5/07/2012

大型連休その2:静岡県大井川鐵道の旅

連休後半は家族3人でいろいろなところに行って過ごした。

兄が帰路についたその日から、1泊2日で静岡県を旅行した。1週間前に急に決めた旅。まあ休暇中に温泉宿に行くのは、もっぱら妻へのサービスである(笑)。

空いている手頃なところを見つけるのにちょっと手間取ったが、やはりネットの力は素晴らしいものである。焼津にあるホテルアンビア松風閣というところにお世話になることにした。

ここを選んだのは、伊豆や熱海・三島以外の静岡に行ってみたかったのと、その先にある「大井川鐵道」で子どもが大好きな蒸気機関車が走っているのを知ったから。

しかし、この日は荒れ模様の天候だった。新横浜から乗った新幹線を静岡で降り、在来線で向かった焼津では早くも雨だった。

送迎バスで駿河湾の絶壁に建つホテルに着いてみると、玄関は海からのものすごい風雨が吹き付けていた。バスを降りて飛ばされそうになりながらのチェックインとなった。

松風閣は比較的大きめの温泉ホテル。僕らは駿河湾と富士山が一望できるという10畳の和室を取ってあったが、窓の外は駿河湾を荒れ狂わす暴風と、ガラスに吹き付ける雨の音が部屋に響いた。富士山は当然雨雲の彼方だった。

それでもホテルのサービスはなかなかのものだった。オーソドックスで嫌味のない食事と、広い温泉は気持ちよかった。当たり前だがマグロの刺身はメチャウマい。海を臨む露天風呂は嵐に吹きっさらしだったが、子どもは雨の中で入るお風呂にたいそう喜んだ。

夜は妻が子どもを寝かしつける間に、買っておいてくれたお酒を先にいただく。菊水のワンカップはなかなかイケる。

翌日はまだ曇り雨のお天気だったけど、風はおさまっていた。焼津駅から金谷駅までの在来線は結構混んでいて子どもがぐずって、ちょっと手を焼いた。それでもなんとか金谷に到着。ここからいよいよ大井川鐵道である。

蒸気機関車は金谷の次の駅である新金谷からの発着なので、一駅だけ電車に。これがその昔近鉄特急として走っていた車両だった。他にも、南海電車で走っていた車両もあってたいそう懐かしい。

そして新金谷でとうとう蒸気機関車にご対面。大井川鐵道では3両の機関車を保有しているようだが、この日はタンク式のC11型機関車が当番だった。

蒸気をシューっと吹き出して煙を吹き上げながら汽笛を鳴らす姿は、やっぱり何度見てもいい。子どもはもう目がクギ付けで、やっぱりここまで来た甲斐があったと胸を撫で下ろす。

蒸気機関車が引っ張る急行列車を見送った後は、新金谷駅にある「ロコプラザ」で展示してある車両を見たり、お土産物を物色。しっかりリモコンで動く蒸気機関車のおもちゃを買わされた。

せっかくここまで来たのだからと、途中の家山駅まで電車に乗ることに。車窓に大井川が現れる頃から茶畑の山と川の間に挟まれたわずかな幅の線路をひた走る。気持ちがいい路線だ。子どもは早くも寝てしまった。

家山駅は有人とはいえかなりこじんまりした駅。お昼を食べるところはあるのかなあと心配したが、駅に貼ってあった自作の広告(?)を見て、歩いて3分ほどのところにあるという「たいやきや」に行ってみることに。

お店は家が立ち並ぶ細い路地のなかにある。気さくなご家族が経営するこじんまりとしたところだった。お座敷がちょうど空いたよと、おばあさんに通されるとすぐさまおいしい川根茶をふるまってくれる。

ここで名物の「特製やきそば」を2人前と「静岡おでん」4種類、そして「抹茶たいやき」をひとり1個ずついただいて満腹になってしまった。どれもとてもウマいウマい。途中で変なお弁当買わなくて正解でした(料理の写真は上記のお店のサイトにあります)。

帰りは、さっき見送った蒸気機関車が上り列車として折り返してくるのを、家山駅で見ようと駅までいったのだが、意外にも家山で下車する人が何組かいた。

新金谷で本日の蒸気機関車急行列車はすべて満席といわれていたのだが、もしかしたら列車に乗れるのではと駅員さんに聞いてみたところ、たぶん空いてるから座席は車掌さんに聞いてといわれ、切符を買って飛び乗った。

運よくボックス席が空いていてそこに座ることができた。僕にとっては四十数年ぶりとなる、そして妻と子どもにとっては初めての蒸気機関車列車の旅。

レールのガタンゴトンとボォーという汽笛を聞きながら、窓の外を時折蒸気や煙が通り過ぎた。古い客車は左右に揺れる度にぎいーっと軋んだ。なんとも懐かしく落ち着けるものである。新緑の茶畑を眺めながら、子どもも「しゅーしゅーポッポはイイ!」と大満足の様子だった。

新金谷まで30分の短い旅だったが、本当にわざわざここまで来てよかったと感じた。新金谷駅ではめずらしい転車台を使った方向転換を見ることもでき、子どもにとってはまたとない記憶になったことだろう。

金谷から掛川まで在来線で行き、こだま号で新横浜を経由して家に戻る。1日で新幹線と蒸気機関車に乗って帰った子どもは、さっそく買ってもらった蒸気機関車のおもちゃを動かしてはウケていた。

大井川鐵道は、蒸気機関車だけでなく、南アルプスへと通じる上流の方面の非常に魅力的な場所だと感じた。是非またゆっくりと時間をとって訪れたいと思う。

0 件のコメント: