5/13/2007

デクスター=ゴードン「モンマルトル コレクション」

久しぶりの「連休」だった。土曜日には電車にも乗らず、近所をぶらぶらしたり昼寝をして過ごした。日曜日も川崎の街まで少し出かけては見たが、母の日商戦でにぎわう街にどこかついていけない自分がいた。それでも、アパートのベランダで育てている植物の面倒を見るためのいくつかの小道具を買って帰った。

植木鉢を耕すのにちょうどいい小さなスコップ、それから一昨年植えたブドウが今年は元気よくツルを伸ばしているので、それを這わせるネットを買った。あとは、うまくできれば夏にビールで乾杯しようと、枝豆の種を買った。これらは家に帰って早速活躍した。

いま住んでいるところから歩いて5分ほどのところに、最近になってインド人によるインド料理のお店が開店しているのを、連休前に発見していた。先週日曜日の夜に続いて、今日のお昼も妻と一緒にそこで飯を食った。本格的なインドカレーとナン、それにチャイがセットになったランチが650円で楽しめる。最近、近所でインド人の家族を見かけるようになったのは、これと関係があるのだろうか。店はとても混んでいたが、なんとか注文をさばいている。

チキンのカレーとマメのカレーをそれぞれ注文し、テーブルの真ん中に2つ並べてシェアして食べた。食事はシェアして食べる、これは大切な習慣だ。どんな料理でも大きなお皿に盛り付け、みんなでつっつきながら食べる、家族が何人いても、あるいはお客様が何人来ても、こうした習慣を大切にしたいと思う。

夕食は土曜も日曜も妻と家で酒を飲んだ。スーパーで買ったお刺身と泡盛だったり、パスタとフレシネだったりした。泡盛のボトルを買ったのは久しぶりだった。こういうのは旨くていいのだが、つい飲みすぎてしまう。このところの日々がああいう状況だっただけに、ついつい酒がすすんでしまう。

酒にあう理屈抜きに楽しめる音楽は何かなと考え、これも久しぶりに取り出したのが今回の作品である。デクスターの演奏に耳を傾けることは、ここ2,3年はなかったかもしれない。彼の演奏は長いキャリアを反映して非常に数多く残されている。僕も有名なものはひと通り耳にしたが、一番のお気に入りはブルーノートの諸作を抑えて、このモンマルトルのライブ盤である。

この演奏が行われ収録されたのがいまからちょうど40年前、そしてそれがCD化されて僕が初めて耳にしたのが約20年前である。CD2枚にぎっしりと収められた12曲は、コペンハーゲンの短い夏の盛りの一夜に繰り広げられた、熱い演奏から選りすぐられた名演ばかりである。

僕がこの演奏を好きな理由は、ライブ盤というものは数多くあれど、この作品ほど自然にジャズクラブの様子を音楽で伝えてくれるものはないと感じているから。別の言い方をすれば、ストレートなジャズの醍醐味を理屈抜きに味わえる、そんな魅力がこの作品にはある。

サックスによるジャズの醍醐味といえば、コルトレーンやロリンズというのはもちろん代表なのだろうが、彼らの作品にはアルコール片手に気楽に楽しむというのとはちょっぴり違う世界が出来上がっているのも事実だろう。聴き手はそれぞれの世界に入り、それぞれのいい意味での「孤独」な世界を楽しむのだ。

デックスのこの作品はそういう意味とは少し性格が異なる。僕はこの作品をアルコールなしには楽しむ気になれない。ビールでもなんでもいい、一杯の酒と冒頭の"Sonnymoon for Two"のご機嫌な演奏で、酒好きのジャズ好きならあっという間にデキあがってしまう。あとはわが家が居心地よいジャズクラブに早変りするのを素直に楽しめばよい。時折メンバーから繰り出されるご機嫌なフレーズに、ふと自分の脇に目を向ければ、にっこり微笑む隣の客の顔が目に浮かぶ、本当にそんな気分にさせてくれるのだ。

自分と向き合うことをなんとなく避けたい気持ち。独りになるのはなんとなく避けたい気持ち。そんななかで、僕は久しぶりにこの作品を訪れた様に思う。放っておけば自分の中に湧き上がってくる気持ちを、この連休は少しだけ遠ざけておきたかったのかもしれない。

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