手持ちのミンガス作品をいろいろと聴き回してみた。どれもいい。特にあらためて素晴らしさを認識したのは、アトランティックから出ている"Mingus at Antibes"だ。
ドルフィーを含む3管編成のフロントにミンガスとリッチモンド、絶頂期と言ってもいいノリにのった演奏が楽しめる。しかも現在は比較的安価にダウンロードやCDで簡単に入手できる。ミンガスを初めて聴くにもちょうどいい作品ではないだろうか。
このアルバムのひとつの聴きどころが、"I'll Remenber April"だ。
お馴染みのテンポでも、しっかりとミンガスのアレンジが施されたテーマで始まるのだが、ピアニストが演奏に加わっていることに気づく。そして耳覚えのある人にはクレジットを見なくとも、すぐにそれがバド=パウエルだとわかる。最初にこれを聴いたときの感動はいまも忘れない。
バドはこの日のミンガスグループのスペシャルゲストだったのだ。
ピアニストはそれぞれ個有の音色を持っている。それが楽器固有の音色を超えてしまうのだから本当に不思議だ。ここで聴かれるバドのそれも、あたかも過去の彼の名盤からそのままオーヴァーダビングしたのかと思えるくらい、そのものなのである(当たり前なのだが)。そこがまたパウエル好きにはグッとくるのだろう。しかもこの人にしてこの曲ありのものだから。
というわけで、僕の耳がしばし寄り道して、バドの作品に駆け込んだのは言うまでもない。いまは5枚のリーダー作を手元に残してある。ブルーノートの作品もいいが、やはり彼の演奏はルーストに残されたあの1枚「バド=パウエルの芸術」に尽きると思う。僕が「これを聴かずして」と思う数少ない音楽作品である。
特に素晴らしいのは言うまでもなく、最初に発表さた1947年録音の8曲。この後のすべてのジャズピアニストに大きな影響を与えたと言われる所以が、当然の様に思える。いまは1950年代以前のジャズはあまり積極的には聴かないが、もちろんこの作品は別格である。
それと結構好きなのがブルーノートの"Amazing Bud Powell Vol.3 Bud"である。「クレオパトラの…」で有名なVol.5よりも個人的には断然こちらの方がいい。前半のトリオはもちろん、後半のカーティス=フラーを加えたセッションもご機嫌だ。
うーん、やっぱりいいなあバドは。
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