2/08/2010

ワインブームの一方で開かれた3つの飲み会

先週末に参加した合宿研修の懇親会で、他の参加者たちがワインを美味しそうに飲んでいた。僕はその日遅くに帰る予定でいたので、あまり深酒は慎もうと遠慮したのだが、帰りにホヤの薫製を買ったりしながらも、ずっとワインそれも赤ワインが気になって仕方がなかった。

これまで僕はそれほどワイン好きではなかった。自分ひとりで飲むためにワインを買ったことは一度もないはずだ。もっぱら来客用にとか妻と食事しながら飲むつもりで買うのがほとんどだった。ワインの味や風味が気に入らないのではなく、ワインについてくる理屈が嫌いなのだろう。

結局、日曜日の夕方にどうしてもその晩ワインが飲みたくて、駅の近所まで買いにいってみたのだが、当てにしていたクリスマスにお世話になったイタリア総菜店が閉まっていたので、しかたなくコンビニで980円のオーストラリア産のシラーズというブドウの赤ワインを買った。これが結構イケたのだ。

いまはさすがに1晩でボトル半分がいいところだ。なので1本あれば2晩楽しむことができる。音楽は相変わらずエヴァンスを聴くことが多かった。まあ何度も書いたらくどいので今回はやめておく。

それが無くなったら今度は同じコンビニに売っていたもっと安いプライベートブランドのカヴェルネソービニオンを飲んでみた。600円だったので前のものに比べるとそれ相応の味だったが、決して悪くはなかった。どうやら僕にとっては、自分で飲むワインに1000円以上は払わないということをモットーにしてもよさそうな気がしてきた。結局、この土曜日にもまたスーパーで950円のアフリカワインを買った。

さて独りでワインを楽しむ一方で、今週は3回の飲み会があった。これらはいずれもワインとは縁がない飲み会だった。先ず最初はイタリアに住む大学時代からの友人との飲み会。田町のホルモン屋(彼が仕事の拠点にしているミラノとブリュッセルでは食べられそうにないものを食べさせてあげたかった)でビールとホッピーを飲み、そのあと馴染みのバプでイギリスのビールを2種類やった。

家族の近況に始まり、仕事の話からこれから時代はどうなるのかねえとなって、しまいにはいつもの様に音楽の話で盛り上がった。彼との待ち合わせ前に、書店で拾い読みしたあるビジネス書がなかなか面白かったので、彼にはそれを薦めておいた。僕も買って読もうかと思っているのだが、結局2日後に次の飲み会の前に立ち寄った渋谷の書店で買ったのは、もうひとつ気になっていた本である、村上春樹訳の「キャッチャー イン ザ ライ」だった。

ワインといい本といい、いままであまり嗜まなかったものに手を出す僕。何かが変わろうとしているのだろうか。それでもやはりビジネス書の書棚は何度その前にたっても気分が悪くなってくる。背表紙や帯に書かれているくだらない宣伝文句が、まるで歓楽街で大勢の客引きのなかでもみくちゃにされているかの様な気がする。

僕が気に留めている本は少しはマシな内容そうなのだが、やっぱり書棚の雰囲気が購入を思いとどまらせてしまった。その点、小説の方も状況は多少共通するものであるが、こちらは悪質な客引きというよりは、決まり文句を繰り返すだけであまり狙いを定めずにきょろきょろしている呼び込みという感じであって、比較的無視したり振り払うのは容易い。

実は同じ書店(パルコの地下にある)でこの日は子供のために絵本を1冊買ってあげた。「たいようオルガン」という子供向けとするだけにはもったいないくらい絵が奇麗なものだったので、つい買ってしまったのだ。これもワインの所為だろうか、たぶん関係ないだろう。

本のことはまた後日。

この夜は翻訳会社の幼馴染みの推薦で、道玄坂にある和歌山県出身の人がやっている魚料理のお店で一杯やることになった。カウンターだけの狭いお店で、自慢だけあってお魚はなかなか美味しいものを揃えてある。ただ渋谷らしくお店がせまいので、となりに座ったカップルの女性客が、僕らが話す関西弁にいちいち興味を持ってくるのが、いやでも気になってしまった。

彼とも家族の話から始まり仕事の話になって、途中もう1人の幼馴染みでいま和歌山に住んでいる男に電話をかけて「いまからおいでよ」といわんばかりの少々イヤミに雰囲気だけを聞かせたりしながら、やがて音楽の話になった。そこで僕の提案でお店をかえて、以前から一度行ってみたいと思っていた百軒棚のロックパブ「BYG」に移動した。彼には以前六本木のバウハウスを紹介してもらっているので、今回はそのお返しである。

木造の古い建物のなかが壁が釘かなにかで引っ掻いて描いた落書きだらけだった。僕らが入った時は半分も埋まっていなかった座席は、9時を過ぎたあたりから一気に満席になった。ちゃんとお客に聴かせる目的で流されるロックに身をゆだねて楽しむお酒はもちろん悪くなかった。ジミヘンがかかったあたりでお互い一気に酔いが回った。

最後まで空いていたとなりのテーブルに、金融機関の管理職みたいなスーツを着た男と、ずいぶん年の若くて短いスカート姿の女性のカップルがやってきて、並んでいちゃつきながら飲み始めた思ったら、ジミヘンの長いソロが終わらないうちに1杯だけで楽しそうに店を出て行った。同伴なのかホテルにでも行ったのか、まあおそらく前者だろう。

さて、3つめの飲み会は日曜日の夜、熱海の温泉宿の部屋だった。前の流れからしてこう書くとずいぶん怪しげだが、相手は妻である。実は月曜日に仕事はお休みをもらって、家族3人で日曜から1泊で熱海の温泉旅館に行ったのである。帰省を別にすれば家族3人初めてのお泊まり旅行である。

旅の詳細はまたあたらめて書いてみたいが、心配された子供の方はずいぶんいい子でいてくれて、さほど手もかからぬうちに先に妻の布団ですやすやと眠りについてくれた。あらかじめ駅前のコンビニで買ってあった酒を、隣の小部屋に移って2人でのんびりと飲んだ。妻は梅酒ソーダで僕はワンカップの日本酒だった。

子供の寝顔を眺めながら2人でささやきで会話をしつつ、ちびちびと飲むお酒。妻と酒を飲むのは本当に久しぶりだった。別になんという会話があるわけではないのだが、そこはやはり夫婦の様な人間関係でしかあり得ない様な、特別な飲み会なのである。なによりも妻の「あ〜ちょうど梅酒ソーダをゆっくり飲みたかったんだよなあ」という満足そうな表情が、この時間の貴重さを象徴していた。おかげで僕もこんなに引き延ばして飲んだことはないというほど、ゆっくりとワンカップをやった。

旅行は大満足のうちに終わり、またいつもの生活に戻って僕は1日遅れで月曜日の夜にろぐを書いている。これから土曜日に買ったアフリカワインの残りをやろうと思う。音楽はマイルスの「キリマンジャロの娘」。お疲れさまでした。

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