寒さが少しずつ増してきているけど、この土日は横浜で過ごしたおだやかな週末だった。
土曜日は12キロのウォーキングの後、野球から帰った子どもに合流する形で近所のお友だちがやってきて、家でゲームに興ずるのを見守る午後だった。
無邪気ながらもこれから大人になっていく個性の片鱗を感じさせる年頃の男の子2人が部屋で遊んでいる空気の中で過ごすのは、懐かしさと緊張が入り混じった不思議な感じがした。
日曜日は久しぶりに子どもの野球の試合を応援に、歩いて30分ほどの小学校へ。
今後に行われる他の大会への出場権もかけた大切な一戦ということで、新しいコーチのもと、ある程度の準備と戦略を立てて臨んだ試合だったが、結果は見事9対0で勝利を納めた。
子どもも不得手なバッティングはともかく、スクイズやベースカバーなどで地味ながらもそれなりに活躍し、家に帰って褒めてあげた。
夜のお楽しみは、先週訪ねてきてくれた知人が、お土産代わりにと贈ってくれた、ケンタッキーウィスキーのジェントルマンジャック。
若い頃ならならストレートで飲まないと勿体無いと思ったものだが、さすがに身体への負担も厳しいので、ジンですっかりお馴染みのソーダ割りで楽しませてもらっている。
このところの世の中のハイボールブームで出回っている居酒屋とか缶入りで飲むものは、あくまでもハイボールであって、要するに種になっているウィスキーはある意味でどうでもいい、言わばウィスキー味の酎ハイである。ウィスキーの味はするけど当然のことながら薄い。
僕がソーダ割りと言っているのは、食堂などで水を飲むのに出てくるものと同じくらいの大きさのグラスに、氷を数個入れてウィスキーをワンショット注いで、そこに同量か少し多い程度のソーダを注ぐもの。
ダブルの水割り程度の濃さがあるのでウィスキー本来の味はしっかり残り、それにソーダの清涼感が醸し出すかすかな甘みがプラスされることで、少しお高い酒でも本来の風味を豊かな味わいで楽しめる。
お酒はいいんだけど、最近はちょっと飲み過ぎかなと思わないでもない。禁酒日を思い切ってあと1日増やしてみようかななどとも思っている。
さて、溜まった音楽ネタをと思ったのも束の間、いつものことではあるのだけど、現在、僕の中では「バッハ無伴奏チェロ組曲祭り」が絶賛開催中である。
今回はそのお祭りの最中に出会った、ちょっと変わった同曲の作品を2点ご紹介しておきたい。
最初は、オランダのNetherlands Bach Societyの企画による、6人のチェロ奏者が1人1曲で6つの組曲それぞれに取り組んだ超個性的な作品集。全編がYouTubeで公開されている。
曲の個性と演奏家の個性が、全曲集に比べて際立って濃く出ていて面白く、6曲まとめて聴いてみると、こういう楽しみ方もあるんだなと気付かされる。
例えるなら、バーで同じウィスキーで杯を重ねるのではなく、1杯ずつ品を変えて6杯楽しむようなものだろうか。ちょっと違うか…。
以下にその中から2つの演奏をご紹介。
日本人バロックチェリスト鈴木秀美による第5番。
めっちゃ重厚!これ観てやっぱり彼の全集が欲しくなった。
それと、ヴァイオリン奏者セルゲイ・マロフが、”violoncello da spalla”と呼ばれる5弦の肩掛け型チェロを使って取り組む第6番。アムステルダム郊外の古い巨大なガスタンクを元にしたホールで演奏されている。
こちらはもう痛快!ヨーヨー・マの演奏を初めて聴いて以来、この6番に関しては彼の演奏に迫るものがなかなかないと思っていたけど、このマロフの演奏はなかなかのものである。
しかし、バッハが作曲した当時はこれらの作品はもっとゆっくりした演奏だったのだろうね。それとこんなにも抑揚やら強弱は付いていなかったのではとも思う。
1番から4番も含めて、かなり個性的な演奏のオンパレードであり、かつまた映像作品としても優れていて楽しめる。
もう一つは、コントラバス奏者ゲイリー・カーによる全曲集。以前から気にはなっていたのだけど、今回の祭りを機にとうとうCDに手を出してしまった。
ジャズのベースで聞かれるアルコ(弓弾き)演奏が、多くの場合、音がズレていてそれほど魅力的でもないのが多く、ベースの弓弾きはクラシック出身であるミロスラフ・ヴィトウスを聴くまで好きになれなかった。だからカーのことを知ったときもCDにはあまり触手が動いてこなかった。
実際に聴いてみると、さすがにクラシックの大御所。高音で速さを求められる6番のプレリュードなど苦しいところもあるけど、ときにはチェロかと思わせるくらいの雄弁でしっかりとした演奏が繰り広げられている。
前半と後半で録音年が異なるのでかなり演奏の印象が異なる。
一応、僕もエレキベースでちょこっと第1番の第1曲を演奏してみたことがあるのだけど、同じ4弦楽器でも、バイオリン、チェロ、ヴィオラとコントラバス(ベース)は、調弦が5度と4度で全く異なるので、チェロ曲をベースでやろうとするとたとえ練習曲でも運指がエラく大変なことになる。
ベースの調弦に合わせて一部の曲の調をずらして演奏しているのだけど、それ以外はほとんど原曲そのまま弾ききってしまう実力は大変なものである。
ベースに興味がさほどない人にはおすすめしないけど、低音がしっかり出るスピーカーで聴くと、また一層魅力が増すのだろう。
僕もまた少しチャレンジしてみたくなった。もちろんこんなレベルは毛頭不可能だけど、即興演奏の対極にあるものとして何かに取り組むなら、この作品はとても魅力的であることを再認識した次第である。
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