11/01/2009

ザ ロング マーチ

11月に入った。僕にとっては大きな変化があった2009年は残りあと2ヶ月である。明日の月曜日を休暇にすれば火曜日の文化の日とつながって4連休とすることができるのだが、あいにく休暇を取るのは諦めざるを得なかった。残念。

今日は2ヶ月ぶりに髪を切ってもらった。今回からサロンを変えてみた。以前2回お世話になったところも悪くはなかったが、カラーを自分でやることにしたので、それが売りだったそのお店に通う理由がなくなったのだ。

ヘアサロンの料金というのはよくわからないものである。基本的には技術料ということなのだろうが、よく考えてみると実際には、場所代だったり雰囲気代だったり接客代だったり性格代だったりと様々である。同じ施術でも、5千円で十分なおつりがくるお店から、その何倍もかかるお店まで様々である。その意味ではそれは飲み屋の世界に通ずるものがあると思う。

録り溜めてあったテレビ番組「探偵!ナイトスクープ」の少し前の放送分を観ていると、秋田県の高校生から次の様な調査依頼があった。

「日本の大阪というところには『ジャンジャン横町』という不思議な商店街があるそうで、昼間なのにそこにいる人はみんなお酒を飲んでおり、その入り口にシラフで立った人も、出口にくる頃には酩酊状態になるらしく、しかもそれに1円のお金もかからないという。そんな竜宮城の様な場所が本当にあるのでしょうか?」

調査を指示されたのは桂小枝探偵。ジャンジャン横町のことを少しでも知る人にはお察しの通り、地元の人気者である彼が横町を歩くだけで次々にお店やそのお客から声がかかり、酒とつまみを奢ってもらうままに飲み続け、わずか1時間で酩酊状態で出口にたどり着くという内容である。

「竜宮城は本当にあった」という結論にはしてなかったが、絵に描いた様なことの展開も、あの界隈独特の風俗が素晴らしい効果を発揮して、とても現実味あふれる夢物語に仕上がっていた。熱燗の2合徳利を注文すると1合徳利がオマケでついてくるお店など、新世界以外のどこにあるだろうか。

今日はとても暖かい1日だったが、明日からは寒くなるらしい。スーパーで買い物をしたついでに、270ml入りの大型辛口ワンカップを買ってみた。おつまみとして相変わらず小さなゴマシオの袋がついている。今日は常温で飲んでみようと思うが、そろそろまた熱燗の季節がきたようだ。まあ身体を気遣いつつそれを癒せる範囲でこれからも酒が呑み続けられればいいと思う。

今宵のお酒のお供はマックス=ローチとアーチー=シェップによる1979年のデュオコンサートの模様を収録した、Hathutレーベルの作品"The Long March"である。以前に2枚に分かれてリリースされていたものが、最近になってCD2枚組となって再発された。


この作品、実はかなりの銘盤である。ローチは1970年代以降、様々なフリー系のミュージシャンとのコラボレーションを残しているが、彼なりになされたフリージャズへの展開は1960年の代表作"We Insist!"に始まる、ブラックムーヴメントに起因するものであるから、その意味でシェップとの共演は深く共有された黒人文化が互いに響き合う様に感じられ、非常に感銘を受ける内容になっている。

両者とも演奏はそれまでのモダンジャズの歴史全体を踏まえたものになっており、その意味ではフリーを敬遠する人にも親しみやすい内容だと思う。シェップがソロで謡い上げる"Sophisticated Lady"や"Giant Steps"の素晴らしさ、そしてそれに負けず劣らずに響くローチのドラムソロ。さらに2人の演奏が激しく交差する"The Long March"や"South Africa Goddamn"、そして最後の"It's Time"などはただひたすら感動的である。

本作品はアマゾンでは取扱い中止になっているが、ディスクユニオンはじめまだ比較的いろいろなところで入手可能である。芸術の秋にジャズをしみじみ感じる作品としてお勧めしたい。

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