シルバーウィーク開けの2日間は、会社に行っても鉛のような時間を過ごしただけだった。
木曜日は今年からメンバーになったお役所など社外の人との交流会があり、夜には宴席までついていたのだが、まだ初顔合わせだからということもあって、同じ年頃の似た様な人が集まっているだけという印象で、つまらない酒だった。
金曜日の夜は、翻訳会社をやっている幼馴染みとその同僚と総勢3名で、新宿の丸港水産という漁港近くの居酒屋を再現した様な、海鮮居酒屋で呑んだ。粗末な木のテーブルそれぞれにカセットコンロが置いてあって、その上で注文した海産物を焼いて食べるという趣向。蛤などはそのまま火にかけ、イカや魚はホイルに包まれて出てくる。
ビールに加えてこのメンバーならではのホッピーもたくさん飲んで(一昨夏のホッピー事件の教訓からセーブはした)、話もそこそこに楽しかった。ただやはり家に帰って独りというのは気分的になんとも言えない空洞をつくる。
週末はウォーキングをしたり、最近ではめっきり食べる機会の減ったラーメンとか韓国料理(カルビー麺だったが)などを食べ、夜はもっぱら(これも久々にじっくりと)CDを聴いてウィスキーを飲んで過ごした。バルコニーで飲んでもよかったのだが、せっかくオーディオセットで音楽が聴けるので今回は部屋の中でしみじみと味わった。
先日、アランの店から届いたDMにまんまと乗っかってしまい、1981年のウッドストックジャズフェスティバルでの、チック=コリアを中心としたグループの演奏を収録したライヴ盤"The Song is You"を購入した。ディジョネットとヴィトウスをリズムに、フロントをコニッツとブラクストン、そして1曲だけメセニーが客演するという変わった内容である。
ブラクストンとコリアは合わないというのが、1970年代のユニット「サークル」での教訓だったはずなのだが、何故か両者を再び共演させて、やはり合いませんなあということを確認した様な内容になっている。
冒頭の"Impressions"ののっけから聴かれる、コリアの安っぽい不協和音の連打にブラクストンが「おい、やめろよ」とばかりに演奏を中断するくだりに、その不調和の象徴を聴くことができる。"All Blues"ではいまや化石とさえ感じられるメセニーのシンセギターもあって、いやあ古めかしいですなあという感じである。
もちろんそうした内容もこのドキュメンタリー作品の一部であって、演奏全体がしょぼいということではない。コニッツがこの手のセッションに参加するのは珍しいと思うが、このメンバーの中にあっても、あのコニッツ節はそのままでなかなか堂々たる演奏である。
試しに「サークル」分解後に、ブラクストンがコリアに代えてトロンボーンのジョージ=ルイスを入れて録音した1976年の"Quartet (Dortmund)"では、もうこれ以上はないというブラクストンミュージックの傑作を聴くことができる。
いやはや困ったことにまたCDとオーディオセットで音楽を聴く楽しみを思い出してしまったようだ。週明けからの仕事のことを考えると憂鬱で仕方ないが、とりあえず今宵は、いままで撮りためた子供の映像を眺めながら、独り寂しくせめて音楽と酒を楽しませてもらうことにしよう。
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