木曜日は仕事を半日休暇。六本木EXシアターで開催されたももクロの「おしいろマンハッタン♡なんてこったパンナコッタ」に参戦。昨年のCDショップ大賞以来の小箱でのライヴ。イベントの詳細はこちらの記事をどうぞ。
「実験的イベント」という予告通りの内容ではあったが、主旨は非常によく理解できるものだった。もちろん事前の仕込みがあるとはいえ、不確実性の高いこういう企画を、しっかりと自分たちのイベントとして完成させてしまうところはやっぱりスゴいと思った。その意味でももはやプログレである。
そうした想いと間近で観るももクロちゃん達の熱演に何とも言えぬ不思議な感動を覚えつつ、スタンディングイベントでの腰の辛さもかばいながら途中で後ろに下がらざるを得なかった僕だったが、結果的に落ち着いて生の歌をじっくり楽しむことが出来て、それはそれでいい体験になった。やっぱりまずは歌ですよ、ももクロは。
ライヴが終わってゆっくりと込みあげてきた感動と空腹感で、いったんはまっすぐ帰宅しようとしたものの、乗換駅の恵比寿で時間があったので「えびす村」に独り立ち寄って、トンカツをつまみにビールとレモンサワーで遅い夕食をとることに。
閉店間際で客も少ないなか、カウンターでマスターの面前にてご自慢のカツを独り占めできたのはよかった。空腹だったせいもあるけど、あの大カツと大盛りキャベツをペロリと平らげてしまってライブ同様に大満足だった。帰宅して法被やTシャツやタオルなどを独りでそそくさと洗濯。
金曜日は、幼稚園を終えた子どもと妻がなぜかまた六本木の新国立美術館にやって来たとのことで、仕事で直帰だった僕と浜松町で待ち合わせ、世界貿易センタービル地下街にあるビアレストラン「あおしま」で夕食。
この地下街周辺はなかなかいいお店が揃っていて、ここも前から少し気になっていた。値段はリーゾナブルとは言い難いが、美味しいビールと料理が手軽に楽しめる。子どもは初めての六本木に興奮したのか少々悪ノリ気味。
この週末もウォーキングはやらず。反省。しかし、土曜日はスイミング教室の後に石川町で子どもと合流し、「葉月」でお昼を(本当に美味しいお店です)食べた後、ママはお買物がてら元町をぶらぶらするというので、子どもと2人歩いて帰宅。ゆっくりで30分ほどの道のりだが、途中柏葉公園に立ち寄ったりしながら少し歩くことが出来た。
砂場で遊ぶ子どもをベンチで眺めながら座っていて、ふと空を見ると公園の樹木と冬の太陽が興味深い情景に見えたので、ケータイのカメラを向けてみたら面白い写真が撮れた(画像はイジってません撮ったまんまです)。
日曜日は花粉症のせいか子どもが咳をしたりと体調いまいちな様子なので外出は諦めることに。だけどウォーキングもしてないし、なんだかどうしても自分の時間が持ちたくなって、昼食後に独りでお散歩。
結局関内まで歩いて、またベイブルーイングヨコハマさんにお邪魔して、ご自慢のピルスナーを1パイントいただきました。土日で関内までを往復したのでウォーキングは成立したことにしておこう。
この日は偶然にも、このピルスナーが海外コンテストで金賞を受賞したことに加え、代表の方のお誕生日とご結婚というトリプル祝賀会の真っ最中で、ピルスナーがパイントで700円という特別価格なのでありました。おめでとうございます!
