12/25/2011

ライヴ アット カシオペア

イヴをはさんだクリスマス3連休。横浜もかなり冷え込んだが、いい天気に恵まれ、家族でのんびり過ごすことができた。

子どもにはイヴの朝にサンタさんがやってきた。目が覚めて枕元に置かれたプレゼントの包みを、嬉しそうに見つける表情を動画に収めて喜ぶ親バカである。

僕も自分自身へのプレゼントにフライのエンジニアブーツを買った。アメリカから個人輸入で取寄せた。心配されたサイズは最初履いたときは少し小さめかなと思ったが、3日間続けて着用しているといい感じに足に馴染んできた。

2011年のろぐは今回が書き納めになる予定。おかげさまでこのろぐも8年目を無事に終えそうなところまでやってきた。

世の中では、大震災に原発事故に電力不足、そして欧州の金融不安などなど、運命と時代の大きな転換というものを嫌でも感じさせる1年だった。その意味では世知辛いと言わざるを得ない側面も大きかった。

だけどそうしたなかでも、家族や僕個人の生活という意味では、思い出深い出来事やいろいろな新しい出会いがあり、とても充実した毎日を過ごすことができたと思う。僕を生んでくれた両親から宇宙に至るまでの奇跡的な偶然の積み重なりに感謝しなければならない。

趣味の音楽に関しては、従来以上に「フリーな音たち」と向かい合うことになった。これについては僕の人生のなかではひとつの節目になったのではと思う。

僕にとってのこの1年を代表するアーチストは、
 ・リード奏者で作曲家のアンソニー=ブラクストン(Anthony Braxton)
 ・ピアニストのマシュー=シップ(Matthew Shipp)
 ・ベーシストのピーター=コヴァルド(Peter Kowald)
の3人だ。1年を通じて彼らを中心に即興演奏の記録を本当に数多く聴きまくった。

そして、その1年を締めくくる音楽として今回は、ピーター=コヴァルドが、サックスのジュリアス=ヘンフィルと組んだ2枚組"Live at Kassiopeia"をご紹介しておきたい。

ここで演奏している2人はもうこの世にはいない。ヘンフィルはワールド・サクソフォン・クァルテットのメンバーとして有名だが、彼が既に1995年に故人となっていたことを僕は知らなかった。

いまから24年前になる1987年の1月に、ドイツのヴッパータールという街にあるライヴハウスで収録されたもの。これがどういう経緯で陽の目を見ることになったのかはわからないのだが、今年の秋に突然リトアニアの新興レーベルであるNo Business Recordsから発売された。

1枚目はそれぞれのソロがたっぷり、2枚目はデュオセッションが収録されている。音質はまずまずだが演奏内容は抜群に素晴らしい。同レーベルの紹介ページで少しだけ試聴ができるのでご興味のある方は是非どうぞ。

ベースから縦横無尽な音宇宙を紡ぎだすコヴァルドに対して、ヘンフィルのサックスはオーソドックスなジャズをしっかり感じさせる即興演奏で、サックスのフリーにありがちな絶叫的な咆哮はあまり聴かれない。それが彼らしさなのだろう。

面白いのは、デュオで珍しくピーターが、ジュリアスに合わせてか4ビートのランニングを長々と繰り出すシーン。興味深いけどやっぱり彼にはこういう演奏はあんまり似合わない。ジュリアスという相手あっての演出だったんじゃないかな。

CD購入も年内はもはや打ち止めかと思っていたのだが、やっぱりコヴァルドはいいなあということで、国内でフリーを専門に扱っておられる埼玉のBarbar Fujiさんから、3枚ほど彼の作品を取り寄せることにした。いまとなっては彼の記録はとても貴重なものだから、なるべく手に入れられるものは耳にしておきたい。

来年の目標など特に考えてはいないが、家族が元気でいてくれるということと、僕自身についてはもう少し仕事を頑張れるようにしたいと思いつつ、即興演奏の世界に自身も身を投じてみようかなとも思っている。酒とウォーキングは同じペースで続けられればいい。

