1/14/2006

散歩〜ホアヒン・タイ

久しぶりに海外旅行に出かけた。おかげで、ろぐの更新が遅れてしまった。毎週読んでいただいている方々には、ご心配おかけしたかもしれないが、別に風邪で寝込んだわけでも、ろぐを書くのが嫌になったわけでもない。

行き先はタイ王国の「ホアヒン」というところ。バンコクからマレー半島方面を南に250km程下ったところにある町で、古くからタイ王室の保養地として名の知られたところなのだそうだ。現在では、バンコクに近い高級リゾートとして、ホテルなどが造られており、プーケットやサムイ島に続く新しいエリアとして注目されているらしい。

ホアヒンに行くには、バンコクまで飛行機で行って、鉄道かバスなど陸路を3時間程を費やすというのが普通なのだそうだが、今回は贅沢にエアシャトル(といっても12人乗りの中型セスナ)を利用して、空路向かうことにした。セスナはプロペラ式で尾翼にハチのマークがついてある。ハチのようにフワフワと飛行しそうで正直心配だったのだけど、えーいままよと飛び立ってみると全然そんなことはなく、とても快適な空のオプショナルツアーだった。

行きも帰りも夜だったので、バンコクの夜景をジェット機よりもかなり低空から存分に味わうことができた。空から観たバンコクはとても大きな都市。僕の印象では、伊丹空港に着陸する前に見える大阪の夜景と似た感じである。主要な幹線道路は自動車でぎっしりだった。バンコク空港内も免税店をはじめとする施設が充実していて、世界各国からの観光客で賑わっていた。その様子は、はっきり言って日本の比ではなく、観光産業としてはかなり本格的な印象をもった。

僕らが泊ったのは、ホアヒンの中心部から車でさらに45分ほど南にあるプランブリというエリアに、2004年にオープンした「エヴァソンリゾート」というところ。その中に昨年新たに「エヴァソン・ハイダウェイ」という、50棟程のプール付きのヴィラで構成されたブティックリゾートが出来ていて、今回はその名の通りの素晴らしい「隠れ家」に、まるまる4日間お世話になった。

まあ自分で言うのもなんだが、ここはちょっとした高級リゾートで値段もそれなりである。広大なタイ式の庭園内にいくつかのタイプのヴィラが用意されているつくりになっていて、建物はすべて平屋か二階建て。僕らが泊ったのはその中の「デュプレックス・プールヴィラ・スウィート」というプール付き2階建てのヴィラだった。

ハイダウェイの名に相応しく、すべてのヴィラには大きな木製の門(カギがかかり外からなかは一切見えない)があり、そのドアを通って数歩歩いた向こう側にヴィラの玄関があるという仕組みになっている。完全なプライベートエリアである。

1階にあるリヴィングは20〜30帖程あって、天井は半分が吹き抜けになっている。ダブルベッドを2つくっつけた様な大型のソファがセットされていて、これまた大きなクッションを8個並べても余裕の広さ。これがもうやみ付きになる程の居心地の良さだった。庭のテラスにある6m×3mのプールには日中ずっと水があふれ、プールサイドには2つのクッション付きデッキチェアとパラソル。2階は蚊帳付きキングサイズのダブルベッドと風呂付きのバルコニーというレイアウト。シャワーとトイレは両方の階にある。

部屋に備え付けのタオルや石けん、シャンプー、そして家具にいたるまで、レモングラスの香りがうすくつけられていて、これがなんとも言えない満ち足りて、落ち着いた気分にしてくれる。トイレも半分はガラスで庭と空間を共有するように作られていて、解放的である。

そんなところに来たのだから、何かスゴイことでもするのかと思いきや、今回の目的はただひたすらノンビリするだけ。そのためにお金を払うというのも、考えてみればずいぶん贅沢な話だ。朝起きてビーチを散歩し、リゾート内のロビーで朝飯を食い、ヴィラのプールで水浴びをして、本を読んだりiPodで音楽を聴く。腹が減ったらルームサーヴィスをとるなり、気が向いたらリゾート内のレストランでディナー。部屋のミニバーでシンハービールを飲みまくる、そんな4日間だった。行きの機内で免税のウィスキーを買えばよかったと後悔した。

このリゾート自慢の「シックス・センス・スパ」で、僕ははじめてスパというものを体験した。日光を浴びながらお花を浮かべたアロマ風呂にゆっくりと浸かったり、全身オイルマッサージをじっくりとやってもらった。行く前はちょっと照れくさかったのだが、行ってみると男性客も多く、体験した後は「これはええわ」と納得してしまった。

今回、iPodにお気に入りを一杯詰めて行ったのだが、やっぱりヘッドフォンでずっと聴いているのはあまりいいものではない。いろいろな音楽を聴いたが、どちらかと言えばクラシック音楽をよく聴いた。波とか風とか水の音に加えて、夜にはゲッコー(やもり)をはじめとする動物の鳴き声がしたりと、自然の音を楽しむのも気持ちよかった。

