年明け早々、渋谷のディスクユニオンに赴いた。宇田川町交番のすぐ近くにある狭いジャズ館の階段をおりてすぐのところに置いてあったこの作品に目が留まった。お店の人の書いたほんの短いコメントに惹かれて購入してしまった。ジャズ・クインテットとストリングオーケストラの共演と聞いて、へぇ~と素直に興味を持てる自分が嬉しい。内容はとてもスリリングで洗練されたもの。綿密に作り込まれたストリグスがカッコ良い。
CDショップのバイヤーさんは本当によく音楽を聴いていると思う。また(仕事だからあたりまえなのだが)お客にその音楽に興味を持たせるのが上手いと思う。お店に行って「今月のおすすめ」みたいなコーナーで、添えられている一言にそのお店の腕前が伺える。近頃は視聴機が普及しているけど、数行の言葉だけで中身も聴かずに買ってしまうマニアは、お店にとってはありがたい存在かも知れない。大手のオンラインショップでは、客に音楽や書籍の評価を書かせるのも流行しているが、やっぱり専門店でプロのバイヤーさんが添える一言には勝てない。なにせこっちは実物の品物が目の前にあるのだから。
Labelbleuは最近注目しているフランスのレーベルだ。最近気づいたらヨーロッパのCDばかり買っている。ジャズが終わったとかなんとか、別に最近に始まった言葉ではない。でもジャズの舞台はどうやらヨーロッパに移ってしまったようだ。これには少なからずの人がうなづいていただけるのではないか。70年代からか80年代からかそれとも21世紀からか、人によって意見は違うだろう。だが、最近発売されるかつてのスタープレイヤー達の作品の多くが、なんともどこかに迷い込んでしまったように聴こえてしまうのは私だけではないだろう。特にアメリカからはすばらしいジャズミュージシャンの便りが少なくなった。私が知らないだけなのか。
一方、ヨーロッパからは新鮮なジャズが毎日のように届く。ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、そして北欧。また注意深く見ていると、芸術を中心にヨーロッパに学んだ日本の才能が開花しつつある時代だとも感じている。アメリカに出たビジネスマンは成功しているのかどうかイマイチ判然としないが、こちらはかなりはっきりした傾向であるように見える。日本には工業以外には何もないとか悲観する向きがあるけど、そんなことはない。最近、いろいろな人がいろいろなことに自分の存在価値を求めようとする話を聞くにつけ、それが嬉しく頼もしく感じられる。
Label Bleu: Henri Texier
ディスクユニオン