通りに面したカウンター席でビールをやっていると、そこを通る人たちが歩きながらお店に目を留める様子を眺めるのがなんか面白いんだよね。こういうビール呑んでると普通の生ビールにはもう飽きちゃってる自分を感じるもの。とりあえずビールっていうのもそろそろ過去のものになるのかな。
とまあ、こんあ感じで2月が終わろうとしているのでありました。
2/23/2014
2/16/2014
雪と三浦大根
おかげさまでこの一週間は、仕事の行き帰りはずっとヘリコプターでした(笑)。あれ、家でスピーカーの前に座って聴くのもいいけど、電車とか乗り物に揺られて聴くのがいいですね。なんか自分も空を飛んでいるみたいな気分になります。
横浜は2週続けての雪。風も強くてこの辺りではめずらしい雪嵐になりました。20センチ近く積もった雪に、子ども達は言うまでもなく大喜び。おとな達は近所で手分けして雪かきに精を出しました。僕も腰が持つ限りはせっせと黙々とやりましたよ。先週末の雪になる前に妻がホームセンターで買ってきたスコップが大活躍でした。
この週末にやってきた風雪は量も多くて、いまもまだ庭先とか駅までの道にもしっかりと雪が残ってあります。2週続きの雪で庭の草木にもちょっとかわいそうな状況になってしまいましたが、自然のことですから仕方ありません。
今日は子どもがまたスイミング教室のお出かけイベントに参加したので、妻と2人で横浜をうろうろしました。久しぶりにベイクォーターに行って、タイ料理のランチをしたり、そこからみなとみらいまで歩いて妻のお買物につきあったりしましたよ。
ランドマークでお茶してたところ、雪の関係で子どもたちの帰りが予定より1時間半ほど遅くなるとの報が入って、ベイブルーイングヨコハマに妻を連れて行ってまた美味しいビールを楽しんだりしましたよ。お店は満員でひっきりなしにお客さんが来てました。いいことですなあ。
関内駅北口にある"Kirin City"さんに土日2日続けてお邪魔したのですが、ここなかなか料理が美味しくていいですね。ランチは800円前後でおいしいパスタやカツ料理なんかがいただけて、子どももすっかりお気に入りのようです。チキンカツについてきたパン(バゲット)が意外においしいです。
子どもは長いバス旅にも疲れを見せずに、50センチ以上あるぶっとい三浦大根を持って帰ってくれました。さてこれをどういただいたものか。パパは大根ステーキってのを食べてみたいなあ。しっかり焼いたおいしいやつをね。きっとビールにも合うんだろうなあ。三浦大根の焼酎ってのがあるんだよなあ。おいしいのかなあ。
横浜は2週続けての雪。風も強くてこの辺りではめずらしい雪嵐になりました。20センチ近く積もった雪に、子ども達は言うまでもなく大喜び。おとな達は近所で手分けして雪かきに精を出しました。僕も腰が持つ限りはせっせと黙々とやりましたよ。先週末の雪になる前に妻がホームセンターで買ってきたスコップが大活躍でした。
この週末にやってきた風雪は量も多くて、いまもまだ庭先とか駅までの道にもしっかりと雪が残ってあります。2週続きの雪で庭の草木にもちょっとかわいそうな状況になってしまいましたが、自然のことですから仕方ありません。
今日は子どもがまたスイミング教室のお出かけイベントに参加したので、妻と2人で横浜をうろうろしました。久しぶりにベイクォーターに行って、タイ料理のランチをしたり、そこからみなとみらいまで歩いて妻のお買物につきあったりしましたよ。
ランドマークでお茶してたところ、雪の関係で子どもたちの帰りが予定より1時間半ほど遅くなるとの報が入って、ベイブルーイングヨコハマに妻を連れて行ってまた美味しいビールを楽しんだりしましたよ。お店は満員でひっきりなしにお客さんが来てました。いいことですなあ。
関内駅北口にある"Kirin City"さんに土日2日続けてお邪魔したのですが、ここなかなか料理が美味しくていいですね。ランチは800円前後でおいしいパスタやカツ料理なんかがいただけて、子どももすっかりお気に入りのようです。チキンカツについてきたパン(バゲット)が意外においしいです。
子どもは長いバス旅にも疲れを見せずに、50センチ以上あるぶっとい三浦大根を持って帰ってくれました。さてこれをどういただいたものか。パパは大根ステーキってのを食べてみたいなあ。しっかり焼いたおいしいやつをね。きっとビールにも合うんだろうなあ。三浦大根の焼酎ってのがあるんだよなあ。おいしいのかなあ。
2/11/2014
ヘリコプター ストリング クァルテット
