8/25/2007

コメダ プロジェクト「クレイジー ガール」

 暑い毎日が続いているが、そろそろ夜の気温に少し涼しさを感じられるようにもなってきた。暦では気候の変わり目を細かく捉えているようだが、「異常気象」と言われて久しい現代においても、その本質は意外に変わらないところにわずかな安心を感じたりもする。

土曜日だった今日、夕方にかけて少し街をぶらぶらして帰ってくると、自宅の最寄り駅周辺の商店街でこの時期恒例の夜店が出ていた。子供の頃、父に連れられて行った神社の夜店は、綿アメやらりんごアメ、射的、ヨーヨー釣りといった子供中心の内容だったと思うのだが、都市の商店街が主催する夜店は、そうしたものより焼き鳥やら貝、イカなどの串焼きに生ビールという大人向けの出し物が目立つ。単に自分が大人になったからそういうものが目に付くだけかもしれないが、やはりこれも少子化の諸相かもしれない。

都市といってもこのあたりはかなり下町なので、家族連れに混じって刺青をいれた半裸のオヤジたちの姿も目に付く。商店会の努力でいつもなかなか盛況で、狭い商店街の路上は人で溢れる。そんななかでビールを飲んだりして寛げるほど、僕はこの土地の人間ではない。なので、いつもこの夜店にはありがた迷惑な思いもあったりして、ちょっと複雑な気持ちで雑踏をやり過ごすことになる。

商店街の真ん中にあるスーパーで、久しぶりにウィスキーを買ってみた。銘柄はキリンの「富士山麓」である。この夏にも会った和歌山に住む幼なじみがなかなかの酒好きで、毎日晩酌にスコッチをやっていたのが、僕からこの酒の話を聞いて試してみて以来、ずっと愛飲しているという話をきいた。

僕が新宿の飲み屋で肋骨を折ってからそろそろ2ヶ月になる。あの頃から家でも外でもハードなお酒をやるのは控えるようになっていた。まだ少しだけ痛みが残っているのだが、具合は大分よくなった。その後にあった父の死についても、まだいろいろとやらねばならないことは残っているものの、気持ちの整理も含めかなり落ち着いてきた。いろんなことがあった夏だ。

そんな気持ちがふっと僕をウィスキーに向かわせたようだ。これを書いている今はまだ封を切っていない。これを書き上げたらゆっくり楽しむつもりだ。

前回のろぐで少し書いたアランの店で買った2点が週の初めにさっそく届いた。今回はその中の一つを取り上げておこう。

コメダという名前は、ポーランドのジャズピアニスト、クルジスツォフ=コメダから来ている。彼は1969年にわずか38歳でこの世を去ったが、ポランスキーやワイダなどポーランドを代表する映画監督の作品にもスコアを提供している。コメダプロジェクトは、そんな彼の意を継ぐ形で、現代のポーランドジャズシーンで活躍するミュージシャンを中心に結成されたユニットである。

アランの店でこの作品を見かけたとき、最初は少しフリーっぽい内容を期待していたのだが、聴いてみると実際には、いまや古典の域に入りつつあるかもしれないメインストリームなコンテンポラリージャズであった。コルトレーンや60年代のマイルスクィンテットの音楽をベースにした、気持ちよい演奏が次々に展開される。当然のことながら演奏者の力量は相当なものだ。

8月最後の週末、夏休みの終わりを惜しみつつ夜店を楽しむ子供たちと、夏そのものの終わりにやはり名残惜しそうに夜店の明かりに何かを求める大人たちがいた。僕自身は、やはり少し疲れが溜まっているようだ。今日はろぐはこのくらいにしてウィスキーをやりながら、この作品や同時に買った音楽DVD作品をゆっくり楽しんでみたい。

Komeda Project コメダプロジェクトの公式ホームページ

0 件のコメント: