ジャック=ケルアックの小説「オン ザ ロード」を読み終えた。いまは本当に感動と充実の気持ちで一杯だ。まったく素晴らしい作品。
先の「キャッチャー イン ザ ライ」も良かったが、時間と空間の圧倒的なスケール感、そして登場人物たちの感情の豊かさや破天荒振りなど、僕という人間の欲望の根底に激しいビートとして響いてきた。憧れであり疑似体験であり慰めでもあった。
今回読んだのは図書館で借りた河出書房の新訳版。以前に従来訳の文庫版を読んでいたので2回目ということもあるのかもしれないが、新訳はとても読みやすかった。1ページ目から作品の世界に引き込まれる感覚があった。退屈さを感じる部分はまったくなかったといっていい。さすがに老舗出版社が意を決しただけのことはある。素晴らしいことだ。
400ページ以上もあるハードカバーを、毎日通勤バッグに携え、行き帰りの電車の中で読んで、時には家で夜にお酒を飲みながら少し読み進めた。貸し出し期限ぎりぎりの2週間きっかりで無事読み終えることができた。小説はいいものだ。僕はやっぱり翻訳文学が好きなんだろう。
主人公のサル、そしてディーンをはじめとする親友達、ロードの行きずりに出会う人々。こんな時代はもう来ないなどと思ってはいけないなと感じた。それこそ人々が忘れてはいけない希望であり憧憬なのだと思う。
論に囲まれ険しくなる人の生き様を突き進む原動力、それを大切にしなければならない。単純にハチャメチャがいいとかいうことではない。登場人物たちはエネルギッシュな行動と衝動の一方、驚くほど繊細で深い洞察力にも溢れている。
いま僕の身の回りに起こっているいろいろなこと、それらを受け止めるための心構えのひとつとして、こんな考え方や生き方そして時代もあるんだよということが、とても心強いものに感じられた。
いい時にいい本を楽しむことができた。
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