シュトックハウゼンの「ヘリコプター ストリング クァルテット」のことが、どういうわけだか急に気になり始め、物入れのダンボール箱にしまい込んであったCDを見つけ出してきて、iTunesに取り込み、さらにそれを愛用のiPod touchにも入れて、朝晩の通勤や自宅で何度も繰り返して聴いた。
シュトックハウゼンの音楽に出会ったのはまだ独身の頃で、彼のことを少し知る様になってすぐにこの作品の存在も知ることになった。弦楽四重奏団のメンバーを1人ずつ4機のヘリコプターに乗せて離陸し、上空で繰り広げられる演奏を地上のモニターとスピーカーで鑑賞するという奇想天外な音楽に、興味を持つなという方が無理な話である。
1999年に彼自身のレーベルから2枚組のCDがリリースされてすぐに僕もこれを買い求めた。当時はインターネットやクレジットカードを利用した受注手段を持っておらず、ファックスで注文書を送信して国際郵便為替で代金を送るというアナログな通信販売だった。1ヶ月以上それこそ首を長くして待って、ようやく届いたCDの小包を手に催した興奮はいまでもはっきりと記憶している。
初めて聴いた作品に「へぇー!」と感銘を受けたのは間違いないのだが、そのスタイルを表面的に受け入れるのが精一杯で、ヘリコプターのエンジン音とそれを模倣するかのような弦楽器の激しい演奏が、離陸から着陸までのおよそ30分間に渡って繰り広げられるということが、記憶に残っているすべてだというのが正直なところだった。
その後も何度かこれを聴くことはあったが、大抵は1度聴いておしまい、途中で止めたこともあったと思う。iPodで楽しむメニューに加えられることもなく、「あの世紀の珍曲を収録したCDをとりあえず僕は持ってるんだ」ということで満足してしまっている状況がしばらく続いたことになる。
なぜいまこの作品のことをあらためて意識する様になったのかは、ちゃんとした理由があるのだがそれについて触れるのは今回のメインではないのでやめておく。
とにかく僕は何年ぶりかでまたこの作品に向き合うことになり、そして今回は完全にその音楽としての素晴らしさに取り憑かれ、打ちのめされ、虜にされてしまったのである。作品の側からすれば15年間ひたすら待ち続けて、ようやく心を通い合わせることに成就したということだろうか。
ある作品に対して僕がこうなる時の常なのだが、この作品はこの3日間の僕のヘビーローテーションになっている。いまもこれを聴きながら書いているが、アルディッティ(弦楽四重奏団)による1995年の世界初演時のライブ録音と、その翌年のスタジオ録音、それに2012年のエリシアン(同)による3つのバージョンを、合わせて10回聴いたことになる。
アルディッティの2つの演奏は購入したCDに収録されているもの。そしてエリシアンによる演奏が、映像として作品の全編がYouTubeにHD映像で公開されている。15年前に比べれば、いまでは誰でも簡単にこの作品を望ましい手段(音と映像によるという意味で)で鑑賞することができるというのは本当に素晴らしいことである。
いずれの演奏もそれぞれに特長があるのだが、全般的にはやはりアルディッティの世界初演が感動的である。
なにせこれにはシュトックハウゼン本人による解説が冒頭にあり、演奏のミキシングも彼自身によるもので、さらには終演後の演奏者とヘリコプター操縦者、さらには会場の聴衆を交えた微笑ましいトークセッションが盛り込まれている。録音から伝わってくる臨場感がもたらす興奮という意味では、現時点では僕にとってのベストテイクである。
アルディッティによるスタジオ録音版は、初演後にこの作品の音楽性に深い感銘を受けた、アルヴィン(=アルディッティ)の強い要請で実現したもので、初演時に比べて終盤にいくつかの小節が追加されている。演奏と録音の完成度という意味では圧倒的にこのバージョンが素晴らしい。
だけど息子のサイモンがシンセサイザー等を使って再現したヘリコプターのローター音に表される「そこにヘリはいない、そして空もない」という不在感に、初演版に比べて何かもの足りなさを感じてしまうのは僕だけだろうか。
エリシアンによる一昨年の演奏は、録音の問題もあるがやはり演奏そのものの出来はアルディッティに劣ると感じる。しかしこの版の最大の強みはもちろん映像である。もう一度書いておくけど、この作品の全編をこういう形で視ることができるというだけで、とんでもなくありがたいことである。そして映像表現から知ることができるこの作品の圧倒的な存在価値、素晴らしさは、やはり形容し難い魅力なのだと思い知る。
(フルサイズ画面でヘッドフォンを使用しての鑑賞を強くお薦めします!)
