1/15/2012

ヴァインベルグのヴィオラ

「ヴィオラっていいなあ」。初めてそう思える作品に出会ってからもうすぐ2年になる。

華麗な花形であるヴァイオリン、圧倒的な存在感で万人から支持を得るチェロ、マニアックな魅力に溢れたコントラバス、そうした弦楽器に比較してヴィオラはどうしても地味な存在だ。恐らくもうこれまでに何度も何度も言われてきたことだと思う。

「ヴァイオリンとチェロの両方の魅力を併せ持つ」とか言えそうなことは容易に想像ができるけど、両方の魅力はあまりにも鮮明すぎて「そこまで言うかね」とシラけられるのがオチかもしれない。

僕が巡りあったのは、ドイツの新興レーベルNEOSから出ている、ミチェスラフ=ヴァインベルグのヴィオラソナタを中心に収めた作品集。ヴィオラを奏でるのはジュリア=レベッカ=アドラー。これは本当に素晴らしい作品だ。

NEOSのCDを直販で何枚かまとめて買ったときの1つだった。作品サイトでの試聴において、プアなMacBookのスピーカーから聴こえて来た圧倒的に素晴らしい旋律に感激して、作曲家や演奏家の名前も確認せずに、購入ボタンをタップしたのを憶えている。

ヴァインベルグは20世紀ロシアの作曲家で、1996年に亡くなるまで多くの作品を遺した人らしい。今世紀に入って急激に人気が高まっているようで、録音作品が増えてきているとのことだ。

僕は彼のことはこのアルバムでしか聴いたことはないが、クラリネットソナタをアレンジしたヴィオラソナタと、4つの無伴奏ヴィオラのためのソナタは、いずれも美しくて奥深い旋律である。特にアルバムの冒頭を飾るクラリネットソナタは一聴しただけで強く印象に残るもの。

届いたCDを家で聴いてみて、その素晴らしさの正体が少しずつ少しずつ僕の頭のなかで形を現し始めた。半年程前からこの音楽を聴くたびに、今度のろぐで取り上げようと思いつつ、それは今回まで延び延びになってきた。

何度か聴いているうちに、旋律の美しさもさることながら僕が悟ったのがヴィオラの表現力だった。これは4つの無伴奏ソナタでじっくりと説得されたような感じだ。

それはまだうまく書けないが、先に書いた「ヴァイオリンとチェロの・・・」ということではどうやらなさそうだ。もっとヴィオラとして独特の強い個性と言えるものがある。

前回の「ももクロ」に呆れた方もいたかもしれないが、先週はももクロの元気な姿を思い浮かべながら彼女たちの歌を聴いて出勤し、その日の帰りはヴァインベルグを聴くという日もあった。

自分にとってただ聴きたいものを聴くタイミングがそうなっただけのこと。

ヴァインベルグへの興味も高まってきたので、次は弦楽四重奏かチェロソナタでも聴いてみたいところである。

ヴィオラの名曲名演については、もし何かお奨めのものがあれば教えをいただきたいところであります。

いやあ音楽って本当に楽しいですねえ。

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