を中心に5曲を演奏してくれた。初めて聴くピアノトリオだったけど、森山さんの演奏はいつもながらの力強く繊細なもの。妻も思わず「これこれ」っという感じで楽しんでいた。

子どもは速いフレーズなんかはまだよく分からないだろうけど、やっぱり森山さんや田中さん(久々でしたがずいぶん味が出ましたね)の破天荒な演奏には目を丸くしていたので、なんらかのスゴさを感じてくれたのは間違いないと思う。最後の方はやっぱりちょっと飽きて来てたかなあ。

1セットだけでも十分満足できたけど、お客さんはやっぱり少なかったなあ。若い人はいない。寂しいことだけどやっぱりしょうがないのか。一度NHKか何かでドキュメンタリーでも作ってくれないかなあ。絶対に国宝だよこの人は。

翌土曜日は子どものスイミング教室に行って、山田ホームレストラン(相変わらず素晴らしいお店でした!)で3人お昼を食べた後、僕と子どもで大きな遊具がある蒔田公園へ。

遊具で楽しそうに遊ぶ子どもを眺めていると妻からメールで、夜に幼稚園のママ友と山手の焼き鳥屋さんで飲み会をやるとのこと。なんだそういうことか、やれやれ...。

ということでこんな機会でもなければ行けないよなとばかりに、僕と子どもは野毛の「魂屋」へ。まだ時間があったので蒔田から伊勢佐木商店街を通り抜けてぶらぶら歩いて野毛に向かった。子どもにとっては念願の入店である。

少し早く着いてしまってまだ空いてなかったのだが、マスターが「まだ散らかってるけど...」といいながら快く中に迎え入れてくれた。

子どもはちょっと変わった雰囲気と親しげに話しかけてくれるマスターと彼の息子さんにちょっと緊張したのか、最初はおとなしくしていたけど、テレビでアニメを見せてくれたりおいしい食べ物(ナチョナチョと鶏の唐揚げをいただきました)、そしてジュース(ももクロサワー杏果の酒抜き:笑)を食べているうちに慣れて来て、やがて息子さんのリードで一緒に遊ぶ様になった。

フロア担当?の彼が子どもの相手をしてくれるのは嬉しくもあり、お店に申し訳ないような気もありだったが、その間、マスターとも少しだけももクロの深話をさせていただいたりと、僕も寛がせてもらった。

僕がカウンターで飲んでいると「パパあ、オシッコお」というので名物のトイレへ。中に並べられたいろいろなもの、とりわけ大好きなティラノザウルスのオブジェには大喜びで目を丸くしていたね。もうちょっと遊ばせてあげたかったけど、お店も混んで来てなんとなく悪い気がしたので7時半で引き上げることに。

マスターのお子さんも残念そうに見送ってくれ、帰りに何かのデュエルカードみたいなのを数枚子どもにプレゼントしてくれた。子どもはお喜びで家に帰って大事そうにケースにしまってました。

ママもすっかり楽しんだみたいだし、暖かいよい週末になりました。日曜日夜になったいまはまた寒さが増してきて、外では強い風が吹き荒れている。

妻の帰りを待つ合間にiPadで視た、以前ネットラジオで流れてきたウィリー=ナイルの"Amarican Ride"のPVが気に入っている。オン・ザ・ロードなスライドショーに意味深な歌詞が刷り込まれる展開。これ素晴らしいですね!是非フルスクリーンでじっくり味わってください。



子どもにはちょっといろいろ経験させ過ぎかなあと思いつつ、自分がいいと思ったものを共有したくてついこっちがわがままになっている。子どものわがままもきっと同じようなことなのだろう。こっちが気に入らないからって怒っちゃいけないね。

いまはまだそれを無邪気に都合良く受け入れたり流したりしてくれているようだ。危険が及ばない限りは好奇心の赴くままにさせてあげるのは何かのタメにはなっていると思うことにしよう。

1/19/2014

ローザ・ルクセンブルク

日曜日は子どもがスイミング教室が主催するイチゴがりに参加するということで、朝9時半から夕方4時半頃までは妻と2人で過ごすことに。全くの思いつきで渋谷に映画を観に行くことになった。