特に映像左上にいるチェリスト ローラ=ムーディさんが、この演奏を心から楽しんでいる表情には、正直この作品の素晴らしさの本質が確実に心に通じたかのような気持ちが相まって、思わず涙が出てしまった。たとえが変かもしれないが、個人的にはももクロから時折受ける強い感動に通じるものがあった。
シュトックハウゼンの音楽は複雑な構成で知られるわけだが、作品(コンポジション)としては細部に至るまでしっかりとスコアに書き込まれたものであり、しっかりと通じ合えたなら彼の意図が直接的に伝わってくる。
この作品のレビューを数件見たなかで何人かの人が書いてあったことに僕も同感なのだが、これは彼の作品のなかでも聴きやすいものだと思う。理由は簡単で、一貫して流れるヘリコプターのローター音とそれに絡む弦楽演奏が、ある種のミニマル的(テクノ的と言ってもいいだろう)な曲調となって現れるからだろう。
演奏内容は、聴けば聴くほど実際のヘリコプターの平穏な飛行とは対極的な「超曲芸」の世界である。始めの頃はそこのところを本当に受けとめられるまで曲を聴きこなすことができなかった。
現在入手できる3つのバージョンは、アルディッティの初演でこの音楽の興奮に目覚め、スタジオ録音でその芸術性をさらに確実に受け止め、エリシアンの映像でその具現した様をしっかりと確認する、この流れが僕には自然だった。
常識はずれなことは多々あるが、この作品では他の弦楽四重奏では当たり前のことである、演奏中互いの存在と演奏を目や耳で感じながら合奏するという、弦楽四重奏の根本的な前提が取り除かれているということが、あらゆる特徴の原点にあることなのだと思う。
実際に4人の奏者はコンソールから等しく送られる共通のクリック信号を聴きながら演奏し、お互いの音を聴くことはできない。それ故に演奏者自身は実際に楽曲としてどのような演奏が繰り広げられているのかは、後になって記録されたものを見て初めて知ることになる。
初演のライブ録音で、演奏が終わった直後の拍手よりも、ヘリを降りて会場に演奏者と操縦士たちが姿を現した時に、彼らを迎える拍手が圧倒的に暖かいのも、そうした状況を暗に聴衆が理解したからだとさえ思う。あの拍手はなかなかの感動もので、電車の中でちょっと涙腺が緩んでしまった。
この作品についてシュトックハウゼンはある夜に実際に見た「夢」から着想を得たと語っている。これはこのうえもなく素晴らしくもあり、一方では恐ろしく身につまされる言葉だ。
輝かしい偉業の一方で、芸術を推し進める苦難や外部からの激しい誹謗や中傷を受けながらも、自身の夢を緻密に確実に実現していくということは、並大抵のことではない。弦楽四重奏曲を前提に彼以外に一体誰がこんな発想を持ち得ただろうか。これこそが妥協のない前衛であり革新というものだろう。
夢を見るだけでなく、それを実現するという意味で、これらの記録が持つ意味は計り知れないほど大きく、こんなことに比べれば僕自身の夢などほぼすべては何の意味もないものの様にかすんでしまう。
20世紀だけでなく音楽の歴史のなかでおそらくは今後も誰も越えることのできない頂点を極めた数少ない作品!必見必聴!
