1/29/2012

北風の阿部薫

冬らしい寒さが続いている。朝の気温が横浜でもわずかに氷点下になる日も珍しくない。

この1週間は勤め先の関係で気が重い出来事もあり、この寒さも相まってどんよりした気分だった。

週の半ばで妻が体調を崩してしまい、急遽仕事をお休みをせざるを得なくなったりもした。

職場の皆が会議をしている時間に、自宅の近所の砂場で寒いなか子どもと一緒に「トーマスの秘密基地」を造るというのは何とも妙な気分であった。

子どもとは朝ご飯からおやすみまでまる1日べったりで、これはこれで楽しくはあったが、肉体的には会社のデスクワークより疲れた。

遅いお昼に彼とまたリセンヌ小路のNatural Food's Companyに行って(子どもが「クッキーのお店に行きたい」と言ってゆずらなかったので)ハンバーガーを食べたのだが、僕の予想通り付け合わせのデザートに出てきたのはクッキーではなくイチゴが2個だった。

すかさず子どもが「あれぇ、クッキーはあ?」と怪訝な表情でお店のお姉さんを見上げたので、彼女が一瞬たじろぐ場面も(笑)。

「今日はイチゴの日なんだって」と諭して落着したが、あとで追加でマフィンを頼んだら、お姉さんが残っていたクッキーを1つつけてくれた。

幸い妻の風邪はその日の夜にはなんか復調に向かい始めた。

数年ぶりにかつての同僚と会ってランチをしたりもした。なかなか男気のあるいい奴で、当時の仲間のほとんどと音信がなくなっているなか、彼とはこうしてまた再会できたのも何かの縁なのだろう。40分ほどの短いランチだったが楽しかった。

彼と別れた後、僕は丸の内であった経済学者の偉い先生の講演会を聞きに行った。話の内容はさすがに事情通と思わせるものだったが、終了後に会場を後にしてもどんよりした心模様に大きな変化はなかった。

それでも日曜日の朝は3週間ぶりにウォーキングに出た。

港の見える丘公園に着いたのは毎朝決まってラジオ体操に励む人たちがいる時間だったが、さすがに今朝の集まりは悪かったようだ。

山手通りも元町商店街も、犬を散歩させたりランニングをする人はまばらだった。クラブ帰りの若者たちも身を寄せ合って低い声でささやきながら、ゆくりと家路に向かっていた。

それでも横浜港に抜ける冷たい風は、少しは僕の心の中のもやもやを吹き飛ばしてくれたようだ。

金曜日夜の飲み会でホルモン焼きの匂いが染み付いた安物のピーコートとジャケットを洗濯して、窓を開けた風呂場に干した。

しばらくたって様子を見に行ってみたらイヤに生地がごわごわする。水洗いがよくなかったのかなと思ったら、寒風でわずかに残った水分が凍っているのだとわかった。

いまこれを書きながら、久しぶりに阿部薫の演奏を聴いている。この"Winter 1972"については、以前にも書いたことがあったと思うが、これは阿部の演奏の中ではかなりすんなりと身体にはいってくる。

今度、これを含む阿部の未発表音源などCD7枚をセットにしたものがリリースされたようで、相変わらず一部の根強い支持があるんだなあと妙に心強く感じる。いまのところそのセットに手を出す気は僕にはないが。

たまに阿部を聴きたくなるとまずこれを聴いて、さらに聴きたければ(いまそうしているように)"なしくずしの死"を聴く。ということでこの1週間は久しぶりに阿部の音楽で締めくくることになりそうだ。

今日は死んだ母の誕生日にあたる。生きていたなら80歳になっていた。そんなことも考えながらちょっと一杯やって寝ようと思う。

屋外ではまた冷たい北風が吹いてる。明日の朝は氷点下2度との予報。

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