年末にかけては少し寒さはやわらぐとのことだが、昨年のように体調を壊さぬよう気をつけて過ごしたいと思う。

どうか皆様もよい年末年始をお過ごしください。

12/18/2011

横浜の週末

最近聴いている音楽のことで書きたいこともちょこちょこあるのだが、北海道の幼馴染みから自宅と職場のLANのことなどで相談したいということで、日曜日の夜にスカイプでしゃべっているうちに話が長くなってしまい、いつの間にやらウィスキーにも手をのばしてしまって、お話が終わるころには少々ほろ酔いになってしまった。なので今回は簡単に近況など。

先週に続いて寒い週末。土曜日は大さん橋にウォーキング。まだ日が昇っていないベイブリッジや本牧ふ頭など、朝の海がきれいだ。本当は週の真ん中の水曜日あたりにも、同じようにウォーキングができれば、もう少し身体のためにもなるのではと思うのだが、なかなかそうもいかない。

そんなことを思いながら自宅近くまで戻って来たら、生まれて初めて警察の聞き込みを受けてしまった。何を捜査しているのかはわからなかったけど、別に僕が怪しいということではなく、この周辺に関係があるらしいあることを訊かれた。僕はそれに対しての自分の知っていることを答えたまでだった。

日中はどこに出かけようかと考えて、久しぶりに家族で八景島へ。最初はそういうつもりはなかったのだけど、シーパラダイスで水族館やイルカやオットセイのショーを見物した。決して安くはないのだけど、イルカのショーってなぜか気分が高ぶって楽しくさせてくれる。水族館では、ラッコやクラゲ、マンボウやジンベイザメなども見ることができて、子どもも満足したようだった。

僕は泳ぎも得意ではないし海に潜ることもできない。サーフィンもボディーボードもできない。でも暮らすのは海の近くがいい。それは港町でも、人気のないビーチの端っこでも、水平線が見える断崖でもいい。海の存在が何らかの形で感じられるのならそこでいい。

日曜日も自宅近くでのんびりした。久しぶりに近所の子ども達を何人か見かけたが、やっぱりみんな少しずつ成長している。うちの子どもも同じように成長している。できないことはまだまだいっぱいあるけど、できることは少しずつで増えている。いま僕が思うのは、耳がいいのと記憶がしっかりしていること、そして運動神経がいまひとつということだろうか。

冒頭にも書いたように、いろいろと紹介したい音楽はあるのだけど、ラフロイグが身体にだいぶんしみ込んで来たので、今日はこのへんで。

12/11/2011

スカイプで一杯やりましょう

また一段と冬らしくなった一週間。土曜日は5時に起きて本牧方面にウォーキングに出かけたが、山頂公園付近はしっかり霜が降りているのがわかった。

ウォーキングを日曜日にしなかったのには訳があった。この日の夜は、先のオホーツク旅行で世話になった幼馴染みと一杯やることになっていたのだ。じっくり呑むつもりだったから翌朝5時起きはまず無理と考えた。

といっても、僕が厳寒の地(前日の朝の気温はマイナス17℃だったそうな)に赴くわけではないし、彼の方から生温い冬の横浜にやってくるわけでもない。そうスカイプでお互いの顔を見ながらおしゃべりとお酒を楽しもうという段取りなのである。

スカイプはずいぶんとメジャーになっているものの、やはりまだ話には聞くけど使ったことがないという人も多いことだろうと思う。でもこれは本当に楽しいもの。特にこうして普段なかなか逢うことのできない人と一杯やるのは最高である。

先の旅行でお世話になったお礼にと、彼にはアイラ島のモルトウィスキー「ラフロイグ」の「カスクストレングス」を2週間ほど前に送ってあった。ラフロイグは初めて飲む人からは必ず「消毒液」と言われる独特の香りが特徴。

医療関係者で酒好きの彼には、思いっきり嫌われる可能性もあったのだが、やはり彼と自分自身にふさわしいものを贈ろうとこれに決めた。彼は最初の一杯こそ戸惑ったものの、たいそうこれを気に入ってくれ、いまではすっかりモルトウィスキーのファンになってくれたようだ。

今回は僕の方でも久々にラフロイグのボトルを用意し、オホーツクと横浜の間でアイラウィスキーをやりながら楽しいひとときを過ごさせてもらった。夜8時にスカイプを始めて、最初は子どもや妻も交えながらビールを飲み、2人が階下に寝に降りた午後9時前頃からラフロイグであらためて乾杯となった。

