連休前の木曜日には久しぶりに音楽と酒好きの友達といつもの「えびす村」で一杯。カウンター席でマスターが釣ってきたというシロギスを言われるままに刺身でいただき、彼の海に関する口上をうかがう。
「知ってるかい、東京湾にゃ56本の川が流れ込んでるんだ。いろんな恵みがあるその海で育った魚なんだよこいつらは。そりゃ旨いのは当たり前だよ。世界一の海さ!な?そう思うだろ?」ここまで言われるとさすがに気持ちがいい。いい店だよここは。
その後も、ノーノだケイジだシュトックハウゼンだと名前が飛び交う楽しい酒。こんなネタで会話が弾む友が居てくれるのは本当に幸せなこと。ビールをハイボールに切り替え興がのってきたところで、何とはなしに「じゃあカツいきますか」となる。
マスターに今日はメンチかトンカツのどっちがいいかを問うてみたところ、「どっちもいいよ今日は。そうだなあ、よーし、じゃあトンカツにしなよ。俺が自分で食おうと思ってとっといたやつ出してやるよ」とこちらも絶好調である。
結構呑んで食べてのこのタイミングでこのサイズのトンカツを出されたら普通はどん引きものだが、この店はやっぱり何かが違う不思議な世界を持っている。
カツをつまむのに、ちょっと薄かった黒糖焼酎の水割りをおかわりはロックで注文したら、大きめのタンブラー擦り切りいっぱいのアルコールに普通の四角い氷が3個だけ浮かんでいるのが出てきて2人して爆笑。
こうして僕は一足早く4連休に突入。連休後半に夏休みに病気になってしまって行けなかった南伊豆の宿をリベンジで予約してあったのだが、最悪のタイミングで台風がやってきてしまい、状況観ながらさんざん悩んだ挙げ句に宿の亭主のアドバイスで今回もキャンセルとなってしまった。運が悪いとしかいいようがない。
それでも子どもにも温泉だ海だスーパービュー踊子号だと散々吹いていたので、台風上陸の前日に日帰りで熱海を楽しんだ。当日の朝になって宿をキャンセルして急遽決めたのだが、温泉やら食事やら観光やら鉄道やらを一通り楽しむことができた。何より帰った翌日がお休みというのが気分的にはとても楽だった。
台風はやはりあちこちで大きな被害をもたらしたが、それが過ぎ去る連休明けのことを思うと、自宅の窓から目の当たりにする暴風雨が荒れ狂う様も、何か別の世界の出来事の様に見えてしまうのが正直なところだった。
そんな連休を経て僕は40歳代で最後の1年を迎えた。不惑を経て天命へと渡る年のはずだが、論語に書かれているというその名言の言わんとするところがわかるような認めたくないような状況である。
妻がお祝いにとシングルモルトのボトルをプレゼントしてくれた。これからこれをいただきながら、明日朝までの時間を少しでも引き延ばす無駄な抵抗を試み、その過程で頭がおかしくなる自分に情けなく消沈して訪れる夜明けから逃れたいともがく己の夢ではない現実に諦めで済ませるか本当に一つの区切りを付けるのかなどということを少しでも忘れられればと思う次第。
久しぶりに呑む開封したてのシングルモルトのストレートはやはりウマい。ありがとう。
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