シュトックハウゼンの音楽に出会ったのはまだ独身の頃で、彼のことを少し知る様になってすぐにこの作品の存在も知ることになった。弦楽四重奏団のメンバーを1人ずつ4機のヘリコプターに乗せて離陸し、上空で繰り広げられる演奏を地上のモニターとスピーカーで鑑賞するという奇想天外な音楽に、興味を持つなという方が無理な話である。
1999年に彼自身のレーベルから2枚組のCDがリリースされてすぐに僕もこれを買い求めた。当時はインターネットやクレジットカードを利用した受注手段を持っておらず、ファックスで注文書を送信して国際郵便為替で代金を送るというアナログな通信販売だった。1ヶ月以上それこそ首を長くして待って、ようやく届いたCDの小包を手に催した興奮はいまでもはっきりと記憶している。
初めて聴いた作品に「へぇー!」と感銘を受けたのは間違いないのだが、そのスタイルを表面的に受け入れるのが精一杯で、ヘリコプターのエンジン音とそれを模倣するかのような弦楽器の激しい演奏が、離陸から着陸までのおよそ30分間に渡って繰り広げられるということが、記憶に残っているすべてだというのが正直なところだった。
その後も何度かこれを聴くことはあったが、大抵は1度聴いておしまい、途中で止めたこともあったと思う。iPodで楽しむメニューに加えられることもなく、「あの世紀の珍曲を収録したCDをとりあえず僕は持ってるんだ」ということで満足してしまっている状況がしばらく続いたことになる。
なぜいまこの作品のことをあらためて意識する様になったのかは、ちゃんとした理由があるのだがそれについて触れるのは今回のメインではないのでやめておく。
とにかく僕は何年ぶりかでまたこの作品に向き合うことになり、そして今回は完全にその音楽としての素晴らしさに取り憑かれ、打ちのめされ、虜にされてしまったのである。作品の側からすれば15年間ひたすら待ち続けて、ようやく心を通い合わせることに成就したということだろうか。
ある作品に対して僕がこうなる時の常なのだが、この作品はこの3日間の僕のヘビーローテーションになっている。いまもこれを聴きながら書いているが、アルディッティ(弦楽四重奏団)による1995年の世界初演時のライブ録音と、その翌年のスタジオ録音、それに2012年のエリシアン(同)による3つのバージョンを、合わせて10回聴いたことになる。
アルディッティの2つの演奏は購入したCDに収録されているもの。そしてエリシアンによる演奏が、映像として作品の全編がYouTubeにHD映像で公開されている。15年前に比べれば、いまでは誰でも簡単にこの作品を望ましい手段(音と映像によるという意味で)で鑑賞することができるというのは本当に素晴らしいことである。
いずれの演奏もそれぞれに特長があるのだが、全般的にはやはりアルディッティの世界初演が感動的である。
なにせこれにはシュトックハウゼン本人による解説が冒頭にあり、演奏のミキシングも彼自身によるもので、さらには終演後の演奏者とヘリコプター操縦者、さらには会場の聴衆を交えた微笑ましいトークセッションが盛り込まれている。録音から伝わってくる臨場感がもたらす興奮という意味では、現時点では僕にとってのベストテイクである。
アルディッティによるスタジオ録音版は、初演後にこの作品の音楽性に深い感銘を受けた、アルヴィン(=アルディッティ)の強い要請で実現したもので、初演時に比べて終盤にいくつかの小節が追加されている。演奏と録音の完成度という意味では圧倒的にこのバージョンが素晴らしい。
だけど息子のサイモンがシンセサイザー等を使って再現したヘリコプターのローター音に表される「そこにヘリはいない、そして空もない」という不在感に、初演版に比べて何かもの足りなさを感じてしまうのは僕だけだろうか。
エリシアンによる一昨年の演奏は、録音の問題もあるがやはり演奏そのものの出来はアルディッティに劣ると感じる。しかしこの版の最大の強みはもちろん映像である。もう一度書いておくけど、この作品の全編をこういう形で視ることができるというだけで、とんでもなくありがたいことである。そして映像表現から知ることができるこの作品の圧倒的な存在価値、素晴らしさは、やはり形容し難い魅力なのだと思い知る。
(フルサイズ画面でヘッドフォンを使用しての鑑賞を強くお薦めします!)
