6/25/2005

ヘレン=メリル「ミュージック メイカーズ」

  梅雨の中休みに入ったそうだ。本日午前9時30分現在、川崎市の気温は28度を超えた。昨日に続いて今日も30度超えは確実な一日になりそう。やれやれ。。。

 初夏はまだ夏ではない。みんなまだ夏本番の解き放たれた様な気分にはなっていない。だから軽快な音楽にもいま一つノリきれない。夕べは一人でビールを飲みながら音楽を聴いて過ごした。昼間とは違って、窓を開けるといい風が入って気持ちよかった。その状態でそこそこの音量を出して聴ければ最高なのだが、さすがにこの界隈では無理なようだ。

  今日とりあげる作品はヘレン=メリル。女性ジャズヴォーカルの大御所だ。1954年に収録された、トランペットのクリフォード=ブラウンと組んだデビュー作はあまりにも有名な1枚(写真右)。彼女のベストアルバムとしてはもちろんのこと、ジャズヴォーカルのベストアルバムとしてこれを挙げる人も多い。

 僕にとってヘレンのベスト作品はそのデビュー作ではなく、今回の作品「ミュージック メイカーズ」である。僕が大学生の時、1986年に発売されてすぐに購入した。理由は彼女のヴォーカルが聴きたかったというよりも、共演者の方に興味があったから。このアルバムは当時彼女の伴奏を努めていたピアニスト、ゴードン=ベックとのデュオに、前半後半でそれぞれもう一人がゲスト参加するというスタイル。前半が以前のこのろぐでもご紹介したソプラノサックス奏者スティーヴ=レイシー、そして後半がジャズヴァイオリンの巨匠ステファン=グラッペリである。

 当時、僕の興味はステファンにあった。彼についてはいずれここでとりあげることになるだろうと思う。彼が参加して収録されている「アズ タイム ゴーズ バイ」は、僕にとってこのアルバムのベストトラックであり、この歌のベストパフォーマンスでもある。

 そして、僕はこのアルバムではじめてレイシーの素晴らしさを知った。1曲目の「ラウンド ミッドナイト」はこのアルバムで2番目に好きなトラック、そして僕にとっては、これまでに数百はあるだろうこの曲のベストパフォーマンスである。ヘレンの歌に続く彼のソロは何度聴いても本当に素晴らしい演奏だ。それ以来、僕は彼の演奏を集め続けている。僕がはじめてレイシーを生で聴くはずだった昨年の来日公演の直前に、彼が逝ってしまったのは本当に残念である。

 デビューから50年以上の歳月が経過しているヘレンだが、未だ現役で活躍しているというから凄いことだ。来月初旬にはブルーノート東京でライブがあるらしい。息子のアラン=メリルという人が、ギターと歌を披露するらしい。ジャズの世界で半世紀にわたって活躍を続けている人は貴重な存在だ。できれば来日公演を聴きに行ってみたい。

 これはひとりで聴くCDです。何も考えることはありません。楽しい時、悲しい時、疲れた時、眠れない時、ただ聴けばいいのです。

HelenMerrill.Com 公式サイト

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