4/18/2010

地潮のドラマー

手に入れたのはもう2ヶ月程前になるだろうか。ジャクソン=ハリスンというピアニストのデビューアルバム"Land Tides"はなかなか素晴らしい作品だ。

レーベルはあのHat Hut RecordsのHatologyである。というとまたフリー系ですかと呆れられそうだが、この作品はそういう趣向のものではない。むしろモダンジャズピアノの王道に位置づけられる作品だろうと思う。

ハリスンは1981年オーストラリア生まれというからまだ30歳の手前であるが、それでいてこれだけ洗練された音空間を作り上げてしまうところはタダ者ではない。僕は冒頭に響く鍵盤の一打で、あっという間にこのアルバムの虜になってしまった。

さらに素晴らしいのは2人の共演者、ベースのトーマス=モーガンとドラムのダン=ウェイスである。彼らはいわゆる「リズムセクション」ではなく、エヴァンスやジャレットのトリオ同様に互いにまったく対等な関係で語り合う。その語り口がもつ独特の現代的な時間感覚が、作品に一貫して流れる魅力だ。あのテザードムーンに通じるところも感じられる。

そのタイム感の中心にいるがドラムのダン=ウェイスである。彼はまったくもって素晴らしい。先の例から引き合いに出すわけではないが、まるでポール=モチアンとジャック=ディジョネットをブレンドしてさらに洗練させたようなドラマー。時代の最先端を行く演奏家だ。

少しだけ彼の作品を追いかけて聴いてみたのだが、その恐るべきパルスの源はインドにあるらしいと言うことがわかった。彼はタブラ奏者でもあり、タブラソロのアルバムやインド音楽のリズムに基づいたドラムソロの作品なども発表している。それらについてはまた別の機会があれば書こうと思う。

この作品がジャズピアノトリオの歴史に新たな1ページを残すものであることは間違いない。52分間続くさり気ない緊張感の連続は、ダンをはじめとする若い世代の恐るべき才能を感じさせるに十分である。これは聴くべし!

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