9/18/2011

ピアノ・デュオ2作

このところまた気温の高い日が続いている。この1週間は、連日最高気温が32度前後まであがり、毎日半袖のポロシャツで職場まで通った。

楽しかったオホーツクの思い出が強く、月曜日の朝に会社近くの駅を降りて遭遇した人混みを前に、いったい自分はここで何をやっているのかという感覚にとらわれた。

今週は休暇の直前に発覚した緊急案件への対応にほとんどの時間を費やし、おかげで当初予定していた作業にはほとんど着手できなかった。まあ何とかなるさでやっていくしかない。仕事とはそんなものだ。

毎日が暑くて慌ただしくとも音楽への興味は尽きるものではなく、またいくつかのご機嫌な音楽作品に巡り会えているので、今回はそのなかから2つをご紹介。いずれもピアノと他の楽器によるデュオである。

一つ目は、前作"Concertos"の驚異的な素晴らしさで一気に大ファンになってしまったマイケル=マントラーの新作。タイトルはずばり"For Two"。内容は前作でも登場したエレクトリックギターのBjarne Roupに、Per Saloというピアニストの組み合わせで、マイケルは作曲とプロデュースを担当している。

Duet OneからDuet Eighteenまで18曲の小品からなり、かなりの部分がNotated(一音一音が楽譜に記されている)で、ところところにImprovisation(即興演奏、アドリブ)が含まれるというマントラー流儀の作品になっている。一つ一つの音楽は非常に繊細で美しく、組曲としても多様性に富んでいて楽しめる。スコアは彼のウェブサイトで入手できる。

個人的には前作の室内楽版という印象。あの世界がこの編成でもしっかりと表現されている。素晴らしい。クレジットを見て驚いたのは、ピアノとギターのパートが別々に録音されているということ。

マントラーの音楽は、いろいろなジャンルの境界にありながら、中途半端さとは真逆の孤高ともいえるしっかりとした存在感を示す。これはこの人が持って生まれた並外れた才能の体現だろう。前作に続いてこの作品でも、ジャズでもクラシックでもない独自かつ自然な音楽世界が魅力的である。前作に引き続きかなりのお奨めといえるだろう。

二つ目は、やはり以前にご紹介した"The Art of Improviser"で虜になってしまったマシュー=シップの最新作"Broken Partials"。今回は即興ベーシストの巨匠Joe Morrisとのデュオだ。

この作品もアルバムタイトルを冠した1から8までの演奏からなり、こちらはかなりの部分を即興演奏が占める内容。しかしそこはやはり即興の神様達による競演であるからして、驚くべきまとまり感を保ちながらスリリングにかつ着実な展開でまったく気が抜けない1時間である。

モリスは以前、ブラクストンとの4枚組即興ライヴを聴いてあまりピンとこなかったのだが、今回はそれはそれは素晴らしい演奏。結構堅実な人なんだなあと印象を新たにした。1曲目で堅実なベースランニングを聴かせたかと思えば、2曲目の冒頭では超絶アルコでこれまた雄弁に語りまくる。うーん、やっぱりすごい人です。

マシューのピアノはここでも冴えまくっていて、あの個性的な音色で音空間のキャンバスをのびのびと埋め尽くしてゆく。ますます気に入ってしまった。この人を深く知るにはやはりホーンが絡まない作品を一度じっくり聴くべきだと思う。これからほかの作品も聴いてみたいと強く感じた。

やっぱり音楽はいいねえ。ホント飽きませんわ。こんな調子で楽しんでいるうちに、僕はまた一つ歳をとった。



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