みなとみらい線〜東横線で渋谷に行き(これが2人とも初めての渋谷駅地下ホームだった)向かったのはユーロスペース。子どもが生まれる前か、もしかしたらまだ結婚する前だったか、2人で映画を2回ほど観に行ったことがある。調べてみると当時とは移転していて、いまは道玄坂のホテル街の一角にある。

日曜日の午前11時前に2人で道玄坂を昇ってそそくさとホテル街を通り抜け(笑)目的地に到着。ちょうど11時から上映が始まる2本の作品から、何もわからぬままドイツ映画の「ローザ・ルクセンブルク」を観ることにした。

ローザは20世紀初頭のドイツで第一次大戦前後の混乱期に現れた社会主義運動の女性活動家、ということを覚えている程度。彼女の生涯を映画化したものなのだろうくらいのことしか知らず、映画作品について何らの知識も持たずに2時間10分の映像世界に飛び込んでしまった。

ひっきりなしに政治的演説とディベートが繰り返される作品のラストで、彼女の生涯が強制的に閉じられるところで文字通り作品がボチャんと終わるので(ネタバレになるかもしれないけど実話だからいいだろう)、突然に重い感動が観る側に押し付けられるような状況になり、しばらく席から立ち上がれないような感じになってしまった。

とても素晴らしい映画だった。こういうのをスクリーンで観るのは2人とも久しぶりで、故水野晴郎氏の名台詞が頭をしっかりとよぎった。

そして直後にはその合間にちょっとだけ、子育ての日々にふとできた束の間の冬晴れ日曜日に、何もわざわざこんな重い映画を見なくともという気持ちも入り交じったけど、それは2人で映画館を後にする頃にはきれいに消えてしまっていた。

僕は先週の日曜日に子どもとディズニー作品の「プレーンズ」を、妻は子どもが幼稚園に行っている間に「ジャッジ」を観ていたのだけど、妻と2人で映画を観るのは本当に久しぶりで僕は嬉しかった。この1週間は偶然にもわが家三様の映画スタイルが実現したわけだ。

2人で遅いお昼を食べようと東急文化村方面に歩いていると、渋谷シティホテル1Fにあるカフェバー「RAIZ/ライズ」のメニュー看板が目にとまり、そこでお昼を食べることにした。

まったくの通りがかりで入ったのだが、豊富なメニューが選べて素晴らしいサラダバーとドリンクがついた1000円のランチはなかなかの優れもので、場所柄店内も空いていて居心地よく、映画から受け取った重い感想をゆっくりと消化するにはいいひと時となった。

主演のバルバラ=スコヴァの成り切り演技は凄まじく、あとで実際のローザの写真を見るにまさに生き写しと思える迫力。

ローザの存在を歴史の流れの中でのひとつのピースと捉えるか、人間が備え得る普遍的な資質の一種と捉えるか、答えは自明のことだと思う。人間は内面に持っていた強さを、自らが作り出したもの(文化文明だろうか)に託し何かのバランスをとろうとしているのだろうか。

そんなことを考えながらお店を後にして、2人でこれまた久しぶりに渋谷の街をぶらぶらしてみた。初めて「ヒカリエ」にも行き、地下食品売り場でマカロンをお土産に買って電車で横浜に戻り、いつもとは少し若返ったような気持ちで、イチゴがりを楽しんだ子どもの帰りを待った。

1/13/2014

大さん橋で書き初め

成人の日を含む3連休。寒かったけどいいお天気が続いてのんびりと過ごせました。

土曜日は幼稚園のママ友で夜の会合を開催するとのことで、スイミング教室を終えた後の子どもを引き受けて、半日子どもと2人で過ごすことに。お母さんはたっぷり楽しんで来てね。

象の鼻パークにあるカフェでコーヒーを買って、コンビニで調達したおにぎりやパンを食べる。大さん橋には大きな客船が2隻(飛鳥Ⅱとニッポン丸でした)入っていた。それにしても飛鳥Ⅱは何回見てもデカいなあ。象の鼻カフェの屋上から見てもこの大きさですからねえ。
船を見に行こうとそこから大さん橋まで歩きました。船が来ていることもあって大さん橋はいつにも増してにぎわっていた。そういえばこの連休中はウォーキングはせず(反省)。

