12/14/2008

居酒屋ジャズ

忘年会シーズンだが、今年は公的な忘年会はすべてパスして、私的な忘年会しか出ないことにした。懐が寒いという訳ではないが、公的なものとなると、どういう訳かお金はたくさん払わされるし、いまはそれに出てもあまり楽しくない。別にそういう想いまでして出る義理もなかろうというわけだ。

年末には大晦日に向け、京都、和歌山、神戸、広島と西日本で4連続飲み会を予定している。実家の様子を見がてら和歌山に帰郷し、その後妻の実家へと向かう旅程のなかで、こういうスケジュールを組んでみた。

日頃、4連荘で飲みに行くいうことなどとはすっかりご無沙汰であるのに、毎夜転々と寝泊まりする場所を変えて飲むわけだから、果たして体が持つのか少々気がかりではある。インフルエンザ流行も話も聞かれるこの頃なので、気をつけたいと思う。

なのでその前に関東でやる年末飲み会は、気心知れた人とこじんまり楽しくやりたいと思った。そんなわけで先週は2回の飲み会があった。

ひとつは会社関係の同僚で妻もよく知る2名の女性たちとの飲み会。お店は会社近くの田町にある「塚田農場」というところ。いろいろと珍しいものを食べさせてもらったのだが、どれもおいしかった。この2人はとにかくよく飲む。話も豊富で楽しいのだが、いずれも独身というのが僕らにはどこか気がかりである。

もうひとつは、妻の会社関係のつながりで結成している男3人の会。1人はその会社の社員だが僕ともう1人はそこの社員の夫というつながりである。いままにでも何度も宴をともにしている。今回の会場はその会社がある恵比寿の老舗居酒屋「さいき」だった。

早めの集合が功を奏してなんとか予約なしで陣取ることが出来た。有名なお店なのでネット上にもいろいろな情報がある。お店の雰囲気はいいし料理の具合もいい。店主のさりげなく一本気なこだわりがしっかり反映されている。常連客が多い店というのが好みの判断の分かれ目だろう。

話題に花が咲きとても楽しい飲み会だった。勢い2軒目に行こうということで、その筋並びの居酒屋「えびす村」に入る。ここは以前にもそのうちの1人と訪れており、今回は店主自慢の「トンカツ」を目当てに入ることにした。もうかなり酔っぱらっていたのだが、何かパンチのあるものが食べたかったのだろう。僕は生ビールとホッピーを飲んで、案の定酩酊の帰宅となった。

事前に酔いを抑えるために飲んだアミノ酸のおかげで、二日酔いはなんとか回避されたのだが、妻によると帰宅するなり、ふらつきながら服を脱いで「ああ、やっぱり酒はアカン」とか言ったらしい。飽くなき反省は酒につきものである。

円高のおかげでCDが安く買えるというのも、無駄遣いを抑えようという心理をより強くしているのかもしれない。もちろん時と場合にもよるのだが、建前は明らかに無駄遣いである。このところ海外サイトでの音盤購入が増勢を強めているが、さらなる円高が進行していることが、(別に投資家ではないのだが)一層の大物狙いを煽ってくる。

最近届いたCDから、今回は心地よい居酒屋での一夜の様な(?)ご機嫌なジャズをご紹介しておこう。

このアルバムは従来はヴァーヴレコードからリー=コニッツ名義で発売されていた演奏である。今回、復刻専門のジャズリップスというレーベルから、別の未発表音源を加えて再発されている。テナーのウォーン=マーシュとコニッツは白人フロントの双頭として、いくつもの演奏を行っており、この作品もその中のひとつである。

目玉はもちろんエヴァンスの参加であるが、ここでの彼はあくまでもサイドマンである。そして当時リヴァーサイドで彼とジャズ史に残る名トリオを結成していたポール=モチアンも、まるで別人のようにステディなリズムセクションとしての演奏を聴かせる。その違いを生み出しているのは、明らかにこのユニット唯一の黒人であるジミー=ギャリソンの存在だろう。そこがある意味この作品の聴き所かもしれない。

なお、オマケで収録された1976年のロンドンの未発表音源は、その約20年後のマーシュ、コニッツユニットの活躍を収録したもので、これはこれで非常に優れた演奏である。2人のフロントの演奏に関して言えば、こちらの方が優れているかもしれない。これがずっと未発表だったというのも驚きである。

この演奏の10年後にマーシュは世を去るが、最初のセッションから半世紀を経たいまもこれらの演奏はもちろんまったく色褪せるものではない。そしてコニッツは80歳のいまも健在である。

僕はこの演奏に、最初に紹介した恵比寿の居酒屋の居心地に通ずるものを感じる。確かな腕を持った職人が気取らずさりげなく、偶然とも必然ともいえない日常に、当然のように提供する逸品とでも言えばいいだろうか。こんな演奏が毎夜のように街のあちこちで起こっていたこの時代から半世紀。その伝統はいまも世界中のクラブで受け継がれている。

ジャズは素晴らしい。

ビル=エヴァンス、ウォーン=マーシュ、リー=コニッツ
「ライヴ アット ザ ハーフ ノート」

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