3/04/2007

ローヴァ サキソフォン クァルテット「ジョン コルトレーンズ アセンション」

 久しぶりに土日をのんびりと過ごせたように思う。春を通り越したような陽気になった今日の日曜日は、妻と多摩川沿いに二子玉川まで自宅から歩いてみた。これまでも何度か歩いたことがあるのだが、あの界隈に行くには川沿いを歩くのが一番近い。お昼に家を出て、目的地に到着したのは午後2時少し前だった。途中、河原のいろいろなところでいろいろなスポーツに興じる人たちを見かけた。

長袖のTシャツ1枚でも十分に暑かった。それでも途中でどうしても水が欲しくなるという程でもなく、着いたら河原でハンバーガーでも食べようと決めて、いろいろな話をしながら淡々と歩いたように思う。僕は妻に最近気になっている高柳昌行の音楽作品について話して聞かせ、最近の人間が持っているこだわりとはどういうものだろうかについて意見を求めたりした。

マクドナルドの食べ物を口にするのは久しぶりだった。僕はそれほど強い嫌悪感を抱いているわけではなく、たまに妙に食べなくなるのも事実である。だんだんその間隔が空いていっているように思うのもまた事実だ。僕はかなり腹ぺこだったので、最近話題になっている「メガマック」というやつに挑戦することにした。ビッグマックのダブルヴァージョンという商品で、3枚のパンズに4枚のハンバーグを挟んだ食べ物である。

腹は減っていたので完食はしたものの、やはり僕はその食べ物に対して歳をとり過ぎていた。一度食べられたのでもう満足という感じである。おかげでそれまで歩いて消費したエネルギーがすっかり還ってきた。帰りはそこからさらに溝の口まで歩いて、少し買い物などをして電車で家に戻った。足が心地よい筋肉痛になった。

話は前後するが、昨日の土曜日は独りで渋谷に行った。渋谷のディスクユニオンが中古CDの買取り強化をやっているというので、僕はここ1、2年に買ったCDを中心に失敗した買い物を少し見繕ってみた。結局、押入にしまってある段ボール箱にまで手が延び、いろいろと考えた末に14枚を今回は処分することに決めた。

見積もってもらったらキャンペーンの上乗せ分も込みで8千円と少しになるというので、僕はそれらを処分することに同意してお金を受け取った。代わりに欲しい音楽がいろいろあったのだが、年があけてからかなり積極的に購入をしているので、今回はぐっと我慢することにした。それでもいずれ買うことになるだろうというものが3セットはあった。

少しお小遣いが入ったので最近お気に入りのラーメン屋さん「壱源」で、少し贅沢をしようとみそチャーシュー麺を食べてみた。しかしこれも僕のような歳の人間にはいささか過剰な肉だった。やはり普通のみそラーメンが如何にバランスを考慮しているかを改めて実感しながら店を後にした。というわけで少々肉をとり過ぎた週末であった。

家で処分するCDを見繕いながら、僕はこのろぐのことを考えた。今回は何を取り上げようかと考えるうちに、このところ僕の耳がキース=ジャレットとコルトレーンを中心にした音楽が回っていることに気がついた。キースについては、もはやスタンダード中心のピアノトリオよりも彼自身によるオリジナル作品、特にピアノソロとピアノ以外の楽器による作品群そして作曲作品といったところに興味が集中している。最近また非常に素晴らしい作品に巡り合えたので、近いうちにそれを取り上げてみたいと思っている。

コルトレーンについては、やはりマイケルとアリスの一件以来そのことが僕の耳を彼の音楽に向かわせているように思う。それについても、僕の関心事はほとんど全て彼の後期作品に向けられている。歳とともにそうした作品は聴くのが辛くなると誰かが雑誌か何かに書いていたのを時折思い出すのだが、今のところ僕にはそういう徴候はない。それどころかむしろそういう音楽を求める気持ちが強くなっていく様にさえ感じられる。

今回もそうした関係のなかから作品を取り上げることにした。実はこの作品は以前にも一度紹介したものである。ローヴァ サキソフォン クァルテットがコルトレーンのアセンション録音から30年経過した1995年に、それを記念して開催したイベントで自分達の4人に、2人のトランペットと2人のベーシスト、ピアノ、ドラムを加えてオリジナル作品と同じ編成でその再現に臨んだ記録だ。

前にも書いたと思うが、この演奏はかなり強力で原作を凌ぐ圧倒さを持っている。原作から経過した時間のなかで、その精神は着実に進化しいまの時代に脈々と受け継がれている証を呈している。最近、コルトレーンの原作を聴いてみてどうしてもまたこの演奏が聴いてみたくなり、iPodに入れたところヘヴィーローテーションと化してしまった。仕事に疲れた時でも、帰りの電車でこういうものが聴きたくなるのは、やはり僕はここから何かをもらっているのだろう。何かが吸い取られているのではなく、何かを浪費しているわけでもない。肉を食べ過ぎた身体にはいい刺激になっているのかもしれない。

疲れたら静かな音楽を聴いてリラックス、僕にとっての音楽はそういうものでないことだけは確かなことだ。それはまだしばらくは続くことだろう。僕は歩き続ける。

Rova ローヴァ公式サイト

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