12/04/2011

否定不可

円高差益還元月間ということで11月に一挙に購入したCD(その後また2枚追加となったので)合計8枚が、ここ2週間程の間でバラバラとポストに投げ込まれてきた。

今回はそのほとんどがフリージャズかそれに関連する(まあそんなことはもはやどうでもいいのだが)もので、その点は相変わらずだ。少しずつ聴いているが、欧州の金融不安がひたひたと恐慌に向けて動くなか、音楽を聴いているその時はイヒヒとかウフフの日々である。

なかに1枚だけ毛色の異なるものがあって、今回はそれについて少し書いてみる。何かといえば、ジャズギタリストのパット=マルティーノの新作"Undiniable"がそれ。

アランの店で物色中に何気に新作リストにこれが顔を出しており、「へえ、マルチーノさんまだ頑張ってるね〜」とクリックして、たまたまあったサンプルを試聴したのが運のつきである(ご想像通りアルコールによる撹乱も若干影響している)。

聴こえてきたのはまぎれもないマルチーノの音色だが、往年の「音符は続くよどこまでも」よりももっと深い味わいのある演奏。まあそこが彼本来の持ち味なのだろうが。

2009年に行われたワシントンD.C.の有名なクラブ「ブルースアレイ」でのライヴ盤で、サックスにエリック=アレクサンダーが、そしてドラムスにはなんとジェフ=ワッツが座っている。

演奏はもちろんエキサイティングなのだが、そこはやはり御大がリーダーを努めているとあってか、珍しくかなりリラックスしたジェフのストレートなドラミングが楽しめる。ベースはおらず、トニー=モナコさんというオルガン奏者が参加して低音も担当。

会場の方はただひたすらマルティーノを楽しみに訪れた、という感じのお客で溢れており、彼のギターが渋く熱を帯びる場面では「イェーア!」と野太い歓声が湧き上がる。いい雰囲気だ。

「もう」というより「まだ」というべきだろうが、御大はいま67歳でいらっしゃる。いやあ素晴らしいですよ、我が道をいってしっかり濃く熟すというのは。タイトルそのもの、誰にも否定はできません。

やっと本格的に寒くなってきたと思ったら、今日はまたちょっと暖かな日曜日だった。今夜はビールでもやりながら、ワシントンの一夜をもう一度味わってみたい。

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