3/16/2005

ピーター=コウォルド「ワス ダ イスト」

  暖かくなってきた。そろそろ冬の服にも飽きてきた頃。薄手のブルゾンやジャケットを着るのが新鮮である。しかし、この僕もご多分にもれず、数年前から花粉症を発してしまっている。目が痒くなったり、透明な鼻水が止まらなくなったり、それなりに悩まされている。でもどうしてもマスクをして外を出歩く気にはなれないでいる。カッコ悪いよ、あれ。

 花粉症の所為ではないと思うのだけど、先週末あたりから、音楽の方が一時的にちょっと倦怠ムードになってしまった。それでも外出時やお酒のお供に音楽は欠かしていないのだけど、なにかこれというものがなかった。なので週末にえぬろぐで取りあげるものに少々考えてしまったわけである。本当は少し前から、そろそろこの人をえぬろぐでとりあげてみようかな、という人物と作品があるのだが、今回もいまひとつ乗り気になれなかった。そのわけは、またそれを取りあげたときに書こうと思う。

 さて、先の月曜日に休暇をとって、日曜日から一泊旅行で神奈川県最西の温泉郷である湯河原に行ってきた。家からは各駅停車で1時間半の距離にある。湯河原の温泉街は箱根方面に向かう山道沿いに展開しており、上に行くと奥湯河原といって高級な温泉宿がいろいろある。僕がいつもお世話になっているのは、かなり麓のほうにある小さな旅館である。ここは1万円と少し出せば、おいしい晩ご飯と朝ご飯、そして24時間入り放題の熱ーい温泉を楽しむことが出来る。決して豪勢さや高級感はないが、とても清楚で庶民的なお宿というところが気に入っていて、もうかれこれ4回目の宿泊になる。旅館の名前は、またいずれ。

 この小旅行のお供になにか音楽をと考えた。せっかくだから、最近あまり聴いていなかった音楽で、じっくり聴いてみたいものはなにかなと考えてみると、前回のろぐにも書いたような次第で、最近ベース演奏がしたくて家に帰って時間があると、いろいろいじくっていたせいで、ベースのソロ作品がいくつか思い浮かんだ。結局、今回ご紹介するピーター=コウォルドのソロ作品を前回紹介したデュオ作品とともにSU10に収めて出かけたのだった。おいおい温泉で聴く音楽がそれかよ、などと笑ってはいけませんよ。

 タイトルはドイツ語で「そこにあるもの」という意味。英語では"what there is"となる。全部で23の小品からなるベースソロの短編集である。このCDを横浜の中古屋で見つけて買ったときは、正直珍しもの好きの一心だった。初めて聴いた印象はあまりよくなかった。自分で言うのもなんだが、取っ付きにくい。どう聴いていいのか、とっかかりというか入り込んでいくところがみつからなかった。

 ところが、自分でもベースのソロ表現をいろいろ試してみて、そのなかで思い至ったいくつかのアイデアやスタイルを持ってこの作品を聴いてみると、自分のアイデアがびっくりするぐらいこの作品に出ているように聴こえて(もちろんレベルは雲泥の差だが)、あっという間に全編を聴き通してしまった。僕の場合は、たまたまそういうきっかけだったのだが、弾き手自身の考えや着想を音だけで伝えるのは、とても難しいことなのだけれど、必ず出来ることだし、それが通じたときは素晴らしい体験になるのだなと実感することが出来た。

 このろぐを書いていて気づいたのだが、おかしなことに、前回彼のデュオ作品を取りあげたのがちょうど1年前なのである。あれ以降も、僕はコウォルドを聴くことはなかったけど、それが1年後にまたこうして彼を聴いているというのが、僕の音楽嗜好に何かサイクルみたいなものがあるのかなと、気になってしまった。確かに、1年サイクルかどうかは別にして、いろいろなものを聴いていると、あれが聴きたくなるというのが訪れる周期のようなものの存在が気にはなっていた。そのためにこのろぐをつけているわけではないのだけど、自分が以前のある時期に何を聴いていたのか、それが確認できるというのは面白いものだ。

 あー、でっかい音でベース弾きてぇ〜。

神奈川県湯河原町ホームページ

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