8/29/2010

間で育む

結婚した当時に買ったベッドとパソコンラックを不要品処分の業者に引き取ってもらった。かれこれ10数年お世話になって来たもので、引越の時に処分した品の中にも入らず、まだしばらくは活躍を期待していたものだったのだが、ここにきて見切りをつけることになった。

夏のいまはエアコンがある2階のリヴィングに家族3人川の字に寝ている。やっぱり床に寝るのはいい。夏が終ったら(まだ当分終わりそうにないが)また1階の寝室でベッドと布団に分かれて寝るのもなんだかなあ、ということは以前から感じていた。ここにきて急にそれを処分してしまおうということになった。

これらの品は残念ながら粗大ゴミという扱いになる。引き取ってくれる人をもっと真剣にいろいろと探せば、誰かいたのかもしれないが、結局のところ自分達でお金を払って処分するのが手っ取り早いことがわかった。

引取り業者に連絡して見積もってもらったところ、手数料が2点で1万6000円かかるという。一応、廃棄代行ということなのだが、粗大ゴミとして自分達で区に連絡して廃棄しても、2点で5千円くらいはかかる。業者に頼むのは一見割高に思える。

いま考えれば自分達で処分するのでもよかったのかもしれないが、トラックでやってきていますぐにでも持って行きますよ、という彼等の術にあっさりとハマってしまった。彼等が持って行った先で、それらを実際にどうなるのかは僕らにはわからない。

ベッドとパソコンラックがなくなった8畳の部屋は、すっきり何んもない部屋になった。引っ越して来た当時を思い出し、あたかも部屋がひとつ増えたような感覚にさえなった。

予定ではここに安くて見栄えのするカーペットを敷いて、その上に座布団やクッションをいくつか並べ、小さなちゃぶ台とテレビを買って床で過ごせるもうひとつのリヴィングにしようという計画だ。大きな家具はもうこりごりである。

8/21/2010

バルコニーにて

夏休みが終った今週は、妻と子供が実家に里帰りすることになっていた。なので、月曜日から9日間は僕独りで横浜に過ごしている。寂しさもあり気楽さもありといったところだが、いかんせん仕事があるので、先ずはそれになれなければならない。

加えて火曜日から3日間続けて夜の会が入り、平日はバタバタと慌しく過ぎていった。いずれの飲み会も楽しく過ごせた。お酒も飲みすぎる程でもなかった。と思っていたのだが、量的には程々でも3日続けて飲むと少し身体にくる様になったらしい。

明け方にふくらはぎがつったり、溝落ちのあたりが重く感じられたりして、その症状は日を追うごとに溜まっていく感じだった。「まあ俺等もいい歳だからねえ」と3日目に呑んだ翻訳会社の幼馴染が言った。あれだけ酒を呑んでいた彼も最近ではかなりセーブしているのだそうだ。

そういう状況なので仕事もそこそこに、金曜日の夜は酒をやめて、夕方に髪を切ってもらい、帰りに山手駅近くの古い洋食屋「やまて食道」で白身魚フライの定食を食べた。店のおばさんが妻と子供はどうしたのかとたずねたが、広島に里帰りしているのだというと、「ああそう」と言って、それからお互いの出身地について少し話し合った。彼女は姫路の出身なのだそうだ。

魚フライは素朴で美味しかった。隣のテーブルでは仕事帰りの中年のご夫婦が、マカロニサラダをつまみに冷酒を仲良く飲んでいた。いい雰囲気である。僕も麦酒を飲みたくなったが、ガマンした。

土曜日は5時に起きて、大さん橋までウオーキング。少し日が短くなったとはいえ、出かける頃にはもう日が昇っている。早く桟橋からの日の出が見られる様になって欲しいものだ。

自宅の植栽にある伸び過ぎたラベンダーの剪定をしたり、バルコニーの枯れてしまったポットを整理したり(どちらもそれなりに手間がかかる)、まとまった作業をやった。おかげでバルコニーはずいぶんきれいになった。

