8/17/2018

広島 似島〜安芸小富士を登る

子どもが植えた朝顔が見事に花を咲かせた。身近に朝顔の花を見るのはずいぶん久しぶりで、懐かしい気がした。




夏休み中盤は、恒例の妻の実家がある広島への帰省で過ごした。

妻と子どもが前日に野球の合宿から帰ってきて、翌日昼には新幹線で家族3人、新横浜から広島へ向かった。

子どものリクエストで通信教育で使うiPadに、子どものお気に入りの音楽を中心に数十曲を僕のライブラリから入れてやり、ベースの練習で使う安いヘッドフォンを貸してあげた。

すぐ飽きるかと思いきや、結局のぞみ号が広島に着くまでほとんどiPadをいじっては音楽を取っ替え引っ替え聴いていた。僕が子どもの頃で言えば、初めて自分のラジカセを買ってもらったようなものだろう。



僕は3泊4日間の滞在。妻の実家周辺の再開発が進んで様子が大きく変わるとともに、借家だったのを買い受けてリフォームを施した家の中もキレイになっていて、いままでよりもさらに寛いで過ごすことができた。

朝から普段とは比較にならないボリュームの朝食が出され、夜ご飯はこれも毎晩義母が作ってくれるご馳走をビールとともに楽しんだ。

配偶者の実家というのは至れり尽くせりで快適ではあるのだけど、自分の好きなことをやるのがなかなかし難い側面があることも事実である。

だけど今回は、僕が妻と結婚して初めてその家を訪れた時からずっと気になっていたある場所に行ってみようと心に決めていた。

妻の実家は広島市西区の己斐峠という山に面した住宅地にあり、いつも最寄りの西広島駅から義父が車で送り迎えをしてくれる。

駅から家に向かう途中、高台から広島市街と瀬戸内海が見渡せる場所を通過するのだが、狭い海に小さな島々が浮かぶ瀬戸内海の景色は一瞬ではあるが、海の眺めが好きな僕のお楽しみになっていた。

その眺めの一番手前に綺麗な三角形をした大小2つの島が見えていて、これがこの素晴らしい景観の大きなアクセントになっている。

今回、広島に行くことを考えた時にふと「あの島はいったい...」と急にその島のことが気になって調べてみたところ、それが似島(にのしま)という島で、綺麗な小山は「安芸小富士(あきのこふじ)」と呼ばれて親しまれていることがわかった。

それを知った瞬間(たぶん会社の昼休み時間だったと思う)、僕は今度広島に行くときは似島を訪れて安芸小富士を登ってみようと決め、交通手段などについて調べ始めていた。



広島に到着した翌日、朝ごはんを済ませるとさっと着替えて、ちょっと市街に用事があると妻と義理の両親に伝えて出かけた。出がけに義母が市バスと広島電鉄で使えるIC乗車券と、冷蔵庫にあったポカリスウェットを手持ちのペットボトルに注いでくれた。

最寄駅の西広島駅までバスに乗り、そこから広島電鉄で広島港がある宇品に向かう。宇品まで直通の電車があり52分かかるのだが、料金は市内均一料金の180円である。


のんびり単車(一両編成)の広電に50分間ほど揺られて宇品に到着。

島しょ行きのフェリー等が発着する左側の桟橋の第5桟橋(写真右端)が似島専用である。チケット売り場で聞くと、似島行きは都度船に乗る際に現金で支払うのだと教えられた。

目指す似島はもう真正面に見えていた。海に近い港から観ても、その姿の様に変わりはない。


今回は似島汽船さんのフェリー「第十こふじ」号の11時発の便に乗ることになった。島までは大人一人480円。約20分の船旅である。


宇品の入り口にある灯台と似島。すでに気温は35度近かったけど、海上の潮風が心地よかった。


似島が近づいてくるに連れて心がワクワクするのが新鮮な感覚であった。安芸小富士...本当にきれいな島だなあ。どうしてこんな山が島としてここに残ったのかなあ。


島に到着。乗客のほとんどが島に関係のある皆さんだったようで、乗り降りする人同士で何やら挨拶めいた声を掛け合っているのが微笑ましかった。僕の会社では見かけない光景である。


着いてすぐに猛暑が少しでもひどくならないうちに登山口から山を目指すことに。

似島港からの登山口は港を降りてすぐ左に進むんで、家々の間の細い道を標識に従って進んで行くとすぐたどり着くことができる。


ところが登山口から登り始めたすぐのところで、先月の豪雨の被害か、いきなり大きな木が2カ所で倒れて登山道を塞いでいた。

これは2本目の倒木を乗り越えてから撮ったものだけど、結構大きな木で小さい子は乗り越えるのはちょっと無理な感じだった。大人でもこの道をこのまま進んでいいのかなと不安に駆られる状況であった。


