おかげ様でお腹の風邪はすっかりよくなりました。子供もまだ少し便通が緩い状態ですが、食欲の方も少しずつ取り戻しています。ご心配おかけしました。
年始にディスクユニオンの買取キャンペーンがあるというので、正月休み明けから妻と子が広島の実家に帰った間にせっせとCDの整理を行い、ジャズ関係のものばかり130枚くらいをまとめて処分した。
査定結果は6万円と少し、まとまったお小遣いとしては悪くない結果だ。やはり買取の事情も確実に変わってきている。全体的な査定水準が下がってきているし、フュージョン色の濃いもの(例えばブレッカー・ブラザーズ・バンドなど)は買取を断られるようになった。
もちろん、いまもっているすべてをいずれ手放すというつもりは毛頭ない。一時期、興味の赴くまま手当り次第に蒐集してきたもののなかから、印象が薄いものや完全に興味を失ったものなど、僕にとって価値が無くなったと思われるCDをリサイクルするということだ。
そんな「この先もうあまりCDを購入することはないのかなあ」、という雰囲気が充満するなかにあって買ってしまった、僕にとって「最後の箱モノ」になると思われる作品を今回はご紹介したい。ジャズピアニストのビル=エヴァンスが最晩年にヴィレッジヴァンガードで行った演奏をCD6枚組にまとめた、"Turn Out the Stars: Final Village Vanguard Recordings"がそれである。
「ビル=エヴァンスの最高傑作は?」の問いに、リヴァーサイドに残されたラファロ、モチアンとのトリオによる一連の作品、とりわけ"Portrait in Jazz"と"Waltz for Debby"をあげる向きはいまも圧倒的に多いと思う。
もちろん僕自身も少し前まではそう信じていたのだが、今となっては、エヴァンスの黄金期は、マーク=ジョンソン、ジョー=ラバーベラとの最後のトリオだというのが僕の考えになっている。これは以前このろぐで"Paris Concert"をご紹介した頃からそう思う様になったのだが、今回改めてこのボックスセットを聴いてみてその思いはさらに確たるものとなった。
エヴァンスの音楽を、ラファロの死で進化の時間が止められてしまったかの様に考えるのは、彼に対して失礼だ。その後本当にいろいろなことが彼の人生には起こるが、ピアノを追求し続けるなかで再び訪れた大きな巡り合わせが、この素晴らしいトリオだと思う。
残念ながら、ラファロ、モチアンの次に人気が高い(と思われる)ゴメス、ディジョネットとのトリオによる作品、例えばお城のジャケットで有名なモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ盤も、このトリオの演奏の前にはかすんでしまう。おそらく次にCDを処分する機会でおさらばとなるだろう。
"My Romance"や"Autumn Leaves"、"Nardis"といった往年のレパートリーから、"Theme from M*A*S*H"など最新のものまで、とにかく強力にドライブするトリオ演奏はただただ感動的である。これこそがビル=エヴァンスだ。
断っておくがこれはいわゆるコンプリート盤の類いではない。4夜に及んだ演奏のなかから選りすぐりのテイクを集めたらCD6枚になったというものであり、まったく無駄のない内容である。当初高価だったこのセットも今回は非常にお求めやすい値段で復刻されている。少しでも興味のある方は、この機会に是非聴いてみて欲しい。
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