マイニエリの作品を聴いて、頭の中のコルトレーンに関する記憶が刺激されたこともあってか、久しぶりに"Live in Japan"に収録されている"Crescent"が聴きたくなった。ギャリソンのベースソロも含めると大方1時間近い演奏を2回続けて聴いた。やっぱりいいなあ、とまたその夜のライヴで演奏された3曲を通しで聴いてみたりして、少しうとうとした。エアコンはつけずともそれなりに気持ちいい風が窓から入ってきた。

いつも感じることだが、演奏の終盤で興奮したお客の歓声と拍手がわきあがるのを聴くと、40数年前のある日にコルトレーンは本当に日本にやってきて、何人かのお客さんを前にこの演奏をしたんだ、という当たり前のことが、とても感動的なことに思えて涙が出そうになる。

最近ではなかなかこんな時間を過ごすことはできなかった。やっぱりたまにはいいものである。

今夜は「横浜レゲエ祭」なのだそうだ。片付けたバルコニーで蚊取り線香を焚いて、ビールをやりながらこれを書いている。赤レンガ倉庫の方角でフィナーレの花火が上がっているのが少し見え、やがて静かになった。

8/15/2010

夏休みの終わりにキース=ジャレットなど

9日間の夏休みを終えた。

熱海の温泉に一泊旅行に出かけた以外は、ほとんど横浜市内で過ごした。もちろん大半の時間は妻と子供とで過ごした。大船にあるフラワーセンターに行ったり、金沢区にある動物園に行ったり、最終日は海の公園で子供と海水浴を楽しんだ。

子供はずいぶんと水に慣れ、少しくらいなら顔に水がかかっても平気になった。熱海で入った海は(地名に反して)少し冷たくて波もあったので、子供はいまいち気に入らなかったようだが、海の公園は3回目ということもあってか、とても楽しそうに海藻だらけの海ではしゃいでいた。

途中、半日だけ妻が友達と食事をするのに、子供を連れて出かけた時があり、その時ばかりは僕も独りの時間を楽しんだ。

関内に出かけて、博多ラーメンを替玉で食べ、その後、ディスクユニオンに寄って久しぶりに中古CDを買った。買ったのはキースの2枚組作品"Invocations / Moth and the Flame"である。2つのタイトルをカップリングしたもので、前者はパイプオルガンとソプラノサックスによる作品、後者はピアノソロ作品である。

最新作の"Jasmine"を聴いて以降、これまでのキースの作品もいろいろと聴いていた。ECMの作品にしてもまだ聴いていないものが何枚かあるのだが、いま思うのは1983年のトリオ結成以前の作品にはまだまだ聴かれるべきものがたくさんあるということだ。

今回手に入れた(セール価格ということもあって1000円しなかった)これらの作品も素晴らしい内容だった。キースはジャンルを超えて音楽を追求するという現代的な意味において、最も進んだ音楽家であると思う。

このあたりの話はいずれ何かの機会にまとめておきたいと思うのだが、最近はなかなかそうした時間が取れないでいる。でもこの数週間でキースの音楽を聴いてみて、かなり彼の音楽の全体像に近づくことができた様に思う。

いつか僕が考えるキースの推薦盤について書いてみたいと思っている。

リンクに表示されるテキスト

8/06/2010

夏休みのマイニエリ

今日は立秋だった。一年で最も暑くなる時期、実際に東京も暑かった。休み前の仕事は午前中で終え、午後は休みをもらって夏休みに入った。子供も3週間続いたプールを終え、少しは水に慣れてくれたようだ。

久しぶりに、最近買った音楽を紹介したい。マイク=マイニエリの最新作「クレセント」である。

タイトルで既にお分かりの方もいると思うが、コルトレーンへのトリビュート作品だ。同時に、もう一人の献上先として、共演者であるサックス奏者チャーリー=マリアーノの名前が記されている。この作品はマリアーノの遺作でもある。

マイニエリとマリアーノの出会いは、2003年の初共演よりももっと以前からのことらしい。詳しくはアルバムのライナーを参照していただくとして、今回の作品は、そんな2人のデュオではなく、加えてマリアーノがやはり最近デュオアルバム等で共演したベーシスト、ディエテル=イルグが参加するトリオ編成で収録されている。CD2枚にコルトレーン縁の作品を中心にしたスタンダードナンバーが収めらている。

