5/20/2013

夢と幻日の瞬間

ナチュラルさを売りにしているどこにでもあるような雑貨屋さんで買物をしてどこかに向かう途中で、ふと買物袋に入っていた変な伝票を見つけて、その内容を理解するうちにもしかしたらお会計が間違っているかもということに気がつき、なんとなくお店に引き返す・・・という夢を見ながらすーっと眠りから目が覚めていくのを感じた。エンドロールも音楽もないけど「この夢はここでおしまいです」という雰囲気がどこからともなくわいて出てきて、ちょうど劇場の照明がゆっくりと灯り始めるのに似た感じで、比較的明るい昼間だった夢の世界から実際に僕が寝ている薄暗い部屋の明るさに光の感覚がまるで明るさを逆行しているみたいに切り替わってゆく。そして、意識が眠りから離れようとしているその瞬間、聞き覚えのある携帯電話のアラームメロディーが耳元でにぎやかに鳴り響いた。午前5時。あれ?こんな時簡にアラームセットしてたっけ?んんんー今日は何だっけ?お休みだよなあ。昨日は何したんだっけ?ママのお友達でその人の男の子の着れなくなった洋服や遊ばなくなったおもちゃを、いつもうちの子どもにくれる人がいて、彼女のまだ小さい女の子にうちの子どもが乗らなくなったストライダーをあげに出かけたんだよなあ、錦糸町まで。海抜の低い新しい公園で子どもたちとしばらく遊んだんだよなあ。お昼ご飯に久しぶりに食べた「ぼてじゅう」の豚入りモダン焼きは、不味くはなかったけど人工的な味がして喉が渇いたんだよね。公園の後にスカイツリーのところまで出かけて、結局夜ご飯は久しぶりに山手の「だいわ」で食べたんだよなあ。その前の日は何したんだっけ。久しぶりに大さん橋までウォーキングしたんだ。6時過ぎに着いたらもう太陽は高くなってて、その日入港予定の大きな客船の姿がベイブリッジの遠く向こうに見えた。昼間は子どものプールのお迎えに行って、横浜スタジアム横の横浜公園でお友達の親も交えてコンビニで買ったお昼を食べたよなあ。ちょうどスタジアムではプロ野球のゲームをやってたみたいだけど、聞こえてくることは野球なのかなにかのアトラクションイベントなのかよくわからなかったんだよね。いつ試合が始まったのかもわからなかったし、試合中だと思ったらまた何かのイベントが始まったりして、あれがお客を楽しませる工夫らしいんだ。少し前に行った「くら寿司」の記憶がふっと頭の中をよぎったよ。そんな2日間のぼんやりした記憶が呼び覚まされた次の瞬間、今が月曜日の朝だということをようやくにか瞬時にか悟って、僕の心は文字通り「暗転」した。携帯電話のアラームを止めてそのまま文字にできない虚しさの雄叫びをあげてその場で横になったまま伸びをして、ずんぐりと上半身を起こすとすぐに大きなため息まじりに「はあ」と声に出すこと3回。この瞬間の記憶は今日一日中僕の心のなかを満たし続け、その分量は水がわずかにしみ出すほどの小さな穴を針であけたビニール袋のなかの水のように、なかなか減ることがなくてずっと重たいままだったね。いままでありそうであまりなかったイヤあな経験だった。多くのくだらないことはくだらなさをいつも以上にあからさまにしていて、数少ない面白そうなことも僕からみた興味と輝きを大きく損ねていた。そんなところに好きでも何でもないのにほぼ12時間近く居て、家に帰ったらちょうど子どもがオヤスミするところにかろうじて間に合った。独りで食べる夕食は寂しかったけど、妻の手作りのおいしいおかずとごはんだったからなんとかそこでたまってたものが抜けたって感じだったね。こんなことがいつまで続くのかなあ、続けないといけないのかなあ、それとも続けない方がいいんだろうかなあ、いろいろ考えちゃうよなあ。


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