特に映像左上にいるチェリスト ローラ=ムーディさんが、この演奏を心から楽しんでいる表情には、正直この作品の素晴らしさの本質が確実に心に通じたかのような気持ちが相まって、思わず涙が出てしまった。たとえが変かもしれないが、個人的にはももクロから時折受ける強い感動に通じるものがあった。
シュトックハウゼンの音楽は複雑な構成で知られるわけだが、作品(コンポジション)としては細部に至るまでしっかりとスコアに書き込まれたものであり、しっかりと通じ合えたなら彼の意図が直接的に伝わってくる。
この作品のレビューを数件見たなかで何人かの人が書いてあったことに僕も同感なのだが、これは彼の作品のなかでも聴きやすいものだと思う。理由は簡単で、一貫して流れるヘリコプターのローター音とそれに絡む弦楽演奏が、ある種のミニマル的(テクノ的と言ってもいいだろう)な曲調となって現れるからだろう。
演奏内容は、聴けば聴くほど実際のヘリコプターの平穏な飛行とは対極的な「超曲芸」の世界である。始めの頃はそこのところを本当に受けとめられるまで曲を聴きこなすことができなかった。
現在入手できる3つのバージョンは、アルディッティの初演でこの音楽の興奮に目覚め、スタジオ録音でその芸術性をさらに確実に受け止め、エリシアンの映像でその具現した様をしっかりと確認する、この流れが僕には自然だった。
常識はずれなことは多々あるが、この作品では他の弦楽四重奏では当たり前のことである、演奏中互いの存在と演奏を目や耳で感じながら合奏するという、弦楽四重奏の根本的な前提が取り除かれているということが、あらゆる特徴の原点にあることなのだと思う。
実際に4人の奏者はコンソールから等しく送られる共通のクリック信号を聴きながら演奏し、お互いの音を聴くことはできない。それ故に演奏者自身は実際に楽曲としてどのような演奏が繰り広げられているのかは、後になって記録されたものを見て初めて知ることになる。
初演のライブ録音で、演奏が終わった直後の拍手よりも、ヘリを降りて会場に演奏者と操縦士たちが姿を現した時に、彼らを迎える拍手が圧倒的に暖かいのも、そうした状況を暗に聴衆が理解したからだとさえ思う。あの拍手はなかなかの感動もので、電車の中でちょっと涙腺が緩んでしまった。
この作品についてシュトックハウゼンはある夜に実際に見た「夢」から着想を得たと語っている。これはこのうえもなく素晴らしくもあり、一方では恐ろしく身につまされる言葉だ。
輝かしい偉業の一方で、芸術を推し進める苦難や外部からの激しい誹謗や中傷を受けながらも、自身の夢を緻密に確実に実現していくということは、並大抵のことではない。弦楽四重奏曲を前提に彼以外に一体誰がこんな発想を持ち得ただろうか。これこそが妥協のない前衛であり革新というものだろう。
夢を見るだけでなく、それを実現するという意味で、これらの記録が持つ意味は計り知れないほど大きく、こんなことに比べれば僕自身の夢などほぼすべては何の意味もないものの様にかすんでしまう。
20世紀だけでなく音楽の歴史のなかでおそらくは今後も誰も越えることのできない頂点を極めた数少ない作品!必見必聴!
2/02/2014
クラフトビールとペーター=ブロッツマン
呑み仲間の知人と約束をしようとしたら、その男が「クラフトビール」という言葉を返してきた。いわゆる地ビールのことだが、そう言えば横浜近辺のタウン情報を紹介してくれるウェブマガジンで最近同じ言葉を目にしたなあと思い、記事を読み返しているうちに興味がわいたので出かけてみることにした。
妻と子どもは幼稚園のお友だちと土曜日までスキー旅行でお泊まりしていたので、金曜日の夕方に「ベイブルーイングヨコハマ」さんに独りでおじゃましてみた。ちょうど大さん橋でクラフトビールのコンペを兼ねたお祭りが開催中とのことで、もしかしてそれに参加するためにお店はお休みかな思ったのだが、店主はご不在だったものの女性の店員さんがお店を開けてくれていた。感謝!
