1/10/2011

ノルウェイの森

ようやく風邪が治まりつつある。このタイミングでの3連休は本当にありがたい。金曜日には広島から妻と子どもが帰って来て、またいつものにぎやかなわが家がもどってきた。

2日遅い仕事初め以降、2人が帰ってくるまでの間はもっぱら夜は外食で済ませた。やまて食堂でコロッケやしょうが焼き定食をほうばったり、木曜の夜はほうちゃんで年末に続いて「独り呑み初め」と相成った。復調してようやく「やまての味」を遅いおせちに楽しんだというところ。どれもこれも安くて素晴らしい。


ところで、元々お正月は独りで横浜に帰ってきてからやりたいことがあった。それは映画を観ること。お目当てはトラン・アン・ユン監督の「ノルウェイの森」。

妻や僕が好きな村上春樹のベストセラー小説の映画化ということで、気になっていたのが半分と、子どもが生まれてから劇場に行くことがなかったので、僕が先に観て面白かったら妻にも行かせてあげようと思ったのが半分というところ。白状すると、会社を休んだ2日目の昼には、ずいぶんと気分がよくなって来たので、桜木町のブルク13に出かけたのだ。

原作は30年近く前に発売されて以来、400万部以上を売り上げ世界中の言語に翻訳されたベストセラー。僕は社会人になったばかりのころに、一度だけ読んだ。記憶に残る小説のイメージはかなり薄れかかっていたが、だからといって映画を見る前にもう一度読むつもりはない。別に小説と映画の関係に期待しているわけではないから。映画は映画、小説は小説だと思うし、わざわざ「原作〜」とか"based on..."と断ってるのだから。

内容は素晴らしいものだった。思った以上に原作の小説にかなり忠実な作りになっている。話の中心に位置する松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子を始めとするキャスティングも非常に的確である。少なくとも僕にとっては原作を深く表現できている映画化であり、映像や音楽など映画ならではの新たな魅力もたぶんに持ち合わせた作品だった。

作品のテーマがああいう内容なので、かなり個人的な想いと結びついた感想を抱いている人が多い小説だろう。大きな分かれ目は直子という人物に対してどの様な想いを抱くかだと思う。それがそのまま菊地と言うキャスティングへの賛否に反映すると僕は思っている。

個人個人の想いだからそれはそれでいいのだろうが、「純愛小説」なる売られ方をした結果寄せられたいくつもの映画化やドラマ化の話をことごとく断って来た村上氏の想いも、同じ様なところにあったのではないかと勝手に想像している。

30年間で変わったのはやはり日本の新しい文化の国際化ということか。小説が国内でベストセラーとなった当時、当の村上氏を含めこの様な展開を予見できた人はいなかったのではないか。一部の経済界のおかげで経済思想の多くがいつまでもしがみつく「ものづくり」が明らかに色褪せるなか、こういう現象が台頭してくるのはいいことだ。

久しぶりに観た映画だったので、余計に清々しい気分になれた。


3連休最終日の今日は、2週間ぶりの早朝ウォーキングにも出かけた。冷たい風が強かったが、1時間8000歩のコースを行くのはとても気分がよかった。あらためて健康のありがたさを実感した。

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