マイニエリ自身ももはや71歳らしい。これにはちょっと驚いた。演奏は見事だが、確かに往年の飛び跳ねるようなマレットさばきは、むしろ転がるようなと言えるものに変化していて、それはそれで新たな魅力である。録音の良さもあいまって本当に綺麗なバイブラフォンの音色であり、本作品の大きな聴き所となっている。

聴いた当初に少しは戸惑うのはマリアーノのサックスである。コルトレーントリビュートの宿命として、サックス奏者にかかる一定の期待は免れない。彼の持つ資質がそれに沿うものであるか、これは微妙なところである。マイにエリの意図がそこにあることは分かっていても、聴き手にはそこまではにわかには伝わらない。

果たしてマリアーノの丸いアルトで"Giant Steps"をやる必要があったのだろうか。なぜオープニングが"Mr.Syms"なのか。このあたりの理由を見出せるまでには少々時間がかかるのだが、結果的にはアルバム全体としてはコルトレーンのイメージとは一定の距離を置いた不思議な聴き応えがあり、僕は気にいってしまっている。

ベースのイルグはかなりの実力者である。最近ではベースのソロアルバムも発表しているようだ。決してバカテクではなく、堅実なベースプレイをしっかりと聴かせる演奏としてできる人物だ。このアルバムでは、その意味でマイクとチャーリーを間を取り持つ存在として欠かせない。

僕はとにかく少人数の編成が好きだ。このアルバムが僕の心にすっと入り込んでくるのも、そういう理由があることも大きい。いい音楽を奏でるのに、必ずしも多くの人は要らない。

夏休みの夜はじっくりとこいつに耳を傾けることになりそうだ。

8/01/2010

水に慣れる

先週末は子供を連れて海に行ったりしているうちに、すっかり疲れてしまい、ろぐの更新をサボってしまった。申し訳ありません。

子供は夏の間だけ開催される横浜YMCAのベビースイミングのコースに参加している。スイミングといってももちろん泳ぐわけではなく、親と一緒にプールに入って水に慣れるのが目的である。

もっぱら、申し込んだ妻が連れて行ってくれている。初日は45分間ずっと泣き通しだったらしい。二日目の次の日も半分以上は泣いていたらしいが、もはや泣いているのはうちの子だけだったらしく、さすがに妻も疲れたようだった。

これには僕も納得せざるを得なかった。やはり父親譲りの性格なのだろう。はっきり憶えているわけではないが、僕が顔に水がかかっても平気になったのは、物心ついた後だった。

それでも4日目の土曜日に僕が初めて一緒について行った時までには、やっと少しプールにも慣れてなんとか泣かなくなっていた。その勢いで、次の日曜日に、鎌倉の由比ケ浜に連れて行くことになった。

由比ケ浜は昨年の夏にもこの子を連れて行って、波打ち際で少しだけ足をつけてあげた。今回は子供も水着を来て初めての海水浴となった。汗疹が他の子よりひどいので、塩水につけてあげて肌を強くした方がいいというのもあった。

その日は暑い一日だった。ビーチパラソルを借りて、海に近い所に立ててもらい、2時間程の海水浴を家族で楽しんだ。

プールのおかげかどうかわからないが、海は楽しかったようだ。水面に支えてやって波の動きに合わせてプカプカ動かしてやると、それなりに笑顔で楽しんでいた。はじける笑顔とまではいかないが、心底水を怖がっているわけではないということは十分にわかった。

今週末は僕がプールに一緒に入ったが、まあ何とか泣かずクラスを終えるようになったものの、どうもあまり楽しんでいる様子はない。やっぱり狭い屋内に人が大勢いるし、インストラクターのお姉さんが元気な声で指示をくれるのにも少し気後れしているのかもしれない。

日曜日の今日はまた、我が家から一番近い海水浴場である海の公園に連れて行き、2週続けての海水浴となった。やはり太陽の下で波に揺られるのは、プールよりはまだ少し楽しいらしい。疲れたのか、テントの下で水浴用のオムツを履いたまますやすや眠ってしまった。

子供も僕も妻もかなり日に焼けた。