5/18/2014

キース=ジャレットの「ステアケース」

金曜日に、2年前の希望退職に応募して会社を辞めた友人と久しぶりに横浜駅近くのビール屋で一杯。彼の近況報告としての失恋話に耳を傾けたら、場が煮詰まってきたので店を変えようと提案したところ、山手のマディに行きたいのだという。

そそくさと混み合う地下街を抜け出て開業50周年を迎えたという根岸線で山手に向かい、不思議ならせん階段を上がって黄色の扉を開けると、いつもの様にグラスを拭くマスターとブルースが迎えてくれた。「やっぱりウィスキーはおいしいよね。ここに来たかったんだよ。」と彼。

2ヶ月ぶりにウォーキングを再開。この間、ハイキングなんかもしたのでまったくの運動不足というわけではなかったはずけど、やっぱり身体が鈍った感じは否めない。電池切れで動いていなかった体重計に、半年ぶりぐらいに載って見たらやっぱり僕の記憶より2キロ程増えていた。

朝6時前に家を出ると、太陽ははっきりと空に昇っている。いろんなところに草木の緑もしっかりと存在していて清々しい。いまが一番いい季節。梅雨入りする前にちゃんと習慣を取り戻しておかないと。週に2回はこうして歩きたいところ、少し生活習慣を変えていかないとなあ。

キース=ジャレットが1976年にパリのスタジオで録音したピアノソロ作品"STAIRCASE"をよく聴いている。これ、キースのことが気に入ってあれこれといろいろ聴き漁ったという人なら、いつか巡り会って必ずしっかりと心に刻まれる作品だと思う。

初作の"FACING YOU"に始まるキースのピアノソロはECMの看板メニューのひとつだけど、この"STAIRCASE"は他のソロ作品に比べてちょっと存在感が薄い。だけど最近はキースのピアノソロってあんまり聴いてなかった。

一連のライヴ作品はどれも比較的長尺で結構アブストラクトな演奏も多くて、その分はっきり言って「疲れる」のも事実。"Sun Bear Concerts" も "Solo Concerts"も "La Scala"も、いざ耳を傾けようとしても心にある記憶の何かがそれを嫌がる。

それに比べるとこの作品の素晴らしさはそういう障壁が低いこと。極めてシンプルに無駄なくキースのピアニズムが描かれている。久しぶりに聴いてみてそこがツボにはまってしまったようだ。いまとなっては"Koln Concert"なんかよりもこっちの方がずっと僕のお気に入りになってしまった。

考えごとの合間の気分転換によし、弛んだ気分に刺激を与えるにもよし、週末の黄昏と憂いを癒すにもよし。キースのソロピアノとしては1998年録音の"The Melody At Night With You"と対をなす超重要作品。

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