1/25/2004

川本真琴「ゴブルディーグーク」

「えぬさんは毎日あんな変な音楽ばっかり聴いてるんですかあ?」何人かの友達からいわれたことがある。まだエントリー数も少ないので、このサイトをご覧いただいている方々には、あまりそう思われる方は少ないかもしれないが、別にわざと変なものばかり選んで聴いているわけではないのだ、決して。これからどんな作品をとりあげていくかまだ未知だけれども、「これは面白いかな」とか「これをネタにこういうことを書こう」とか考えてみたものはいくつかある。確かに、変な音楽ばかりだな。

 もちろん、日本の音楽だってちゃんと聴いているのですよ。その証拠に(というわけではないのだが)今回はいわゆるJ-Popの作品をとりあげる。そもそも、「歌謡曲」ではなくて「J-Pop」とはいつ頃からそう呼ぶようになったのか、というような話題ははてなさんにお任せするとして、たぶんCD屋さんとかの売り場の名称にも使われる程一般的になったのは、1990年代半ば頃のことだと思う。

 1990年代空前のJ-Popブームを作り上げたのは、他でもない、かの小室哲哉氏であろう。全盛期にはミリオンアルバムが何タイトルも出現した。彼のことを悪く言う人も多いが、僕は彼はやっぱり卓越したメロディーメイカーだと思う。僕が初めて気に入って聴いた彼の作品は、1980年代半ばに荻野目洋子がアニメ映画のサウンドトラックで歌った「Non Stop Dancer」という曲だった。個性的な歌手の持ち味を見事に引き出した歌を早くから作っていた。ただ全盛期において、不況期に学ぶべきビジネスマン向けの講師などを務めるうちにうっかり出てしまった(のだと信じているのだが)「音楽はビジネスだ。売れるためにどういう風に作ればいいかはすべて計算できるんだ」みたいな言葉はいただけなかった。

 僕が気に入っている日本のアーチストはもちろんたくさんいるのだが、J-Pop系の人ということになると、まっさきにあげたいのが川本真琴である。この作品は彼女の2枚目のアルバムだ。タイトルの言葉はれっきとした英語である。意味が知りたい人は辞書を引きましょう。

 信じられないほど名曲揃いだった1997年発表のファーストアルバム「川本真琴」から、なんと4年半ものブランクの後に発表された。事実、僕はこのアルバムが発売されていることを知らず、現代音楽に入り浸りながら、時折「マコちゃん引退したんかなあ」とか考えていたころである。実際、手に入れたのは昨年の終わり頃だった。聴き終えてみてとてもうれしかったのを覚えている。彼女のオリジナリティは健在どころかとっても成長していたから。やっぱりこれが手作りの音楽だと、感じさせてくれる人だと思う。ファーストアルバム発売後のツアーを、横浜の関内ホールで観たとき、アルバムのサウンドがそのままバンドメンバーの生演奏で細かいところまで再現されているのに、久しぶりにいいコンサートだったなと実感したものだ。やっぱり音楽はビジネスや金ありきではないのだヨ。

 ファースト収録のまさにgobbledygookだった名曲「stone」を思わせるロックナンバー「ギミーシェルター」(ストーンズの作品とは別物です)、川本バラードの進化系「ピカピカ」、10分超の大作「FRAGILE」、意表を付いたイントロに導かれたどこか懐かしいメロディーの「微熱」、ファーストアルバムからの卒業となった「桜」、どんちゃん騒ぎの「TOKYO EXPLOSION JP」でいったん幕が下りて、アンコール前になぜかチンドン屋さんが出てきて、最後の「雨に唄えば」まで、全15曲。これは楽しいよ!

 追伸:3月に川崎のライブハウスイベントに川本さんが出演するらしく、楽しみである。またそのときのレポートは追ってここに書き込みたいと思う。

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