久しぶりにチャーリー=パーカーを聴いている。
何枚か持っていたCDはいまはもう手元にはない。手放す時には少し悩んだ。もう聴かないかなあ、どうだろう。やっぱりパーカーはバッハみたいなもんだしなあ。
でも聴きたくなればいつでも手に入れられるだろう。このディスクだって、ほとんど大学生の頃に買ったものだ。いつまで保つかわからない。ならばいっそ...。もう3年ほど前のことだ。
夜、独り部屋で酒を飲みながら、心にどこか収まりの悪い塊を抱えたまま、何かに悶々とする。そんななかでパーカーを聴きたいという想いは急に呼び覚まされた。
それにしても便利な時代になったものだ。聴きたければネットのダウンロードがある。試聴ボタンをクリックすると、すぐにあの逞しくてご機嫌なアルトが流れてくる。2、3つまんで聴いてみて、ああもうダメだ買っちまおうとなる。
パーカーの音楽は正規のもの(正規という価値は一体何なのだろうか?)だけでなく、いろいろな組み合わせの廉価版がある。たくさんありすぎてわけがわからないくらいだ。僕が選んだのは"Best of 50 Tracks Charlie Parker"というもの。
これはたまたま目にとまったものなのだが、ホントにスゴい内容。1945年から1954年までの代表的名演を50曲収録して、値段はたった600円。え?ウソだろと思ったが間違いではない。
内容は彼の演奏家としての活動を広くカバーすることと、とにかくご機嫌な演奏を優先するという前提で選ばれていると思う。
なので一部マニアが酔狂する「ラヴァーマン・セッション」は見事に外されているし、逆に彼らには嫌われる「ウィズ・ストリングス」からはしっかり数曲選ばれている。非常に素晴らしい企画だ。
しかもどれも音がいい。少なくとも僕が持っていたCD(ダイヤルやサヴォイの正規盤として1980年代半ばに初めてCD化されたものだった)に比べても、ノイズはとってあるし音の輪郭がくっきりしている。
もちろんアレがないコレがないの類いの意見はいろいろあるのだろうが、そんな議論には興味はない。いま僕が聴きたいのはパーカーの演奏だ。それにはもう十分すぎる内容。
そして、初めてパーカーを聴く人にも是非お薦めしたい。音楽以外のパーカーの資料はネットも含めて山ほどあるけど、やっぱり先ず音楽に触れないことには始まらない。
さあさあ、みんな聴こうよ、チャーリー・パーカーを!
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