5/21/2014

晴天を誉めるなら夕暮れを待て


残念だ。とても残念。

だけど、歌は悪くないはず。何も。

僕はそう信じている。

とてもいい歌。僕は好きだ。

だから、いつかまた必ず帰ってきて欲しい。

素晴らしい歌を聴かせて欲しい。

その時が来るまで、待ってます。

歌は悪くない。何も。

僕はそう信じている。

夕暮れにはまだまだ早い。


5/18/2014

キース=ジャレットの「ステアケース」

金曜日に、2年前の希望退職に応募して会社を辞めた友人と久しぶりに横浜駅近くのビール屋で一杯。彼の近況報告としての失恋話に耳を傾けたら、場が煮詰まってきたので店を変えようと提案したところ、山手のマディに行きたいのだという。

そそくさと混み合う地下街を抜け出て開業50周年を迎えたという根岸線で山手に向かい、不思議ならせん階段を上がって黄色の扉を開けると、いつもの様にグラスを拭くマスターとブルースが迎えてくれた。「やっぱりウィスキーはおいしいよね。ここに来たかったんだよ。」と彼。

2ヶ月ぶりにウォーキングを再開。この間、ハイキングなんかもしたのでまったくの運動不足というわけではなかったはずけど、やっぱり身体が鈍った感じは否めない。電池切れで動いていなかった体重計に、半年ぶりぐらいに載って見たらやっぱり僕の記憶より2キロ程増えていた。

朝6時前に家を出ると、太陽ははっきりと空に昇っている。いろんなところに草木の緑もしっかりと存在していて清々しい。いまが一番いい季節。梅雨入りする前にちゃんと習慣を取り戻しておかないと。週に2回はこうして歩きたいところ、少し生活習慣を変えていかないとなあ。

キース=ジャレットが1976年にパリのスタジオで録音したピアノソロ作品"STAIRCASE"をよく聴いている。これ、キースのことが気に入ってあれこれといろいろ聴き漁ったという人なら、いつか巡り会って必ずしっかりと心に刻まれる作品だと思う。

初作の"FACING YOU"に始まるキースのピアノソロはECMの看板メニューのひとつだけど、この"STAIRCASE"は他のソロ作品に比べてちょっと存在感が薄い。だけど最近はキースのピアノソロってあんまり聴いてなかった。

一連のライヴ作品はどれも比較的長尺で結構アブストラクトな演奏も多くて、その分はっきり言って「疲れる」のも事実。"Sun Bear Concerts" も "Solo Concerts"も "La Scala"も、いざ耳を傾けようとしても心にある記憶の何かがそれを嫌がる。

それに比べるとこの作品の素晴らしさはそういう障壁が低いこと。極めてシンプルに無駄なくキースのピアニズムが描かれている。久しぶりに聴いてみてそこがツボにはまってしまったようだ。いまとなっては"Koln Concert"なんかよりもこっちの方がずっと僕のお気に入りになってしまった。

考えごとの合間の気分転換によし、弛んだ気分に刺激を与えるにもよし、週末の黄昏と憂いを癒すにもよし。キースのソロピアノとしては1998年録音の"The Melody At Night With You"と対をなす超重要作品。

5/11/2014

身近にある宝物

ゴールデンウィークは8連休。

前半で広島から実兄が遊びにきてくれた。子どもは「早くおじさん来ないかなあ」と楽しみにして待っていた。

横浜への滞在は2泊だけだったが、天候イマイチのなか、幼稚園帰りに原鉄道模型博物館などに出かけて楽しそうだった。僕も初めて訪れた場所だったけど、こりゃスゴい!
これジオラマのほんの一角にある機関区なんですけどスゴ過ぎますよね。

連休中盤は、いすみ鉄道を見てみたいという兄に付き合うかたちで、家族一緒に千葉県上総の養老渓谷に1泊2日で出かけることに。何も分からぬまま山奥にあるお宿「花山水」さんにお世話になった。

上総興津駅からタクシーで15分。着いたところは携帯電話も入らない山奥のなかにある古い別荘群の様なところ。因にこれが今回僕ら4人が泊まったお部屋...って2階建ての木造家屋。これで1泊2食付き4名で5万円弱という値段。安くはないけど十分その価値はある。
宿の敷地裏に川が流れていて、長靴を借りて探索に出かけたところ、これが結構素晴らしくて、いい体験になった。都心からちょっと離れたところでなかなかこういう体験はできるものではない。気温もちょうどよくて虫もおらず新緑のなかで絶好の川遊び!

翌日は兄と別れて、養老渓谷の梅ヶ瀬渓谷から大福山を廻るハイキングコースに挑戦。こちらも養老川の浅瀬を縫う様に通る素晴らしいコース。途中でいろいろと小さな自然の面白い諸相を垣間みることができた。
洞窟の通り抜けに子どもは一瞬不安げになったが、先にママが無事の通り抜けるのを見るや、喜んでくぐり抜けていた。パパは出口で背負ったリュックがつっかえてちょっと往生。
そして、ついにというか上京してきて、動物園以外の場所で初めてじゃないかな、ヘビに出会うことができた。子どもはビビりながらもコワさ知らずで意外にも至近距離で観察。ヘビさんもこちらに関心あったのかどんどん近づいてきて、さすがに目と鼻の先まで来たのでこちらが引き下がった。
後半は舗装道路に出て山を下るので、子どもも疲れてしまってぐずったりもしたが、しりとりしたり歌を唄ったりしながらなんとか15kmを歩き通すことができた。

養老渓谷駅から小湊鉄道に乗って五井駅に戻り、そこからバスで混雑したアクアラインを経由して横浜に帰った。五井駅で一休みする小湊鉄道の車両たち。

この旅から帰ってちょっと疲れが出てしまって1日ぐったりしてしまったけど、連休最終日は近場で海と山が気軽に楽しめるところということで真鶴半島へ行ってみた。

地味な場所といえばそれまでかもしれないが、人出もそこそこで、半島最南端の三ツ石海岸と森林遊歩道は対照的な自然が同時に味わえるある意味不思議な場所だった。

三ツ石まで渡りたかったのだけど、大きな石がゴロゴロと続く海岸と折からの強風で、今回は一番幅が狭くなった海岸の途中で断念。晴れて潮の条件が良い夕暮れを選ぶと結構いい景観が楽しめるのだと思う。

子どもはひたすら石をジャンプしたり(なかなか逞しくなった)岩場の生き物を見つけては歓声をあげるなど楽しんでくれていた。
岬から少し山に入るとこういう林道に入る。わずか数十分のコースだが海の音を遠くに聴きながら森林浴を楽しむことができる。

とまあ、駆け足だったが今年はこういう近場で自然を楽しむゴールデンウィークを過ごして、のんびりすることができたのであります。子どもにもいい体験になったんじゃないかな。

養老渓谷の宿で迎えた朝は、陽の光、ひんやりした森の空気、鳥のさえずり、そして田舎の家の気分が味わえて、本当に気持ちよかったです。
いつかまた行こうね。