せっかくの3連休だったのだが、実家の荷物整理を行うことになり、最初の2日間は和歌山で過ごした。かび臭い家のなかでの作業は心地よいものではない。しかし、父や母の遺した品物はやはりついつい見入ってしまう。
今回は引越業者や片付け屋等を呼んで部屋の内部を見てもらい、必要な品物の配送や、(大半がそうなのだが)不要な家財の廃棄にかかる費用を見積もってもらった。どの業者の見立てでも容量については大差はなく、いわゆる4トントラック2台分の荷物を処分するには、まあそれなりの金額が必要になってくる。これは仕方ないことだ。
それにしても、業者によっていろいろな個性があって面白いものである。ひとつ感じたのは、やはり売り込みモードの強すぎる業者は、僕らにとっては印象が悪い。彼等が実際にいくらでどういうサービスをしてくれるか以前に、お付き合いしようという気持ちが起こらない。困ったものである。いくら勉強しまっせと言われても、そういう問題ではないことがわからないらしい。
業者は来週までには目処をつけて連絡し、来月あたりに作業を行うことになる。
さて、9月に買ったCDの2点目はマイルスの"Bitches Brew"である。以前からこのろぐを読んでいただいている皆様には、「何だおまえはあれほど誉めておきながら持っていなかったのか」と言われそうだが、これにはちょっとした事情がある。
僕は以前には1997年頃発売された4枚組のボックスセットを持っていた。ところがこれがケースの不良で、肝心の本編が収録されている1枚目の盤面に深刻なダメージがある代物だった。MP3等のリッピングは何とかできたが、通常の再生はほとんどできなかったのだ。
それは僕が当時初めてアマゾンドットコムで買った商品で、クレームをつけようにも、アメリカに品物を返送するのが面倒だし、困ったなあとブツブツしているうちに、時期が経ってしまい、結局そのまま持ち続けていたのである。
また収録されている、同時期の演奏はそれなりに魅力的ではあったが、やはり自分としてはそれらが本編の6曲と一緒になっていることに違和感を禁じ得なかった。その意味であのセットは、これまでにも何度か書いた「別テイクなどの未発表演奏の類いには気を付けないといけない」という、僕の思いの大きな要因になっているのだ。
ここで少し話が逸れるが、同セットより少し後になって発売された"In a Silent Way"の3枚組セットは、僕にとっては数少ない例外である。また別の機会に詳しく書きたいと思っているが、このセットにはあの作品の本編について、テオ=マセロによってあの様な作品に編集される前の、実際に演奏された本来の姿を聴くことができるという点が重要なのだ。
当初発表された「編集版」は、構成としてはそれなりに見事なものであるとは思うが、いかんせん編集(テープの継ぎ接ぎ)に乱雑なところがあり、後でオリジナル演奏を聴いてわかったのだが、かなり不自然なことをしているとも思う。プロデューサーの力量ということなのだと思うが、僕にはちょっと受け入れ難い。
さて、話を"Bitches"に戻すと、この度同作の発売40周年を記念した版が2種類発売された。以前に持っていた問題のセットは引越時の大量処分で手放していたので、この作品についてはやはり手元にCDを持っておきたいという想いが強かった僕は、そのうちの"Legacy Edition"というのを買った。
これはオリジナルの本編6曲に加えて、それらの別テイクとシングルバージョンなるもの6曲が余白に収められている(言うまでもないがあくまでもオマケである)。そしてもう1点オマケとして、本作の収録に先立つ数ヶ月前にデンマークのコペンハーゲンで行われた演奏を収録したDVDがついている(こちらはかなり貴重なもので内容も非常に良い)。
本編の6曲についてはいまさら何も言うことはない。やっぱりこれは僕にとってはマイルスのベスト盤である。
音学は素晴らしい。
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