6/12/2004

スティーブ=レイシー「リメインズ」

ソプラノサックス奏者のスティーブ=レイシー氏が2004年6月4日に亡くなられた。彼は6月11日金曜日に、横浜のジャズクラブ「ドルフィー」でライブを行う予定だった。かねてからの大ファンだった僕は、友人と2人でこれを体験すべく、会社を早退する手はずまで整えていたのに、前日になってまったく偶然にネットでこの報を知った。残念無念である。やっと生でレイシーが体験できると思ったのに。

 ソプラノサックス1本で演じられる彼の音楽は、本当に奥深いもので僕のお気に入りだった。僕は彼のソロ演奏のものを中心に、数多くのCDを集めている。一番のお気に入りは、hatArtレコードから1992年に発表された「Remains」。東洋の思想、とりわけ老子の「道徳経」に深い関心をよせたレイシーの組曲「Tao(道)」が収録されている(残念ながら現在は廃盤)。

 彼がなぜソロ演奏にこだわったかはよく知らない。演奏そのものは関心のない人が聴いたら「体育館の裏で個人練習に励むブラバン部員」のように思えてしまうかもしれないが、まあじっくり聴けばそんな誤解はあっさり吹き飛ぶと思う。彼の音楽は緻密であり、やさしく躍動する。僕にとって理想の音楽のひとつだった。だから是非とも生で聴きたかったのだが。。。

 彼が長年暮らしたフランスのSenetorsレコードにあるレイシーのサイトのトップページに掲げられている、彼の音楽に対する考え方(漢詩を意識したものと思われる)が、彼の音楽を一番よく言葉で表現していると思う。
Steve Lacy 
We don't determine music,
The music determines us;
We only follow it,
To the end of our life:
Then it goes on without us.

It begs to be born and,
Wants to go its own way,
We just make it up and,
Then we let it out.

Music speaks for itself,
And needs no explanation
Or justification:
Either it is alive,
or it is not.

 さよなら、レイシー。


※この「えぬろぐ」もはじめてから今月で半年が経ちます。これまでやって来たなかで得られたいろいろな反省を含め、もう少し内容を自分の日常や肉声に近づけていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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