3種類のオリジナルビールをハーフパイントで1杯ずついただいたが、どれも美味しかった。特に一番最初に飲んだ「ベルヴァイス13」が華やかで気に入った。おつまみはのメニューいつもより少なかったけど、ポテトはシンプルでとても美味しかったです。いいなあクラフトビール。
その後、野毛の方にふらふら行って、独身の頃からちょくちょく世話になっている中華料理の「新雅」で「もやしかた焼きそば」をいただく。これもシンプルで美味しい。店内はちょっと寂しかったけど、いつまでも続いて欲しいなあ、このお店も。
さらに、えーいもう一軒とばかりに地元のバー「マディ」に立ち寄った。久しぶりだったけどマスターもお店も相変わらずで迎えてくれ、バーボンのソーダ割りとラフロイグの新作をストレートで1杯いただいた。48%のスモーキーな刺激に鼻と舌と喉をしっかりくすぐられてこの日のお酒はここで打ち止めとなった。
土曜日は朝遅い時間から大さん橋に歩きにいって、家に帰って音楽聴いたり、酔亭のラーメン食べたり、伸びすぎた庭の草木を手入れしたり、チョコレート入りのビーフシチューを作ったりして妻子の帰りを待った。スキーはそれなりに楽しかった様で子どもはハイテンションでその日の夜、元気に帰ってきた。
関内にあるもう一軒のお店「横浜ビール」さんが運営するビアレストラン「驛の食卓」さんには、日曜日に妻と子どもを連れて行ってみた。思ったより大きなお店でオーガニックなおいしいお料理がお手頃なお値段でいただける。
妻はアルト、ヴァイツェン、横浜ラガーのテイスティングセットを、僕はヴァイツェンとペールエールをいただいた。オムライスやピザ、前菜盛り合わせにデザート、コーヒーまでセットにして全部で4300円ほどだった。お昼にしてはちょっと贅沢だったけど、美味しいビールが堪能できたのでヨシ。ここは家族連れで行くにはぴったりだね。
金曜日夕方ビール屋さんに行く前に久しぶりに立ち寄ったディスクユニオンで、フリージャズの中古コーナーを覗いていると、ペーター=ブロッツマンが亡きペーター=コヴァルドに捧げた作品"Never Too Late But Always Too Early"が売られていた。
10年前なら何の迷いもなくひょいと購入していたのに、いまは「待てよダウンロードで安く手に入るんじゃないか」とか考えてしまう。スマートフォンがあればその場ですぐ確認できるのだろうが、僕は持っていないのでその日はお預けとしていた。
結局、ダウンロードはないことが分かって、日曜日にビアレストランに行く途中でお店に寄ってもらい、おそらくはこの2日間誰の目にも手にもとまらなかったこの作品を1170円で引き取って帰った。このお店で中古CD買うのも久しぶりだなあ。
妻がスキー土産で買ってきてくれた八海山のカップ酒を呑んでこれを書きながら2枚目の途中を聴いているのだけど、演奏が収録されたときまだコヴァルドは生きていたので、おそらくは彼の訃報に触れたブロッツマンが、縁の深かったこの3人による演奏を冥土の土産にしようと思ったのだろう。
ブロッツマンはともすれば過激さばかりがイメージで先行するが、実際にはものすごい繊細な演奏を行う人である。僕にとっては「コヴァルドに捧げる」の言葉とメンバーだけで買ってしまったわけだが、中身はやっぱりスゴいレベルの演奏。夜なので大きい音で聴けないのが残念だけど、これからじっくり聴いてみたい。
ペーターは来月横浜ドルフィーにやってくるのだそうだ。いまから楽しみである。
妻と子どもは幼稚園のお友だちと土曜日までスキー旅行でお泊まりしていたので、金曜日の夕方に「ベイブルーイングヨコハマ」さんに独りでおじゃましてみた。ちょうど大さん橋でクラフトビールのコンペを兼ねたお祭りが開催中とのことで、もしかしてそれに参加するためにお店はお休みかな思ったのだが、店主はご不在だったものの女性の店員さんがお店を開けてくれていた。感謝!
