ずいぶんと涼しくなった。今日は特に。日中を気温は17度くらいまでしかあがらず、午後からは時折雨が降った。子どもが風邪をひいてしまったので、横浜の近場でおとなし目に過ごした週末だった。
気候が過ごしやすくなってくると、不思議といろいろな感性や感覚に敏感さというか探求心のようなものが芽生えてくる。「〇〇の秋」というのはそういうことだろう。
音楽は何を聴いているのかと言えば、いまはコルトレーンにやってきている。僕の音楽人生の中でコルトレーンは、通過点ではなく帰省先のようなものだ。いまのところはたぶん一生この関係が続くことになるのだと思っている。
今回帰省することになったきっかけは、ブランフォードの「至上の愛」を久しぶりに聴いたことに始まる。やっぱりスゴいよなあコレ、と圧倒されて、これまた久しぶりにオリジナルの「至上の愛」が聴きたくなった。
オリジナル演奏は何であれそれ以降の何と比較しても、世界初という絶対的アドバンテージを持っているわけから、それを安易に冒涜してはいけないのだと思いつつ、ブランフォードグループの演奏の直後に、ある意味比較的に聴いてしまうと、そこにやはり時の為す進化を感じざるを得ない。
しかし、その時僕はもう1つのコルトレーンによる演奏のことを思い出した。1965年のアンティーブジャズフェスティバルで、この全曲を演奏した録音については、コルトレーンのマニアの間では有名なものである。
僕がコルトレーンの虜になった学生の頃は、まだ極めて音質の悪いアナログ盤(もちろんブートレッグである)しかなく、僕もそれは持っていた。しかし、これはちょっと音が酷すぎて、僕がまともにそれを聴くことはなかった。
ところがその2、3年後に、この放送録音のオリジナルテープからマスタリングしたと思われるCDが突如として出版され、その音質の良さゆえに初めてこの演奏とまともに向き合うことになった。
これにはそれなりの衝撃を受けたのだが、その頃僕の音楽的な興味は卒業から就職という新しい生活への変化で、かなり大胆なトリップを始めた頃でもあり、その衝撃に長く浸っている余裕?がなかったのである。
いまにして思えば、その20年近く後に発表されたブランフォードの演奏に初めて接したとき、僕の頭に彷彿と現れたのはこのアンティーブでのコルトレーンの演奏だった。
スタジオ盤よりもやや控えめにスタートするも、次第にヒートアップする前半はどこかブランフォードの演奏にも通じるが、後半はピアノソロなしでコルトレーンのテナーが爆裂して突き進む第3部"Pursuance"、以降のコルトレーンが進んで行く方向性を明確に感じ取ることができる第4部"Psalm"まで、全員のソロがたっぷりとフィーチャーされた、それはそれは凄まじいエナジーの塊が48分間にわたって続く大劇場!スゴい!
久しぶりに(実はiPodで音楽を聴くようになってからは初めて)これをじっくり何度も聴き、あらためて不滅の名曲にして不朽の名演だなあと思いを新たにした次第。
コルトレーンであれブランフォードであれ、「至上の愛」にハマった人で、この演奏をまだご存知でない方がいらっしゃれば、是非とも耳にされることをお薦めする。幸い現在ではダウンロードでこの日の演奏が簡単に手に入れられるようになった。
ちなみにこの演奏の翌日、翌々日の演奏も素晴らしい内容ですよ。学生の頃読んだ、このフェスティバルでの演奏を評して「エルヴィン(=ジョーンズ)がコルトレーンの演奏をかき乱すように・・・」みたいなことを書いてた評論家がいたけど、くだらん主観を入れるんじゃないよ!アホ!
またここからどこか別の音楽に旅に出るのだろうが、歳の所為か居心地の良さ故か、もしかしたら今回はちょっと長居するかもしれないと感じている。まあそれもいいじゃないか。
(おまけ)海上自衛隊の観艦式にあわせて、大さん橋で一般公開されていた護衛艦「ひゅうが」を家族で見学に行きました。
この後、実際に艦内に乗せていただき、昇降機で広い甲板(この船はヘリ空母なのです)に上げてもらいました。妻と子どもにとっては初めての自衛艦で、2人とも少し緊張しながらも独特の雰囲気を楽しんでいました。
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