6/06/2010

古谷暢康の弁道話

昨日、またアランのところに4枚の注文を出した。なんだ、CDはもう買わないとか言っていたではないかという声もいただきそうだが、これにはちょっとしたわけがある(ということも一応言っておきたい)。

彼の店では買い物10ドルごとにクーポン券が発行される。それがなんとも不思議な代物で、このEコマースの時代に仰々しいデザインの名刺大カードが小包に同封されてきて、これを30枚ためると15ドル相当のクーポン(なぜかそれは電子クーポンなのだが)に換えてもらえるのだという。ところが電子クーポンをもらう為には、たまったカードをアランに郵送しなければならない。

僕は一度彼に対して、同じ仕組みなら、いまの時代、もう少し効率的にやる方法があるだろうが、と言ってやったのだが、アランの返事によると、いろいろと考えた挙げ句にこういう形をとることになったらしい。

これまで彼の店でいろいろ買ってきて、クーポン券は30ドル相当分がたまっていた。しかもこれは15ドルずつに分けて使わなければならないという仕掛けである。前回のマクラフリンを買ったのはその1回目だったというわけだ。

いくら円高だといっても、送料のことを考えるとやはり3枚くらいまとめて買わないとあまりメリットがない(このあたりやや表現が曖昧であるが)。なのでマクラフリンと一緒に買ったのは他に、デイヴ=リーブマンのソロ作品と、古谷暢康という演奏家の作品だった。

古谷氏については最新作の情報をディスクユニオンのブログで知って興味を持った。神奈川県生まれで現在はポルトガルのリスボンに在住し演奏活動をしているらしい。残念ながら最新作は取り扱っていなかったので、彼のデビュー作である"Bendowa(弁道話)"を買った。

ベースとドラムを従えたトリオ作品で、収録されている5つのトラックはトリオによる即興のようだ(曲にタイトルはつけられていない)。古谷氏はサックス以外にフルートとバスクラを演奏するいわゆるマルチリード奏者なのだが、演奏を一聴して彼のあるいはこのトリオの背景に、アイラーの"Spiritual Unity"があるのは誰しも感ずるところだろう。

ただそれだけならこの作品をここでわざわざ取り上げたりはしない。テナーがアイラーっぽくてフルートとバスクラがドルフィーっぽいとはいえ、非常に印象に残る作品なのである。おそらくその理由として何よりも素晴らしいのは、このトリオの完成度にあるのだと思う。

まだそれほど深く聴き込んだわけではないけど、同じトリオによる最新作もいずれ聴いてみたいと思うほどに、いいコミュニケーションを持ったグループだと感じた。

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