11/29/2009

カートとパット

最近気になっている音楽作品についてiTunes Storeで検索してみると、実に様々な作品がダウンロードで購入できることがわかる。1年ほど前に個人的なダウンロード熱が高まった頃に比べても、内容の充実ぶりは明らかである。

非圧縮デジタルオーディオであるCDに比較して音質の問題はあるが、はっきり言って現在の自分のリスニングスタイルからして、CDである必要性はもはやほとんどないといっていい状況にあり、将来もっと広い家に住んで高級オーディオの世界を満喫しようなどとという考えももはやなくなった。もしそれにかけるくらいのお金があるなら他にやりたいことがある。

むしろラックや段ボールに何枚も収まっているCDの存在が、目障りとは言わないまでも、日に日に気にかかるようになっていく。この1、2年ほどの間に何度か行ったり来たりしてきたこの思いだが、どうやら自分のなかである方向に舵が切られたように思う。いまアランの店から到着待ちになっている3枚のCDがひとつの区切りになるのかもしれない。

さて、先週末にダウンロードで購入した作品のひとつが、ギタリスト、カート=ローゼンウィンケルの最新作「リクレクションズ」である。今回はギタートリオによる真剣勝負の作品ということで、ただでさえ期待が高まるところに、ベースがブランフォードのグループで活躍するエリック=レヴィスということで、これはもう買うしかないとリリースを待ちこがれていたのである。

選曲はスローからミディアムテンポのものばかりを集めたかなり渋い内容。全8曲中モンクとショーターがそれぞれ2曲に、"You Go To My Head"や"More Than You Know"などのスタンダード4曲という構成になっている。数回聴いてみた感想としてはかなり密度の濃い内容で、僕にとって重要なギター作品になることは間違いない。

ギタートリオの名盤といえば、個人的No.1作品としてパット=メセニー等による「クェスチョン アンド アンサー」がある。僕にとってこの作品の存在感は圧倒的なものであり、パットの参加作品のなかで最高のものであると同時に、数あるギターアルバムのなかでも最も重要な作品のひとつだと考えている。

今回の作品を聴いて久しぶりにパットの方を聴いてみたくなり、少し聴き比べてみたのだが、やはりカートの作品はいまの時点ではまだ、これを超えるものではないなと感じた。「クェスチョン アンド アンサー」が僕にもたらす興奮は異様なものなのだということを改めて感じたわけである。

これについて書き出すと長くなりそうなので、それはまた別の機会に。誤解のないように繰り返しておくが、カートの今回の作品はとても素晴らしい。このグループでライヴがあるなら絶対に聴きに行くべきだと思う。それは僕にとってのギタートリオ名盤No.1の座を改めるべきかなと感じさせる程のものだったというわけだ。

カートのこれまでのアルバムが欲しくなってきたのだが、これからはダウンロードということになるだろう。しかし、そうすると購入に拍車がかかりそうで、それを抑えるのがまた大変である。

それにしても購入手段が変わっても日本で買う音楽はやはり高い。ものが安くなることと仕事が無くなることのどちらがとかいう議論ではなく、様々な音楽が一律で同じ様な値段になっている必要はないだろう。洋楽は原産国の価格で買えるようにすべきではないだろうか。

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