ベーシストのバール・フィリップスが自身で「最後のベースソロアルバム」として収録した作品「エンド トゥ エンド」が届いた。
アルバムのライナーによると、彼がこれを決断したのは81歳だった一昨年のことだそうだ。
告白されたECMの創設者でありプロデューサのマンフレッド・アイヒャーはすぐに準備に取り掛かり、ECM作品としては早めの段取りの2年越しで発表された。
彼のソロ作品は、持っているもので多重録音の作品を含めて6枚だったと思うけど、実際には全部で何枚あるのか僕は知らない。
最初のECMレーベル作品は意外にも45年前のデイヴ・ホランドとのベースデュオである"Music of Two Basses"だ。
聴いてすぐにぶったまげる様な音楽ではないけど、若い2人のベーシストが熱く通い合いベースという楽器の雄弁さが楽しめる作品である。
今回のソロ作品の予告編に相当するECM製作の映像がこれだ。
実際の演奏とその周辺の経緯を交えて作品の世界観がとてもよく表されている映像だと思う。
アルバムは多重なしで収録したソロ演奏を"Quest", "Inner Door", "Outer Window"という3つの組曲にまとめてある。
彼がこれらの演奏を事前にどの程度まで構想していたのかはわからない。
即興であるには違いないのだけど、「最後のソロアルバム」と決意したことがアルバム全体にただならぬ雰囲気を醸し出していることは明らかだ。
そのことを(しないという選択肢もあったはずだろうが)わざわざリスナーに伝えたことに商業上の意図はおそらくないだろう。
部屋でこのろぐを書きながら、台風の影響が及んで来て外で風が吹き荒れているのをいいことに、いつもより大きめの音でスピーカーでこれを聴いている。
限りなく静寂な環境で聴けることが理想だけど、自然の音だけはかろうじて作品に重なることを許される。
この豊かな音色とフレーズをいつまでも聴かせてもらいたいものだが、その時計を自ら永遠に封じるが如くアルバムの幕切れはとりわけ深い。
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