桟橋のうえは風が強かったけど、結構暖かい冬の太陽も降り注いで早朝とは違うこの場所のよさが一杯でした。写真にある右の二つの旗は「航海の安全を祈る」ですね。

桟橋内のアトリウムで「百二十の寄せ書初め」という書初めイベントが開催されていたので、子どもと参加してみた。百二十人集める予定だったみたいだけど、ちょっとそれには足りなかったかな(笑)。

広い場内一杯に百二十の書道座敷?が用意されている様子はなかなか壮観でした。(イベントの様子は上記リンク先でご覧ください。最後の集合写真にもちゃんとおさまってますよ)

僕は大筆で字を書くなんて一体いつ以来のことかなあだったんだけど、子どもにとってはこれが初めての筆と墨汁と半紙の体験でした。

先ずはパパが見本をとばかりに、5枚用意していただいた半紙に、「音」と「楽」の字をしっかり書いてみました。お題は特になかったんだけど、横浜にちなんだものと今年1年の自分の希望を込めてということだったので、これにしました。

毎度の...というよりは今回はそれなりに思いを込めたつもりなんだけど、字はやっぱりだめですね。とても載せられません(笑)。

さて子どもは早くやってみたいとはやるので、パパが筆に墨汁をつけるところは手伝ってあげて、あとは筆の持ち方だけ教えてあげてあとはやってごらんということにしました。

お題には、たぶんいまのところ一番ちゃんと書けるはずの自分のお名前をひらがなで、とサジェストしたら「うん、そうする」ということに。

最初の1枚こそ筆の感覚が全く分からないままに終わってしまったが、それを少し注意してあげると以降は結構上手に書いてました。墨のかすれ具合とかの筆遣いもなかなかのもので、親バカかとは思いつつちょっとビックリ。ここに写真を載せられないのが残念です。家に持って帰ってさっそく部屋の壁に貼りました

イベント後半はきれいな女性の先生が大きな紙に「輝」の文字を大筆で書いて、その周りに小さな半紙の片に参加者が思い思いの文字を書いたものをちりばめた作品をつくって楽しむコーナー。子どもも僕と2枚書いて出しました。この中にちゃんとありますよ。

偶然に参加することになった書初めでしたが、楽しくいい体験になりました。書道の師範だった僕の母もどこかから見ててくれたかな(まあ僕の字の出来はともかくとして)。

大さん橋を後にして、赤い靴号で桜木町駅まで行き、少し休憩したり本屋さんをぶらぶらした後、野毛に行ってみました。「魂屋」に行きたかったのですが、残念ながらこの日はお休みでした。子どもも不思議な店構えを見上げながら残念がってました。

結局「オムライス!」といういつものリクエストをあっさり受け入れて「センターグリル」でオムライスとナポリタンをいただきました。僕がそれぞれ0.7人前ずつくらい食べて生ビールも飲んだので、そりゃまあ満腹になりますわなあ。

家に帰って録画してあった「ガンダムSEED」に目を輝かせ、一緒にお風呂に入ってお布団で絵本「カラスのパン屋さん」を読んで消灯したのが午後9時半でした。さすがに疲れたのか子どもは3分ほどですやすやと眠りに入りました。

僕はそれから起きだして子どもが寝ているとなりの小部屋でお酒を呑みながら妻の帰りを待つことにしましたが、こちらも酔って疲れてしまって、午前0時少し前にショートメッセージでの「帰ります」を確認するとそそくさと歯を磨いてバタンキュー。妻が帰って来る前に子どもと眠ってしまいました。

ママは中華街の老舗名店でお手軽コース料理を楽しんだ後、山下町のジャズバーで賑やかな一夜を過ごしたのだそう。こういうイベントはちょくちょくやればいいと思うよ。

さて書初めで想いを込めたその夜に、アマゾンで購入した品物が連休3日目の今日届きました。小さな安いものだけど、まさかまたこういうものを買うことになるとは...。

結局今日は子どもと映画を見に行ったりしたので触れずじまいでしたが、まあ機会見てゆっくりと始めて行きたいと思ってます。


1/05/2014

セカンドディケイドへ

あけましておめでとうございます。

えぬろぐはめでたく10周年を迎えました。ほぼ一定のペースで更新を続けながらこんなに長く続けられるとは、自分でも正直意外です。やっぱり凝り性なんでしょうねぇ。文章を書くことはそれなりの人生の足しになったという実感もあり、この蓄積を糧に何かを始めるきっかけになればと思います。