3種類のオリジナルビールをハーフパイントで1杯ずついただいたが、どれも美味しかった。特に一番最初に飲んだ「ベルヴァイス13」が華やかで気に入った。おつまみはのメニューいつもより少なかったけど、ポテトはシンプルでとても美味しかったです。いいなあクラフトビール。
その後、野毛の方にふらふら行って、独身の頃からちょくちょく世話になっている中華料理の「新雅」で「もやしかた焼きそば」をいただく。これもシンプルで美味しい。店内はちょっと寂しかったけど、いつまでも続いて欲しいなあ、このお店も。
さらに、えーいもう一軒とばかりに地元のバー「マディ」に立ち寄った。久しぶりだったけどマスターもお店も相変わらずで迎えてくれ、バーボンのソーダ割りとラフロイグの新作をストレートで1杯いただいた。48%のスモーキーな刺激に鼻と舌と喉をしっかりくすぐられてこの日のお酒はここで打ち止めとなった。
土曜日は朝遅い時間から大さん橋に歩きにいって、家に帰って音楽聴いたり、酔亭のラーメン食べたり、伸びすぎた庭の草木を手入れしたり、チョコレート入りのビーフシチューを作ったりして妻子の帰りを待った。スキーはそれなりに楽しかった様で子どもはハイテンションでその日の夜、元気に帰ってきた。
関内にあるもう一軒のお店「横浜ビール」さんが運営するビアレストラン「驛の食卓」さんには、日曜日に妻と子どもを連れて行ってみた。思ったより大きなお店でオーガニックなおいしいお料理がお手頃なお値段でいただける。
妻はアルト、ヴァイツェン、横浜ラガーのテイスティングセットを、僕はヴァイツェンとペールエールをいただいた。オムライスやピザ、前菜盛り合わせにデザート、コーヒーまでセットにして全部で4300円ほどだった。お昼にしてはちょっと贅沢だったけど、美味しいビールが堪能できたのでヨシ。ここは家族連れで行くにはぴったりだね。
金曜日夕方ビール屋さんに行く前に久しぶりに立ち寄ったディスクユニオンで、フリージャズの中古コーナーを覗いていると、ペーター=ブロッツマンが亡きペーター=コヴァルドに捧げた作品"Never Too Late But Always Too Early"が売られていた。
10年前なら何の迷いもなくひょいと購入していたのに、いまは「待てよダウンロードで安く手に入るんじゃないか」とか考えてしまう。スマートフォンがあればその場ですぐ確認できるのだろうが、僕は持っていないのでその日はお預けとしていた。
結局、ダウンロードはないことが分かって、日曜日にビアレストランに行く途中でお店に寄ってもらい、おそらくはこの2日間誰の目にも手にもとまらなかったこの作品を1170円で引き取って帰った。このお店で中古CD買うのも久しぶりだなあ。
妻がスキー土産で買ってきてくれた八海山のカップ酒を呑んでこれを書きながら2枚目の途中を聴いているのだけど、演奏が収録されたときまだコヴァルドは生きていたので、おそらくは彼の訃報に触れたブロッツマンが、縁の深かったこの3人による演奏を冥土の土産にしようと思ったのだろう。
ブロッツマンはともすれば過激さばかりがイメージで先行するが、実際にはものすごい繊細な演奏を行う人である。僕にとっては「コヴァルドに捧げる」の言葉とメンバーだけで買ってしまったわけだが、中身はやっぱりスゴいレベルの演奏。夜なので大きい音で聴けないのが残念だけど、これからじっくり聴いてみたい。
ペーターは来月横浜ドルフィーにやってくるのだそうだ。いまから楽しみである。
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