1/18/2009

ジョシュア

最近わけあって横浜の山手という駅によく足を運んでいる。

僕は独身の頃に山手駅の2つ先にある磯子という街に住んでいた。なのでこの辺りの街の事情にはある程度通じているつもりだ。実際に行ってみると、根岸線と呼ばれるこの沿線の様子については、このところ大変貌を遂げている川崎や武蔵小杉とは違って、あまり大きな変化はないようだ(みなとみらい地区は例外だが)。

特に山手駅の周辺は、以前からある落ち着いた雰囲気がだんだん熟成されていっているようにさえ感じられる。駅前に大きなマンションが建つ様な場所もなく、ほとんど何も変わっていない。駅から港の方に向かってのびる商店街は、以前はもう少しいろいろお店があったように思うのだが、少しお店の数が減ったようだ。

今日は僕独りで山手に向かい、そこで用をすませるとそのまま横浜駅まで歩いてみた。まっすぐ歩けば1時間程の道のりだと思うが、途中で以前によく通ったCD屋さんなんかで寄り道を楽しんだ。もっとも現状でもネットで数枚発注している状況なので、とりあえずは懐かしさを楽しむのも半分、何か掘り出し物がないか眺める程度である。

関内駅の近くにあるラーメン屋「唐桃軒」で数年ぶりにラーメンを食べてみた。店の雰囲気などは何も変わっていなかったが、それよりも驚いたのはメニューと値段もそのままだったこと。もちろんシンプルなスープと細麺、おいしい自家製チャーシューもそのままだった。

本当はここのラーメンを食べたら関内駅から帰ろうと思っていたのだが、そういえば最近川崎の丸井で見かけたブーツが気になっていて、それが横浜の丸井にもあるのかなとか考えているうちに、だったらいっそのことこのまま横浜駅まで歩いてやれと思った次第だ。

こういう思いつきは時にいい結果をもたらす。今回はお目当ての品物を発見して試着してみるとぴったりだったので、バーゲンということもあって衝動買いしてしまった。やっぱりブーツは長いものに限る。色は茶色だ。まだもう少し寒い日が続くと思うから、休みの日にせいぜいしっかり履いて楽しもうと思う。

買い物をしたら満足して気が抜けたのか、急に体が疲れてくるのを感じた。散歩には結構な距離を歩いたと思う。

家に帰って一息ついて、今度は7年間使ったデスクトップ型のマックを売りに出すことに決め、荷造りの準備をした。奇跡的に箱を含め付属品もすべて残っていた。本体は驚くほどきれいな状態だった。増設したハードディスクはこれからも必要なのでそれを取り出し、ついでに内部も隅々まできれいにしてやった。

箱の中に残っていた大きな袋に本体を入れ、キーボードなどの付属品も決められた位置にきちんと納めた。何となく気分は「おくりびと」であった。売りに出してもそんな高い金額になるわけではないが、捨ててしまうよりはよっぽどいい。また誰かの役に立ってくれるのならそうすべきだろうと思う。

さて、今回はジョシュア=レッドマンの最新作「コンパス」をご紹介。ジョシュアは初期の作品を何枚か持っているが、もう長いこと聴いたことがない。もしかしたら売ってしまったのかもしれない。僕にとってはそういう存在だった。

今回の作品に興味を持ったのは、たまたま見かけたCD評でずいぶん持上げられていたことと、編成がピアノレスだということ。しかもドラムとベースが2人ずつ参加していて、曲によって人数が3人、4人、5人と変化するのだという。そんなことにも惹かれてアマゾンで衝動買いしてしまった。

何回か通して聴いてみたが、これはかなりいいアルバムである。しばらく聴かないうちにずいぶんと個性的な演奏家になったんだなあと、彼に対する僕の印象は変わった。一聴してすぐにノックアウトされるような感じではなく、ボディーブローのように徐々に身体に効いてきて、気がつくと動かなくされてしまう。

バンド編成もこれ見よがしに2ベースとか2ドラムを展開するのではなく、よく聴いてみるとそれとわかるような表現になっている。事前にどの様な打ち合わせをしているのかわからないほど、自然な偶然を感じさせる。そのあたりに聴き応えがあるのかもしれない。

考えてみれば久しぶりに聴いた21世紀のジャズ作品だった。もうしばらくじっくり聴いてみたいと思う。

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