ここからは酷暑との戦いにもなり、実は後から思えばちょっと危険な独りプチ登山となった。なにせ片道45分程度とは聞いていたものの初めての知らない道であり、しかも結局山を降りるまで誰にも会うこともなかった。

持っていたのは、出かける時に義母からもらったポカリスウェット600mlと船内で買い足したミネラルウォーター600ml、あと塩分ミネラル補給用のタブレットが5粒という状況。

ポカリは山頂を目指すなかで容赦無く照りつける日差しに堪えてどんどんなくなっていった。

途中、標識などはちゃんとついてはいたけど低いとはいえそれなりの山道であり、山頂直前はちょっと岩面(歩いて登れる程度のものなのだが)を登る感じにもなるので、その手前で暑さと不安でポカリがほぼなくなりそうになったときは、一瞬「引き返す勇気」みたいな言葉も頭をよぎった。

山頂は諦めてこの景色撮って登ったことにしようかとか考えながら眼下に見えた似島港の景観をパチリ。200m位からの眺めなんだけどとても美しい。撮ったときはあまり余裕がなくなっていたんだけど(笑)。


船内でもらった島の観光パンフレットにある地図を見ながら考えて、帰りは登ったのと逆側で楽そうな似島臨海公園に降りることを決めてとりあえず山頂を目指そうと歩き出した。

幸い岩場もさほど大したことはなく、若干ふらつきながらも航空燈施設のある山頂に12時30分ごろ無事に到着。

妻と結婚して19年目にして、毎年夏か冬に妻の実家付近から一瞬眺めていた似島の景色とは逆に、似島の安芸小富士の山頂から広島市の中心部を望むことができて、まだ帰りの不安は抱きつつも、酷暑(たぶん既に38度近くあった)のなか不思議な感動が身体を走った。


280メートルの標高だけど素晴らしい眺望である。しかし熱射が照りつける狭い山頂でのんびりしていても、貴重な体力と水が減るだけなのですぐさま下山。

岩場を経てしばらく来た途を降りてあった臨海公園方面への分岐点をためらうことなく左(東側)へ。

20分も経たないうちに無事に展望台登山口に到着した。似島の隣に見えたもう一つの美しい小富士「峠島」が見えた。


展望台にはすぐ下の公園につながる滑り台が。これを降りれば一気に下へ...と思いましたが滑る勇気はなかった(笑)


ようやく臨海公園に到着。海水プールからの歓声も聞こえ、遊びに来ている人々の姿をみてやっとひと安心することができた。


牡蠣の養殖場に面した漁港からフェリー乗り場がある似島学園を歩いて目指した。

途中あった養老院には原爆の被災者を慰霊する石像があったんだけど、妻の実家に帰って義父から教えてもらった似島の歴史にその意味を知った。


臨海公園から似島学園までは徒歩15分とのことだった、知らない山道とはうってかわって余裕のお散歩でした。港の近くからみる峠島。海も綺麗である。


桟橋に着いて程なくして宇品に戻る13:30発のフェリーがやってきた。


たった2時間半の滞在ではあったが、とても中身の濃いひと時だった。20年近く想い続けた似島との短い対面もひとまずこれでおしまいである。


さようなら似島。今度は家族も連れてきっとまた来るよ。その美しい姿をどうかいつまでも!




宇品に着いたらどっと疲れと空腹が。Googleマップで近所のお好み焼き屋さんをサーチして、一番地元感溢れる評判の良さそうなお店「しんちゃん」に入って見ることに。


気さくな奥さんとそのお母さんに迎えられて、冷たいおしぼりとお水をもらって注文したのは肉玉そば入りお好み焼き550円也。

ご覧の通り、焼いた麺の上にかぶせたお好み焼きを全部混ぜてしまうスタイルだった。この方が食べやすいかな。


ボリュームもあって味もしっかりしていてとても美味しかった。広島お好み焼きのイメージがまた拡がった。いやあ、ありがたい。

ということで再び宇品から広電に乗って、市の中心部にある土橋で下車して当初の目的であった「ある用件」を済ませ、紙屋町からバスに乗って妻の実家がある己斐峠に帰ったのが午後4時半だった。

途中、万一に備えて妻にはメールで逐一実況してあったものの、帰って早々義理の両親には半ば狂人扱いされたが(笑)、僕の似島愛については理解を示してくれて、無事に訪問することができたことを素直に喜んでくれた。

似島の安芸小富士と、宇品の「しんちゃん」。とても充実したひと時であった。


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