8/09/2005

レインボウ「オン ステージ」

  懐かしい音楽に耳を傾けた。ロックギターの神様リッチー=ブラックモアが結成したグループ「レインボウ」の1977年の日本公演を中心に、彼等のコンサートを再現したライヴ作品である。当時はLP2枚組で発売された。

 この演奏に前後したヨーロッパ公演の模様が、当時NHKで海外のロックグループのライヴを放映することで人気だった番組「ヤングミュージックショー」でとりあげられ、中学生だった僕もそれを観て少なからずの衝撃を受けた。いまだに時折こうしてその光景が頭に蘇り、そんな時、僕はそっとこの作品を聴いてみる。

 ジャケット写真にあるようにステージには巨大な虹の電飾が設置されていて、暗い会場に映画「オズの魔法使い」の音楽が流れ、主人公ドロシー少女の"We must be over the Rainbow..."という声に続いて、「オーヴァー ザ レインボウ」のテーマが高らかに演奏され、メンバーがステージに浮かび上がるとともに虹が光で満たされる。客席を埋めつくしたギターの神様に魂を捧げた男達から湧き上がる野太い歓声。このときの光景と胸に沸き上がった興奮はいまでも脳裏と心に強く焼き付いている。

 「キル ザ キング」「銀嶺の覇者」「キャッチ ザ レインボウ」など彼等の名曲が次々に演奏されてゆく。各メンバーのソロをたっぷりとフィーチャーした長尺の曲を中心に展開され、ミュージシャン達が存分にクリエイティビティを発揮してやりたい音楽を楽しんでいた当時の様子がうかがえる。メンバーもコージー=パウウェル、ロニー=ジェームス=ディオ等、当時のベストメンバーによるもの、これで悪かろうはずはない。

 いいものは色褪せない。親父臭い言い方になるが、この時期のロックは本当にとてつもないエネルギーを持っていた。グループそのものの絶頂期であるだけでなく、ロックという音楽そのものの絶頂期である。そこではアートがビジネスを遥かに上回っていた。古き良き時代とは言いたくない。中身は変わってもいまもそれはあると信じたい。そういう音からは素直にそれが伝わってくるものだ。

 ブラックモアの音楽はディープパープルの頃から、クラシック音楽特にバロックとそれ以前のいわゆる古楽に強く影響を受けたものである。このアルバムに収録された音楽でも随所にそうした音楽が見え隠れする。

 彼はこの後もレインボウを中心に断続的に活動を続けて大きな成功を収めた。そして現在は、1997年に美しき歌姫キャンディス=ナイトと共に「ブラックモアズ ナイト」を結成し、ルネサンス音楽をベースにしたアコースティック色の強い作品を演奏して活動を続けている。グループ名からもわかるように、ブラックモアはキャンディスと生活を共にしている。ブラックモアは1945年生まれ、キャンディスは1971年生まれである(なんとまあ)。

 自分のルーツをしっかりと自覚し、それを一生かけて追求し続ける。まったく素晴らしいことである。

The Official Ritchie Blackmore & Blackmores Night Website 公式サイト
BLACKMORE'S NIGHT ポニーキャニオンによる日本公式サイト キャンディスのロングインタビューがあります
Medieval Moon and Gypsy Dancer ファンサイト

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