お話の内容は一般的な幼馴染みの酒飲み話である。時間と場所があちこちに行きながら、酒がいいように進んでゆく。トイレにも行くし、氷やおつまみを取りに席を立ったり、手元の本の一部をウェブカメラに近づけて見せたりする。気がつけば時刻は午前0時少し前になっていた。

また春が近づいたらスカイプでの再会と、近い将来、今度は彼の方から横浜に遊びに来てもらってそこでまた地元の料理をいっしょにつつきながら一杯やりましょうと約束し、スカイプをアウトした。僕のボトルは4分の1ほどなくなっていた。楽しくもおいしいお酒だった。

以前、このろぐでちょこっと書いたが、一時期少しだけやろうとしていたFacebookはどうにも気持ち悪くてやめた。お友だちで登録していただいた方には、特に事前にお知らせすることもなく失礼してしまったかもしれない。しかし僕にはどうもSNSというやつは居心地が悪い。ウェブは開かれた素直なものだ。

このろぐは僕の友達に限らず、知人であれそうでない人であれ、誰にでも読んでいただければと思って続けている。ここに書いたことがささやかであっても、どなたかにとって何かのお役に立てるかもしれない、ということも少しは感じているつもりだ。

なかなかお目にかかる機会がとれない人でも、スカイプを使えば簡単にグラスを傾けることができる。もちろん実際に同じボトルの酒を酌み交わすことはできないが、そのハンデは些細なことにすぎない。

僕としては、Facebookのお友だちリストに登録してもらうことよりも、こうしてスカイプでお話しができることの方が、よりインターネット的で自然なことだと思う。加えて一杯おつきあいいただけるのであればなおよしである。ただしスカイプでのコンタクトをしていただく前に、事前にメールなりでご一報はいただければと思う。

(おまけ)わが家のリヴィングでオホーツクに住む友人とスカイプを楽しむ僕と子どもです。子どもにとってはこれが当たり前の世界になるんだろうなあ。

12/04/2011

否定不可

円高差益還元月間ということで11月に一挙に購入したCD(その後また2枚追加となったので)合計8枚が、ここ2週間程の間でバラバラとポストに投げ込まれてきた。

今回はそのほとんどがフリージャズかそれに関連する(まあそんなことはもはやどうでもいいのだが)もので、その点は相変わらずだ。少しずつ聴いているが、欧州の金融不安がひたひたと恐慌に向けて動くなか、音楽を聴いているその時はイヒヒとかウフフの日々である。

なかに1枚だけ毛色の異なるものがあって、今回はそれについて少し書いてみる。何かといえば、ジャズギタリストのパット=マルティーノの新作"Undiniable"がそれ。

アランの店で物色中に何気に新作リストにこれが顔を出しており、「へえ、マルチーノさんまだ頑張ってるね〜」とクリックして、たまたまあったサンプルを試聴したのが運のつきである(ご想像通りアルコールによる撹乱も若干影響している)。

聴こえてきたのはまぎれもないマルチーノの音色だが、往年の「音符は続くよどこまでも」よりももっと深い味わいのある演奏。まあそこが彼本来の持ち味なのだろうが。

2009年に行われたワシントンD.C.の有名なクラブ「ブルースアレイ」でのライヴ盤で、サックスにエリック=アレクサンダーが、そしてドラムスにはなんとジェフ=ワッツが座っている。

演奏はもちろんエキサイティングなのだが、そこはやはり御大がリーダーを努めているとあってか、珍しくかなりリラックスしたジェフのストレートなドラミングが楽しめる。ベースはおらず、トニー=モナコさんというオルガン奏者が参加して低音も担当。

会場の方はただひたすらマルティーノを楽しみに訪れた、という感じのお客で溢れており、彼のギターが渋く熱を帯びる場面では「イェーア!」と野太い歓声が湧き上がる。いい雰囲気だ。

「もう」というより「まだ」というべきだろうが、御大はいま67歳でいらっしゃる。いやあ素晴らしいですよ、我が道をいってしっかり濃く熟すというのは。タイトルそのもの、誰にも否定はできません。

やっと本格的に寒くなってきたと思ったら、今日はまたちょっと暖かな日曜日だった。今夜はビールでもやりながら、ワシントンの一夜をもう一度味わってみたい。