本年も引き続きよろしくお願いいたします。


年末年始は妻の実家がある広島で過ごした。今年は比較的暖かなお正月でのんびりと過ごすことができた。2人の子どもがいる義理の妹家族もやって来て、子どもは従兄姉と朝から夜遅くまで遊んで楽しそうだ。妻もほとんどの家事を両親がやってくれるので、年末年始の慌ただしさなどどこ吹く風でくつろぎまくりの日々に大満足である。

じいちゃんばあちゃんと戯れる子どもを眺めているのは楽しいものだが、時折ふと自分の両親のことを思い浮かべては妙に複雑な気持ちがこみあげてきて切なくなる。そのことが目の前にいる義理の両親や妻に申し訳ない気がしてどうにもこうにもきまりが悪い感じになる。仕方のないこととはいえこれに慣れるにはまだ少し時間がかかるのかもしれない。

大晦日は恒例?となった、僕の兄のマンションで飲み明かし、久しぶりに午前3時頃までビール、ワイン、日本酒、ウィスキーといろいろな酒を呑んだ。兄の趣味である写真をいろいろと見せてもらいながら、やっぱり続けることと深めることは大切だなと酔っぱらった頭で納得した。

お正月2日の午後に、兄に車を出してもらって家族3人を呉から江田島へのドライブに連れて行ってもらった。カーステレオでポップスが流れる車に揺られる海岸線の道。呉では基地に停泊するたくさんの潜水艦を眺めたり、新しくできた第2音戸大橋からの眺めを楽しんだりした。

江田島での目的地は「がんねムーンビーチ」という海水浴場に設定してくれていたのだが、行ってみるとこれがずいぶんと寂れたところで、ここが本当に海水浴場なのかと思った。小さい頃に両親に連れられてきた記憶があるという妻も「え...ムーンビーチってこんなだったっけ?」と驚きを禁じ得ない。

子どもだけはそんなことはお構いなしにさっそく冒険を始め、浜辺にうち上げられたボールを蹴っ飛ばしたり、貝殻なんかを拾ったり、岩場を探検したりして楽しんでいた。瀬戸内海の島々が浮かぶ海の眺めは美しい。僕が横浜の海と同じくらい愛する景色である。

アーテコハウス」というお店らしい建物があるのだが、外装は古いし周囲も雑然としていて、これはもうてっきりつぶれちゃったんだろうなあと思って、窓から中をのぞいてみると(失礼)なんとなく比較的最近まで人がいたような生々しい気配があった。店内の奥には明らかにそれと分かる楽譜がいっぱい並んだ本棚...。

あとで横浜に帰って調べてみると、この浜辺とお店について興味深いことがいろいろとわかって、妙にこの場所に親近感を持つ様になった。今回は省略するが、また広島に行った際には少しそのことをこの目で確かめてみたいと思っている。

3日の午後に僕は単身横浜に帰ることにしていた。義父が好きな箱根駅伝の復路の中継を視ていると「東海道山陽新幹線 運転再開」というテロップが流れた。携帯でちょっと調べてみると有楽町駅付近の沿線火災の影響で云々とある。

まあたいしたことではないだろうと思って、少し早めに広島駅に行ってみると結構列車が遅れていて大事らしいことがわかった。自分が乗る予定の列車の定刻までまだ1時間半ほど時間があったので、駅ビルのASSEで串カツと酒をやってその後コーヒーを飲んだ。

幸い列車は定刻に出発したのだが、その後新大阪駅までのろのろ運転が続き結局そこまでで予定の時間より2時間遅れの3時間を要した。そこからはほぼ通常通りの走行に戻ったが、新横浜に到着したのは午後9時半近かった。JRの規定により特急料金は全額払い戻しとなるのでまあちょっとしたお年玉だと思って諦める。

しかし、やっと着いたと思ったら、今度は横浜アリーナであったらしい男性アイドルグループのイベント帰りの人混みも合流して、横浜線のホームは大変な状況だった。いままでならそういうことには激しく眉をひそめていたのだが、いまや人のことは言えないなと思うとなんとかガマンすることはできた。

