気がついたらもう今年も半分過ぎてしまった。着実な時の流れ。
梅雨だからというわけでもなく、どんより重苦しいものがいつも心や感覚のどこかにある。僕は不幸な過去をひきずっているという人ではない。いまある重苦しさはその逆で、気持ちが将来に向けられた途端に、急に厚い雲がたれ込めてくる、そんな感じだ。
土曜日の朝6時、大さん橋から視る横浜港にはすでに高く日が昇っている。でも人影はまばら。この季節だともう少し早い時間に来ることができれば最高なんだけど、あと1時間の早起きはなかなか難しい。8月の終わる頃になるまでは、少なくとも毎週こうして来ることができればいい。
さて、ECMから素晴らしいピアノトリオの作品が届いた。
スティーヴ=キューンの"Wisteria"。ベースはスティーヴ=スワロー、ドラムはジョーイ=バロン。
ライナーにはリーダー自らの言葉で「スワローとは50年、バロンとは20年の付き合いになるが、こうしてトリオでやったのは初めて。ウマくいくだろうと強い予感があったけど、裏切られることはなかったね」とある。
その自信にあふれた言葉通り、この作品は全く以て素晴らしい内容である。ピアノトリオの名盤殿堂があるとしたら、僕は間違いなくこの作品をその候補にあげる。2人のスティーヴはもうかなりのお歳であるが、円熟というよりまったくもって水々しい演奏のクォリティは最高なのだ。
比較的アップテンポで繰り広げられる"A Likely Story"の緊張感や、思わず目を閉じて聴き入ってしまう"Wisteria"などなど、どの演奏も思わず「っくぅうう〜」と唸ってしまいます。
ご存知の方も多いと思うが、スワローが演奏するのはエレキベース。彼のベースを聴いていつも思うのは、本当にピュアなエレキベースの音色だなあということ。ここではHi-Cをつけた5弦ベースを使用して、ハイノートのソロも聴かせてくれるのだが、本当にクリーンな混じりっ気のないThe Electric Bassなのである。
そして、ジョーイ=バロンのドラムがまたイイ味とイイ音を出してます。この人も着実に決めるところをキメてくるんだよなあ。時折、パシャーンと入るライドシンバルとかスカーっとするし、ドラムソロにも然りげに強烈なオチを繰り出してくる。
少し前に手に入れてからもう何度も聴いているけど、聴くたびに幸せな気分にさせてくれます。えぬろぐ本年最大のお奨めピアノトリオ作品でありやーす!
ちなみにアルバムタイトルは「藤」のことだよ。
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