日頃ほとんど本を読まない僕だけど、ゆったりとした時間のなかで何か肩の凝らないものなら、という気持ちになって、珍しく3冊も本を読んでしまった。妻が買った村上春樹の短編集「東京奇譚集」、リゾート内に2カ所あるライブラリで、宿泊客が寄贈した本のなかから、椎名誠の連載エッセイ集「南国かつおまぐろ旅」、そして田宮俊作の自伝「田宮模型の仕事」という内容。どれもそれなりに楽しめた。

それぞれの感想を一言で書いておくなら、村上春樹のは文体や視点、ストーリの展開は相変わらずで面白くないわけではないと思うのだが、昔の作品に比べて時間だけが進んだという印象。椎名誠のはどれを読んでもお酒を飲む元気(?)を与えてくれる逞しさを感じる。そして田宮俊作の半生記はその世界を知る人にしか理解できないところはあると思うが、僕にとっては「仕事というものはこうでなきゃ」という、尊敬の念と羨む気持ちが交錯する内容で、3つのなかではこれが一番面白かった。

僕はリゾートに来たからと言って、その世界にじっとしているだけというのは、正直あまり好きではない。どちらかと言えば、その土地の風土というものをしっかりと見ておきたいと思うタチである。今回もちょっとだけリゾートを抜け出して、海岸沿いを20分程歩いて少し離れたところにある村に足を踏み入れてみたりした。

村の人は英語はわからないし。看板なども全部タイ語でさっぱり読めなかった。懐かしい漁村独特の臭いがして来たと思ったら、ホタルイカよりひとまわり大きいイカを、たくさん天日干しにしているところがあったりして、なかなかの臭いである。あのイカは何になるのかなと思ったのだけど、誰にも聴けなかった。ちょうど近所にあった村の小学校が終業した時刻で、人々の足として定着しているバイク(50〜90cc)に、親子3〜4人で乗り込んで送り迎えする光景が、なんとなく懐かしかった。

できることなら、そのあたりで売っているものを買って食べてみたりもしてみたかったのだが、今回はあまり旅慣れていないこともあって、それについては諦めることにした。観光客向けではない地元向けの屋台とか居酒屋はとてつもなく魅力的なのだが、たぶんリゾート内とは1〜2桁金銭感覚を変えないといけなさそうな様子だった。

ヴィラではバトラーと呼ばれる世話係が、各部屋ごとについている。僕らにもなかなかしっかりとした女性が世話係についてくれた。他に部屋の掃除担当の若い男性が1日2回やってきて、床やテラスを拭いたり(ある意味雑だがまあご愛嬌である)タオルやシーツを替えてくれたり、冷蔵庫のなかのビールやコーヒーの補充をしてくれる。みんなよく教育されているが、基本的にはタイの人らしく素朴な感じで、好感が持てた。

というわけで、散歩というにはあまりにも贅沢な内容であったが、久々の海外旅行ははじめてのことがいろいろありながらも、とてもリラックスすることができ、本当に癒された時間だった。これから月末にかけて仕事が忙しくなることさえなければ、パーフェクトな休暇になったのだが、まあ仕方がない。家に帰っても、レモングラスのアロマを焚いて、あのヴィラの名残を楽しんでいる。いつかまた行く機会があればいいと思う。


(おまけ)旅行中のスナップから何点か...

バンコクからはこのセスナでホアヒンへ飛びます。


ここが全体のエントランスになります。


リヴィングルームにある大きなソファーベッド。最高です。


プールサイドのベッドで読書。


2日に1回、こうしてお庭に水を撒きにきてくれます。手前はダイニングテーブル。


プールサイドのテラスにいるマスコットたち。モグラは靴の汚れを落とすブラシ、カエルは蚊取り線香入れになってます。


ベッドルームです。蚊帳は結局一度も使いませんでした。


エヴァソンは環境への配慮を重視しているようです。シーツを交換する必要がないときは、このヤシの文鎮をベッドの上に乗せておきます。


ディナーはもちろんタイ料理。


玄関灯にいたラッキーシンボルのゲッコー。夜になると独特の鳴き方をします。ヴィラの中には入ってきません。


ビーチを散歩した際に見た日の出。とてもきれいでした。


近くの村にあった飲食店の看板です。さっぱりわかりませんが、中に入ってみたかったです。


リゾート内にある図書室の中。大きなガラス窓の外は素敵なお庭に囲まれています。


図書館ではインターネットにもアクセスできます。


ロビー近くの池に咲いている蓮の花。


ビーチを臨むイタリアンレストランで最後に食べたタイ風のピザ。美味でした。


ぜひ、また行きたいものです。次はいつになることやら。。。


Six Senses Resorts & Spas

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