4日の朝は大さん橋までウォーキング。6時前の港はまだ暗かったが、薄明に浮かぶベイブリッジはやっぱり清々しかった。これに始まり、この日1日はかなり奔放に暮らした。午前中は年末に買った新しいアンプで、日頃iPodとイヤフォンでばかり聴いている、フリーのお気に入りをしっかりした音量で聴きまくった。

昼はこのところ食べていなかった「花月」のげんこつラーメンを食べに蒲田まで出かけた。生絞りニンニクを2片惜しげもなく絞り込み、ご飯と一緒に味わった。たまに食べるとウマいのだが、まあ次に食べるのは半年後くらいでいいかな。

午後はまた家に帰ってコーヒーを飲みながら音楽を聴き、夕食をどうしようかと思って野毛の方に行ってみることにした。

野毛を一周して以前から気になっていた「魂屋」を探した。やっと探し当てたのだがやはり入る勇気が出ない。情けないと思ったが店の場所がわかっただけでもいいかと引き返し、結局ぴおシティの「石松」でもずく納豆とマグロブツをつまみに小ビールとコップ酒をやった。ここもいつもよりはのんびりした雰囲気で、立ち呑みとはいえ居心地がよかった。

少しいい気分になってくると、やっぱりせっかくここまで来ているのにという気持ちが込みあげ、悔いのないようにと「魂屋」まで引き返し、店頭に流れる「オレンジノート」に吸い寄せられる様に薄暗い扉を押し開けてなかに入った。

ビールとフライドポテトを注文して、カウンターの角でモニターの正面に座ってそこに映るももクロちゃんたちを眺めていると、お店の常連らしい女性のお客さんがお父様を連れて来店して隣に座った。

そこから3人と店のお手伝いをしているマスターのお子さん(いま8才だそうです:もっぱら女性のスマホでパズドラやって遊んでました)も交えて、ももクロの話ではなく(笑)、正月の雑煮の話とか、ご親族で揉めている納骨とお墓の話とかわけのわからない他愛もない会話を楽しんでいるうちに時間が過ぎて行った。残念ながら美味しい名物料理は楽しめなかったけど、またちょくちょく行ってみることにしようと思う。

休暇の最終日の今日は家の周囲の植栽の整理と掃除なんかをしながら過ごした。昼は元町に出かけて「フィッシャーマンズワーフ」で名物のシーフードのトマトソースパスタを食べた。途中、隣の席に男性の独り客が座ったのだが、ハンバーグを注文する際に「肉は何?牛肉?変な肉は使ってないの?合成肉とか」などと自己中なことを言うのが気に障った。彼のハンバーグはなかなか出て来なかった。

夕方にこのろぐを書きながら、年末に運良く手に入れたポール=ラザフォード、デレク=ベイリー、バリー=ガイによるフリーインプロヴィゼイション史上に残る名作"ISKRA 1903 CHAPTER ONE 1970-1972"を聴いている。帰りのノロノロ新幹線の中でもずっとこれを聴いていた。

ラザフォードが命名したユニット名"Iskra"とは、ロシア語で「閃光」のこと。レーニンが革命前に書いた論文のタイトルから採ったらしい。1970年から約2年間に渡る活動を後日にEMANEMレーベルが集大成したのがこの作品。即興演奏の優れた作品はいくつも聴いて来たつもりだったけど、やはりここに収められている内容は噂に違わぬ素晴らしいものである。作品の詳細はリンク先の解説を参照していただきたい。

CD3枚に3時間半にわたって収録されたこのユニットの奇跡の記録を、2014年の自分のテーマ音楽であるかの様な気分で楽しませてもらっている。かなり入手が難しい状況になっているが、いつか必ずダウンロードの世界でも復活することは間違いない。それにしてもやっぱりスピーカーで聴くのはいいもんだなあ。

今年もこんな調子で始まったが、やっぱり何かをあらためて何かを始めたいという気持ち(力ではない)はどこからともなくわいてくる。あとはそれを具体的な行動にしていかないと。魂屋の扉を開いた様に。年末に誓ったジャンプへの想いを忘れずに頑張ってみようと思う。